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【逮捕】逮捕について詳しく解説!逮捕手続きはどれくらい時間がかかる?どんな書類を書く?

よくニュースで逮捕される事件を見ますが、実際どんな手続きが行われているんですか?

「○○容疑者を○○の容疑で逮捕」

このようなニュースは毎日当たり前のように流れており、ほぼ間違いなく全国どこかで誰かが逮捕されている日々です。

逮捕というのはもちろん犯人に手錠をかけて逮捕するわけですが、逮捕がそれで終わるわけではありません。

逮捕=逮捕手続きに着手するということですので、実は手錠をかけてからが本当の勝負です。

逮捕という言葉自体は誰もが知っているものですが、その逮捕手続について知っている方は少ないと思います。

当然ながら逮捕の手続きをするのは警察官の仕事ですので、このようなニュースを見る度に私は「この時間にこの逮捕手続か…」と色々なことを勝手に想像しています。

それは逮捕手続きがどれだけ大変なものかわかっていますし、どれだけ時間がかかることかも知っているからです。

逮捕の裏側は想像よりも過酷なものでした。

約8年の警察人生において、逮捕手続きを行った件数は数え切れません。

警察官を目指すならば、逮捕手続きについては知っておいて損はないでしょう。

この記事では逮捕の裏側にスポットライトを当て、逮捕の大変なところは?逮捕手続きはどれくらい時間がかかる?など、元警察官が逮捕手続きについて詳しく解説します。

逮捕手続きは警察官ならば避けては通れない道ですので、警察官志望者は是非参考にしてください。

逮捕手続きとは?

逮捕手続きとは?

まず最初に逮捕手続きについて解説します。

逮捕というのは大きく分けると3種類に分類され、警察官として勤務していると必ず3種類とも手続きを行う場面があります。

その3種類とは

  1. 通常逮捕
  2. 緊急逮捕
  3. 現行犯逮捕

となっており、それぞれで手続きの進め方は異なります。

この辺りは警察学校で詳しく勉強することになりますが、逮捕手続きは憲法法律で厳格に定められているので、1つミスをすればそれが重大な人権侵害に繋がりかねません。

よって、特に逮捕については警察学校で理解を深めておく必要があります。

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逮捕するような事件はいつ発生するかわかりませんし、新人や若手警察官でも手続きに携わる機会は全然あります。

細かい内容については仕事をしながら覚えていくしかありませんが、まずは逮捕についてはこの3種類があることを頭に入れておきましょう。

これらの逮捕手続きはどこの部署に所属していても対応することになります。

刑事課や生活安全課はもちろんですが、地域課にいても交通課にいても逮捕手続きはほぼ間違いなく経験します。

特に地域課だと多彩な事件に対応しますので、3種類すべての逮捕を経験することになります。

逮捕手続きは手錠をかけた瞬間から始まります。

手錠をかけた時間が逮捕時間となり、そこから48時間以内に司法書類を整えて検察官に送検しなければいけません。

そのため、手錠をかけてから逮捕手続きに入り、そこから48時間以内が1つの勝負となります。

誤認逮捕があってはいけませんが、誤認逮捕だったとしても逮捕手続きは行いますし、即釈放するという事件でも手続き自体は完結させます。

手錠をかけたら後戻りはできないのが特徴ですので、その逮捕の判断も非常に重要なものになります。

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多くの警察官で協力する

逮捕手続きは多数の司法書類を作成しなければいけないので、一人や二人で行うことはできない。逮捕=複数の警察官で協力処理することになる。

逮捕で必要になる書類については後述しますが、逮捕手続きはとにかく書類の数が多いです。

書類はパソコンや手書きで作成しますが、犯罪が発生したこと、被疑者が犯人であること、被害者が被害に遭ったことなどをすべて書類で証明していく必要があるので、ときに膨大な量になります。

それだけ書類を作る警察官の数も必要になるので、時間と人手が必要になる仕事です。

また、逮捕手続きの特徴としては途中で休憩をする時間もないというところです。

手錠をかける=被疑者の身体を拘束していることになるので、手続きを進める警察官がのんびりしているわけにはいきません。

逮捕するような事件が入れば一気に忙しさが増すということも覚えておきましょう。

3種類の逮捕手続き

逮捕は3種類

続いて、3種類の逮捕について解説しておきます。

逮捕の種類が違えば手続きも違うことを紹介しましたが、それぞれでどのような違いがあるのかを紹介します。

先ほど説明した通り、ひとたび逮捕事件が入れば携わる警察官は多忙を極めます。

しかもそれはいつやってくるかわからず、警察学校を卒業して初めて勤務に就く日に逮捕手続きが入ってもなんら不思議ではありません。

そのため、警察学校ではしっかり逮捕について勉強をしておく必要がありますし、ある程度それぞれがどんな逮捕なのかは頭に入れておかなければいけません。

わかりやすく解説をしますので、予習としても復習としても参考にして頂ければ幸いです。

  1. 通常逮捕

通常逮捕はよくドラマで見るような逮捕令状を必要とする逮捕手続きです。

裁判所に令状を請求し、その令状に基づいて逮捕手続きを行います。

逆に言えば、令状がないとなにもできませんので、容疑が浮上した時点で令状請求ができるように捜査を行うことになります。

通常逮捕を行うのは刑事課や生活安全課が多く、捜査→令状請求→通常逮捕という流れが一般的です。

もちろん裁判所に”容疑がある”と認めてもらえるように書類を揃えなければいけませんので、それなりに時間がかかることになります。

通常逮捕に必要な要件
①逮捕の理由…被疑者が罪を犯したと疑うに足りる相当な理由があること
②逮捕の必要性…被疑者が逃亡もしくは証拠隠滅の恐れがあること

通常逮捕の手続きは書類を揃えるのに時間がかかるので、「今から通常逮捕する」ということになった場合はそこから長時間勝負が始まります。

このような場合は容疑を証明する書類作成→令状請求→裁判所で令状発付→被疑者を逮捕という流れになります。

地域課ならば3食のうちの1食が吹き飛ぶものだと思って覚悟した方がいいでしょう。

しかし、完結までに時間はかかりますが、制限時間があるわけではありません。

とにかく焦るというほどではないので、通常逮捕はまだその点は幸いです。

  1. 緊急逮捕

逮捕手続きの中で一番大変なのがこの緊急逮捕です。

緊急逮捕は令状が必要ないので、「緊急逮捕する」と決めたらその場で令状なしで逮捕することが可能です。

「令状なしで逮捕できるから楽そう」と思われるかもしれませんが、まったくの逆です。

令状なしで逮捕するからこそ逮捕後はすぐに令状請求をしなければならず、とにかく時間に追われることになります。

令状なし=まだ裁判所の許可を得ていない状態ということになりますので、逮捕後に裁判所に判断をもらう形です。

よって、緊急逮捕は手錠をかけてから約3時間以内にすべてを完結させなければならず、現場の空気が一変します。

緊急逮捕に必要な要件
①犯罪の重罪性…重い犯罪であること
②嫌疑の十分性…罪を犯したと疑うに十分な理由があること
③緊急性…緊急逮捕する必要があること

緊急逮捕は令状なしでの逮捕となるため、それだけこの人が犯人で間違いないという状況が必要です。

誤認逮捕は許されませんが、緊急逮捕は裁判所の許可がない状態で警察官だけで判断をすることになるので、もっとも厳格さが求められます。

逆に言えば、「これは微妙だ」と思える状況では緊急逮捕はできません。

このような場合は通常逮捕に切り替えることとなります。

また、軽い犯罪に対しては緊急逮捕することができず、さらに「今逮捕しなければいけない」という状況でなければ緊急逮捕できません。(逃走などの恐れ)

そして、なにより手錠をかけてから令状を請求することになるので、緊急逮捕の逮捕手続きはスピード勝負です。

形式上は裁判所の許可を得ずに逮捕をしているので、その状態で無闇に拘束を続けるわけにはいきません。

手錠をかけてから約3時間以内には令状請求までもっていかなければならず、息つく暇もなく書類作成に追われることになります。

緊急逮捕は一瞬で現場の空気が変わる。各自が役割に従って行動する必要があり、わずかにもたつくだけで激怒されることもある。

新人警察官であろうと緊急逮捕が入ればボケっとしている時間はありません。

事前にどんな仕事をやるべきなのか、どんな立ち回りをすればいいのかは先輩や上司に確認しておくのがベストです。

約3時間という時間制限をオーバーしてしまうと違法な逮捕ということになってしまいますので、新人や若手がどのように動くべきかは把握しておかなければいけません。

時間を過ぎてしまうとせっかく緊急逮捕したのに検挙できるものができなくなってしまうため、一人一人が役割を理解して動く必要があります。

緊急逮捕は一番大変な逮捕手続きであることは間違いありません。

③現行犯逮捕

現行犯逮捕は最も簡潔な逮捕手続きとなります。

現行犯逮捕も緊急逮捕と同じく令状を必要としない逮捕手続きですが、緊急逮捕と違ってそこまでのスピード勝負とはなりません。

現行犯逮捕は「目の前で犯罪が発生した」「今さっき犯罪が発生したばかり」という誤認逮捕があり得ない状況でしかできないため、令状を必要としていません。

警察官はもちろんですが、一般人でも逮捕できるというのが現行犯逮捕の特徴でもあります。

現行犯逮捕は後に裁判所に令状を請求するということはないので、極端なことを言えば手錠をかけてからある程度の時間を使っても大丈夫です。

現行犯逮捕に必要な要件
犯罪の明白性…犯罪が明らかであること
犯人の明白性…犯人が明らかであること
時間的接着性…犯罪が発生して間もないこと

現行犯逮捕で最大のポイントとなるのが時間的接着性です。

これは「犯罪が発生してから約30~40分であること」という条件を意味します。

つまり、犯罪が発生してから1時間も経過していると現行犯逮捕はできません。

その場合は緊急逮捕を検討し、緊急逮捕の条件にも当てはまらなければ通常逮捕を考えることになります。

※時間が経過しても現行犯逮捕ができる準現行犯逮捕というものがありますが、今回は割愛します。

現行犯逮捕をわかりやすく解説すると

  • 犯人が間違いない
  • 犯罪が発生してから約30分
  • 犯罪行為も間違いない

ということになります。

なので、現行犯逮捕は素早く現場に行き、素早く状況を判断しなければいけない逮捕手続きになります。

手錠をかけてからはそこまで急ぐ必要がありませんが、手錠をかけるまでは迅速な動きが求められます。

もし、現行犯逮捕になりそうな現場ならば急いで事情聴取をし、現場の責任者(上司)に逐一状況を伝えていくことが必要です。

逮捕手続きで必要な書類とは?

逮捕手続き どんな書類を作る?

次に逮捕手続きで必要になる書類について、警察官目線で紹介していきます。

ここまで逮捕手続きについて解説してきましたが、実際どれくらいの量の書類を書くのか?というところは気になる点だと思います。

そこで今回は万引き事件を例に逮捕手続きで必要になる書類を紹介していきます。

ここまで詳しい紹介はもしかしたら警察学校でもないかもしれませんので、警察官志望者は1つ参考にして頂ければと思います。

  • コンビニでの万引き事件

警察官をやっていてよく遭遇するのがコンビニでの万引き事件です。

今回は犯人がビール1缶(税込350円)を万引きし、その状況を店長が見ていたという想定とします。

まずは110番通報に基づいて現場に向かいます。

コンビニに到着したら警察官は役割を分担し、犯人からの事情聴取、被害者(店長)からの事情聴取をそれぞれ行います。

この場合は現行犯逮捕が濃厚なので、事情聴取は素早く行い、容疑を固めていきます。

容疑が固まったところで本署の上司に報告し、犯人を現行犯逮捕します。

この現行犯逮捕は犯人も明らかであり、犯罪が発生していることも間違いありません。

さらに犯罪発生から時間も大きく経過しているわけではないので、現行犯逮捕で問題なし。

犯人に手錠をかけ、本署に連行します。

ここからが逮捕手続きの始まりです。

新人や若手警察官だとどんなことをすればいいのかわからないが、上司の指示に忠実に従おう。まずは言われたことをやるだけで十分。

  1. 逮捕・犯人に関する書類

現行犯逮捕手続書…逮捕の状況を疎明する書類

供述調書(甲)…犯人の供述を記す書類

取調べ状況報告書…取調べの時間等を記す書類

犯罪経歴書…犯人の前科前歴を記す書類

写真撮影報告書…犯人の服装、顔貌を写真撮影

所持金品目録…犯人の所持品を記す書類

捜査報告書…犯人の氏名などを明らかにする報告書

捜査報告書…防犯カメラを解析し、犯人の犯行を裏付ける報告書

  1. 被害者に関する書類

被害届…今回の万引き事件の被害を訴える書類

供述調書(乙)…被害者の供述を記す書類

写真撮影報告書…犯人を発見したときの状況などを写真撮影

  1. 被害品(ビール1缶)に関する書類

任意提出書…ビール1缶を犯人から提出してもらう書類

所有権放棄書…犯人が盗んだビール1缶の所有権を放棄する書類

領置調書(甲)…警察官が犯人からビール1缶を受け取るための書類

還付請書…ビール1缶を被害者に返すための書類

写真撮影報告書…ビール1缶を写真撮影

捜査報告書…ビール1缶の販売価格を特定する書類

まだまだ細かい書類はいくつかありますが、たかが万引き事件1つでこれだけの書類を作らなければいけません。

初めて目にする書類ばかりで驚いた方も多いのではないでしょうか。

今回はビール1缶のみの想定でしたが、スーパーで発生する万引き事件はもっと多数の商品があり、処理するにもそれだけ時間がかかります。

現行犯逮捕ならまだゆとりはありますが、これが緊急逮捕なら本当に時間との戦いです。

逮捕するような事件だと刑事課と地域課で連携することが多いので、すべてを一人で処理するわけではありませんが、誰か一人でも遅れれば全体に影響を及ぼします。

その中で次から次へと役割をこなしていかなければいけないため、自分がどんな動きをすればいいのかは常に勉強しておく必要があります。

警察学校で勉強する逮捕手続きはあくまでも形式的なものに過ぎないので、現場に出てから向上心を持って色々なことを吸収していきましょう。

逮捕手続きで大変なこと

警察官 逮捕手続きで大変なこと

ここまで逮捕手続きについて詳しく解説してきましたが、逮捕手続きはどれくらい大変なのか?を紹介します。

私は警察官人生のほとんどをパトカーに乗って過ごしてきたので、本当に数え切れないほどの逮捕手続きを行ってきました。

暴行、傷害、窃盗、大麻、覚せい剤、殺人未遂、強制わいせつ…

逮捕した犯人・犯罪をすべて思い出すことができないほど多くの経験を積みました。

もちろん、先ほど紹介した通常逮捕、緊急逮捕、現行犯逮捕はすべて経験しました。

そんな経験から逮捕手続きの大変さをお伝えしていきたいと思います。

逮捕手続きで一番大変なことはなんといっても始まりから終わりまでが長時間の対応になるところです。

逮捕というのはとにかく一気に緊張感が高まり、警察官自身の状況も一変します。

のんびり休憩しているとき、ゆっくりご飯を食べているとき、仮眠しているとき、別の通報に対応しているときなど、様々な場面でいつ事件が発生するかわかりません。

逮捕するような事件が入れば警察官も一気にスイッチを入れ、長期戦を覚悟で臨みます。

しかも逮捕が1日1件とは限らず、1日で複数件入ることも全然あり得ることです。

通常逮捕は特に長い

3種類の逮捕の中でも通常逮捕が最も長期戦になりやすい。その理由は令状請求できるほどの書類を揃えるのに時間がかかるから。5時間以上の対応は当たり前。

逮捕手続きが長期戦になる=休憩できないということなので、とてもタフな仕事となります。

朝に逮捕手続きが入れば夕方まで対応することが当たり前ですし、夜中に入れば明朝まで対応することになります。

その間はすべてのエネルギーを逮捕手続きに注ぐことになり、食事も仮眠もとることができません。

ひたすら書類作成を行い、パソコンと格闘する時間が続きます。

高い緊張感の中で長時間仕事に取り組むことは非常に神経を使いますし、余計に疲労を感じます。

特に夜中から明朝にかけての逮捕手続きは途中で睡魔にも襲われるので、気合で乗り切るしか方法はないでしょう。

逮捕手続きが終わったときの達成感やほっとする気持ちは今でも忘れることができません。

私自身はパトカーに乗ってから数多くの逮捕手続きを経験し、慣れることができました。

交番で勤務しているときはそんなに逮捕手続きをやったことがなかったので、逮捕手続きが本当に怖かったです。

こればかりは経験を積んでいくしかなく、大変な思いをしながら成長していくしかありません。

今、もう一度逮捕手続きをやれと言われてもすんなり対応できると思いますが、あの疲労感はあまり経験したいと思いません…。

逮捕手続きの苦い思い出

警察官 逮捕手続きの大変な思い出

最後に数多くの逮捕手続きを経験した私の苦い思い出について2つ紹介します。

最初に言っておくと逮捕手続きで楽だと感じる場面はほぼありません。

逮捕手続きに携わる警察官はピリピリしていることが多く、怒号が飛び交うことも珍しくないからです。

しかも逮捕手続きに慣れていないとそんな雰囲気の中でなにをしたらいいのかわかりません。

また、地域課で勤務していれば逮捕手続きを行うときは刑事課と一緒に処理することになるので、普段顔を合わせない人たちとうまくやっていくのも大変です。

私自身も逮捕手続きにおいては苦い思い出がいくつもあるので、そのうちの2つを紹介します。

地域課はなにかと見下されることが多く、刑事からは厳しい声を浴びることも少なくない。また、面倒な仕事を振られやすく、次々と仕事を回されることも珍しくない。

  1. 動きがわからず激怒される…

これはまだ警察学校を卒業して半年も経っていない時期でした。

右も左もわからない交番勤務をしていたとき、傷害事件が発生しました。

現場に到着すると被害者が地面にうずくまっており、その目の前に犯人が仁王立ちしているという状況でした。

上司は状況を把握するためにうずくまっている被害者から事情聴取を始め、すぐに犯罪と犯人を特定しました。

上司はものの15分で現行犯逮捕を判断し、犯人に手錠をかけました。

これが私にとって初めての逮捕事件です。

そのため、ここから現行犯逮捕の手続きが始まりますが、新人警察官の私はなにをやればいいのかまったくわかりません。

警察官の仕事は先輩や上司が手取り足取り教えてくれるわけではないので、”見て覚える”というのも珍しくない仕事です。

このときが初めての逮捕手続きでしたが、動きがわからない私は容赦なく怒られました。

「なんで事前に勉強しておかないんだ?」

「なにをやってるんだよ!早く書類作れよ!」

わからないのが当然ですが、わからないで済まないのが警察官の仕事です。

大粒の汗をかきながら必死に食らいつき、周りの動きを見て覚えていくしかありません。

このときは警察官の仕事の厳しさを思い知りましたし、逮捕手続きの大変さも痛感しました。

  1. 終わらない逮捕手続き…

これはある窃盗事件の通報から始まった長い長い戦いでした。

交番勤務をしているとき、「会社の金庫からお金が盗まれた」という通報が入りました。

現場に向かい、会社の社長から事情聴取をすると「元従業員がやったとしか考えられない」と供述を得ました。

思い当たるフシがあるそうで、数か月前に会社とトラブルを起こした元従業員が怪しいという話でした。

会社の防犯カメラを確認するとその元従業員に酷似した人物が鍵を開けて侵入している様子が映っており、社長も「これは○○で間違いない」と確信していました。

刑事課とも連携し、通常逮捕で犯人を逮捕する方針が決定。

ここから令状請求するための戦いが始まります。

このとき、時間にすると午後5時頃でした。

この時点で令状請求→早朝に犯人の自宅に行くということが確定なので、長い戦いであることはわかっていました。

会社の協力も得て様々な書類を作成し、令状請求に向けて休憩もせず書類に取り組みます。

書類が完成したのは日付が変わる頃で、ここから令状請求をして早朝に備えました。

そして早朝、犯人の自宅に向かいましたが、不在であることが判明。

こういったことはよくあることで、事前に自宅に張り付いて犯人の動向を確認することもありますが、人員が足りないときなどはいきなり訪問することもあります。

このときは空振りに終わったので、地域課の私たちは「これで自分たちの役目は終わりか。これで帰れるな」と思いました。

しかし、刑事課の警部補からは「犯人を捕まえるまで残ってくれ」という仰天の指示…。

ここから長時間の残業が発生し、結局すべてが終わったのは夕方も過ぎていました。

30時間以上の勤務は身体の負担となり、フラフラになりながら自宅に帰ったのを覚えています。

逮捕手続きの過酷さを改めて知ったときでした。

逮捕手続きがいかに大変なものかがわかって頂けたでしょうか?

毎日当たり前のようにニュースで流れる逮捕ですが、その裏側では警察官がこれだけの苦労をしている現実があります。

逮捕は警察官になれば絶対に避けられない仕事ですので、それだけ大変な仕事であるということは覚えておきましょう。

まとめ

今回は逮捕手続きをスポットライトを当て、その手続きについて詳しく紹介してきました。

今回の記事をまとめると

  • 逮捕には3種類の逮捕がある
  • 逮捕手続きには膨大な書類が必要になる
  • 逮捕手続きはとても大変な仕事である
  • 逮捕手続きは長時間に及ぶ

ということになります。

また、私自身もパトカー乗務員として数え切れないほどの逮捕手続きを行い、様々な苦労を経験してきました。

逮捕手続きは”習うより慣れろ”という仕事ですので、とにかく数をこなして経験値を積み上げていくしかありません。

また、先輩や上司が1から10まで丁寧に教えてくれるわけではないので、見て覚えるということも大事になります。

逮捕手続きは警察官ならば絶対に避けられない仕事なので、それだけ大変な仕事であることは覚えておきましょう。

noteACT

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