警察学校を卒業するとすぐに配属先の警察署へ赴任することになり、地域課で警察官としての勤務がいよいよ始まります。
卒業式の日にそのまま警察署へ直行することになりますので、卒業モードからすぐに気持ちを切り替えなければいけませんし、一息つく間もありません。
そして、警察署に赴任してからは自分の指導を担当する上司(指導員とも呼ばれる)と1日24時間勤務で行動をともにすることになります。
もちろん新人警察官は一人ではなにも仕事ができませんので、勤務開始から終了まで上司と付きっきりでの勤務となります。
24時間一緒に行動をすることになるので、上司と良好な人間関係を構築することは円滑に仕事を進めるために必要不可欠です。
上司との関係性
上司から仕事を教えてもらわなければ新人警察官はなにもできないため、まずは上司との人間関係を作ることから始まる。最初に付く上司とうまくやっていかないとスタートでつまずくことになってしまうので要注意。
上司と良好な人間関係を構築するためにはなによりも上司の性格を見抜かなければいけません。
警察官は特殊な職業であるため、働いている警察官自体も色々とクセの強い人が多いです。
そのため、性格やクセを見抜くことによって上司のことを理解できるようになり、良好な人間関係を構築することに繋がるというわけです。
そこでこの記事では新人警察官としてスタートダッシュで失敗しないように上司の性格を見抜くポイントについて詳しく解説します。
警察官によくいるタイプの上司も紹介し、その攻略法も伝授しますのでこれから警察官を目指す方や間もなく警察学校を卒業する方などは是非参考にしてください。
クセ者だらけの上司たち
これから警察官になる方に知って欲しいのは警察官は上下関係がとても厳しい世界であるということです。
これは警察学校において徹底的に叩き込まれることなのですが、警察学校を卒業してからも厳しい上下関係の職場で働いていかなければいけません。
もちろん中には優しい上司もいますが、警察学校の教官並に厳しい上司がいるのも事実です。
特に機動隊出身の先輩や上司は自分自身が機動隊という非常に厳しい環境の中で育ってきた経験を持っているので、部下に対してもそれ相応のものを求めやすい傾向にあります。
その中で民間経験者の私が警察官時代に強く感じたのは「警察官はクセが強い人が多い」ということでした。
民間企業ではなかなかいないような人材が多く、人間関係はなかなか大変だった記憶があります。
新人警察官は上司を選ぶことができないので、そんなクセ者だらけの上司たちと上手に付き合っていかなければならないのです。
警察学校を卒業したばかりの新人警察官は所属する警察署においては立場が圧倒的に一番下である。そのため、新人らしく元気に明るく機敏に行動することが求められ、上司たちは新人のそういった行動に目を光らせている。
よって、まずは新人らしい動きを周りに見せることに努め、何事も積極的に行動するようにしましょう。
これは男性警察官でも女性警察官でも変わりません。
女性警察官だからと言って優しくしてもらえるわけではないので、女性警察官でも元気よく行動することを心がけましょう。
またそれに加え、そういったクセのある上司の機嫌を損ねないようにし、理不尽なことがあってもまずは耐えるようにしてください。
理不尽に耐えるというのは警察学校で十分培ってきたことだと思いますので、警察学校を卒業しても忘れないようにしましょう。
警察学校を卒業して意気揚々とする気持ちはわからなくないですが、警察官は警察学校を卒業してからがスタートです。
立場が一番下であることを認識し、まずは新人らしい行動に努めるようにしてください。
上司の性格を見抜くポイント
冒頭でも説明しましたが、上司と上手に付き合っていくためには上司のクセや性格を見抜くことが最も大事だと言えます。
なぜなら自分の上司が
- どんなことにこだわる人なのか
- どんなことで怒る人なのか
- どこまで冗談が通じるのか
- どうやって仕事を進めるのか
ということを把握しておかないと一緒に仕事をしていく上で連携がとれずに困るからです。
警察官の仕事は常にチームで動く仕事なので、特に新人警察官ならば上司のやり方に合わせるしかありません。
そのため、上司の性格を知っていないと上司に合わせることすらできなくなってしまうのです。
逆に言えば、上司の性格さえ見抜いてしまえばあとは合わせるだけなので、大きく困ることはありません。
ですので、とにかく新人警察官は上司の性格を見抜くことを心がけてください。
上司の性格を把握すると上司が次にどんな行動をとるのかが読めるようになる。すると自分は先回りして動けるようになるため、上司に好印象を与える。警察官はこのような気遣いができるかどうかで評価が大きく変わってくるものである。
上司の性格を見抜くポイントとしては上司の仕事のやり方をじっくり観察するというところです。
これがすべてだと言っても過言ではありません。
上司の仕事のやり方を見ていれば
- 細かい性格なのか/大ざっぱな性格なのか
- すぐに怒る人なのか/温厚な人なのか
- 市民に対する接し方はどうなのか
ということがすぐにわかるのです。
細かい性格の上司なら仕事の教え方も細かいですし、部下に対しても同じ細かさを求めます。
つまり、新人警察官は最初に付く上司の仕事のやり方で覚えていくしかないので、自然と上司と同じような仕事ぶりになるというわけです。
最初に指導を受ける上司というのは良くも悪くも一生忘れられない存在ですし、警察人生においても重要な存在となります。
細かい上司/大ざっぱな上司
ここからは警察組織によくいる様々なタイプの上司について紹介し、そういった上司の攻略法についても解説していきます。
まず最初に紹介するのは細かい上司/大ざっぱな上司です。
どちらかと言えば警察組織には細かい上司の方が多く存在し、そういった上司は部下に対しても繊細な仕事ぶりを求めるパターンがほとんどです。
いずれにせよ新人警察官は言われたことを守るしかありません。
それぞれで特徴を見ていきましょう。
- 書類の書き方に細かい
警察官は数多くの書類を作成するが、細かい上司はちょっとした表現や言い回しについてもこだわりが強く、何度も書き直しを命じてくる。
- 仕事のやり方に細かい
仕事のやり方や進め方に絶対的な決まりを持っている場合があり、「自分が絶対に正しい」と思っていることが多い。
- プライベートについても細かい
警察官はプライベートに関する事項も上司に報告しなければならないが、完全にプライベートを把握しようとしてくるため求められる報告事項が多い。
私自身も何事に対しても細かい上司と仕事をしたことは何度もありますが、良く言えば仕事に対して丁寧、悪く言えば効率が悪く仕事が遅いという風に見えてしまいます。
こういった細かい上司と仕事をする場合はとにかく細かい指導を受けることが多くなりますが、その指導自体は間違っているわけではありません。
細かい=仕事が丁寧ということですので、指導を受ければ丁寧な仕事ぶりが身に付きますし、決してマイナスなことばかりではないのです。
最初にこういった上司から徹底的に仕事を教えてもらうことは大変な面はありますが、将来的に考えればプラスになるでしょう。
- 熱心に仕事を教えない
大ざっぱな上司は「そんなの適当でいいぞ」ということが多いので、そもそも部下に対する指導に熱心ではない。よって、部下は見て覚えるしかなくなってしまう。
- 応用から始まってしまう
大ざっぱな上司は応用ばかりで仕事をするため、基本を見ることができない。やり方としては効率的だが、新人警察官にとっては基本から学びたいところ。
- 仕事を適当にこなす
市民に対する接し方もつい適当になりがちで、問題にならない程度に仕事を適当にこなしてしまう。
はっきり言って、このような大ざっぱな上司と一緒に仕事をする場合は気が楽です。
なぜなら細かいことでいちいち指導を受けませんし、部下のことをあまり見ていないからです。
しかし、一見するといい上司に見えるのですが、新人警察官にとっては少し辛い部分もあります。
やはり新人警察官は1から仕事を覚えるべきですし、最初は基本から学ぶべきなので、大ざっぱな上司に付くと逆に大変な面もあるのです。
とても気楽に働けることは間違いありませんが、こういった上司と一緒に仕事をする場合は自ら色々と学んでいく姿勢を大切にしてください。
警察学校で辛い思いをした方が自分の成長には繋がるのと一緒の考えですね。
すぐ怒る上司/温厚な上司
続いて紹介するのはすぐ怒る上司/温厚な上司です。
警察官は上下関係が非常に厳しい組織なので、新人や若手警察官は先輩や上司から怒られて当たり前の存在です。
ときには警察官の命が懸かった現場もあるため、そのような現場での失敗は許されません。
ですので、経験や知識が浅い警察官は上司から怒られたり怒鳴られたりするのが日常茶飯事です。
良いか悪いかは別として、新人警察官は怒られながら成長していくものなのです。
よって、すぐ怒る上司というのは決して珍しい存在ではないことを覚えておいてください。
- わずかなミスでも許さない
部下のわずかなミスでも見逃さず、”ミスは許さない”と考えている場合が多い。
- 感情的になって怒鳴る
部下に対して大声で怒鳴ったり、パワハラぎりぎりの怒り方をしたりする。感情的になる上司は市民の前でも平気で部下を叱る。
- 礼儀に厳しい
仕事のことはもちろん、礼儀に対しても厳しい。少しお礼や挨拶を忘れただけで「お前のことなんて知らん!」と怒る上司もいる。
すぐ怒る上司=怖い上司なのですが、私自身もたくさんこのような上司は見てきました。
こういった上司の場合はなにをやっても怒られる場合がありますし、正直言って対策のしようがありません。
面倒見が良くて熱血的な上司ならいいのですが、ただ怒る上司というのは部下の立場からするとノビノビ仕事ができませんし、「どんなことで怒られるんだろう…」と不安を抱きながら仕事をすることになります。
あまりにもひどいようであれば幹部に申し出て、相談することも必要になるでしょう。
個人的には市民の前で部下を叱るというのは間違っていると思います。
- よほどのことでなければ怒らない
部下のミスに対しても声を荒げることがなく、よほどのことでなければ怒らない。
- 質問がしやすい
わからないことがあっても温厚な上司ならすぐに聞くことができる。すぐ怒る上司には質問すらできない。
- 頼りない一面も
あまりにも温厚すぎる上司だと頼りない一面も出てきてしまう。警察官はときに相手を一喝しなければいけない場面もある。
温厚な上司とはその度合いによって大きく変わってきます。
仕事の教え方は丁寧だし、部下には優しいけど、やるときは目つき変えてやるというタイプなら問題ありません。
逆に温厚すぎて部下のミスも指摘できず、市民に対しても弱々しい対応しかできないタイプだと頼りない上司に見えてしまいます。
ただ、質問がしやすい上司というのは新人警察官にとってはメリットだと思います。
この辺りをうまく見極め、温厚な上司の場合は”吸収できるところは吸収する”という考え方でいいでしょう。
上司に耐えられなくなったら…?
警察官に多い様々なタイプの上司について紹介してきましたが、皆さんはどのように感じられたでしょうか。
結局、新人警察官は上司によってすべてが決まってしまうというところがわかって頂けたかと思います。
最初に指導をしてもらう上司とは深い関係になりますし、一生忘れない存在になることは間違いありません。
尊敬できる上司であればその後もお世話になることがあるでしょうし、逆に「もう二度と会いたくない」と思う上司であれば口も利かない関係になります。
そのため、上司の性格によって接し方は大きく異なりますし、それぞれのタイプの上司と上手に付き合っていかなければいけません。
悩んだら別の上司に相談を
「どうしても上司と合わない」「今の上司と一緒にいると辛い」など、必ずしも上司とうまく付き合えるわけではない。そんなときは素直に別の上司に相談するようにしよう。新人警察官がこのような悩みを抱えることは決して少なくない。
では上司とソリが合わなくなったとき、上司を変更してもらうことは可能なのか?
私の経験上、上司を変更してもらうことは可能です。
私自身は上司を変えてもらったことはありませんが、他の同僚ではたまにありましたし、新人警察官がそのような申し出をすることもありました。
上司との関係が破綻してしまってはお互いにいい仕事ができなくなりますし、精神的にもよくありません。
ある程度は耐えるべきですが、耐えられなくなったら素直に相談するべきでしょう。
その時々の状況にもよりますが、幹部の判断によってすぐに違う上司に変わることもあります。
まとめ
今回は警察官に多い上司のタイプについて紹介し、新人警察官が上司の性格を見抜く大切さについて解説しました。
警察官はクセの強い上司が多いのが特徴で、新人警察官はそういった上司たちと仕事をしていかなければいけません。
新人警察官は上司を選ぶことができないので、上手に付き合っていくためには上司の性格を見抜くことが最も大事だと言えます。
よって、今回紹介した上司のタイプを参考にしてもらいたいですし、うまく攻略していって欲しいと思います。
それでも「どうしても上司と合わない」と思ったときは迷うことなく他の上司に相談するようにしてください。
状況によっては上司を変えてもらうことが可能なので、思い詰める必要はありません。
これから警察官を目指す方や間もなく警察学校を卒業する方は今回の記事を是非参考にしてください。
警察学校卒業後は上司と付きっきりで勤務すると聞きましたが…。どのようなことに気を付ければいいですか?