春と秋は警察学校の卒業シーズンですね。
厳しい規律の下、現場で働くことを目指して頑張ってきた初任科生にとって、警察学校卒業は1つの区切りとなります。
なぜなら警察学校卒業後は警察署へ赴任することとなり、いよいよ現場での勤務が始まるからです。
>>【関連記事】「警察学校を卒業した後はどうなる?警察学校卒業後の流れを詳しく解説」
制服を着て警察官として外で働くことを楽しみにしている人も多いでしょう。
犯人の検挙、交通違反の取締り、張り込み捜査などなど、やりたい仕事を既にイメージしている人もいますよね。
そのようなやる気は大いに歓迎されるのですが、新人警察官に1つ気を付けて欲しいことは言動です。
警察学校卒業=警察署で一番下の存在となりますので、新人警察官らしく機敏な動きをしていかなければいけないのですが、なにより言動には注意しなければいけません。
せっかくやりたい仕事がイメージできているのに、先輩や上司から嫌われてしまっては元も子もありません。
特に新人警察官は深く考えずに発言をしてしまう傾向にあり、たった1つの発言で立場が大きく変わってしまう可能性もあります。
警察学校卒業後の2年間は地域課での勤務となりますので、全国の新人警察官はみんな同じ立場で同じ仕事を行うことになります。
その中で、実は新人警察官が言ってしまいがちであり、かつ言ってしまうと上司から怒られるNGワードというものが存在するのです。
これは私の経験上でも実際に新人警察官の口から聞いたことがある発言ですし、警察組織においては好まれる発言ではないのが事実です。
そのため、いきなりスタートで失敗しないようにこの記事では新人警察官が絶対に言ってはいけないNGワードを6つ紹介します。
>>【関連記事】「初任補修科ってなに?なぜ2回も警察学校に入校するの?」
新人警察官のNGワード①
まず1つ目のNGワードは「警察学校ではこうやって習いました」です。
これを言ってしまう新人警察官は結構多く、その度に上司から雷を落とされています。
確かに警察学校では教官から「現場に出たらこうやってやるんだぞ」という風に教えられる機会は多いですし、初任科生にとってはそれが当たり前だと思い込んでしまいます。
あながちそれが間違いではないのですが、警察学校で習うことはあくまで基本中の基本についてです。
現場ではまったく違うやり方をすることは珍しくないので、ついつい「警察学校で習ったやり方と違う」と思ってしまいます。
警察学校で勉強する基本はもちろん大事なことだが、現場では基本を前提に応用で仕事をこなしていくのが普通。警察学校で習ったことがすべてではない。
現場には現場のやり方があるので、そこは臨機応変に対応しよう。
新人警察官が「このやり方は警察学校で習ったやり方と違うのですが?」なんてことを言ってしまうと、上司から「アホかお前!」と雷を落とされても不思議ではありません。
さらには怒られるどころか失笑されてしまう可能性もあるので、十分注意しましょう。
警察学校で勉強したことと現場のやり方が違うのは当たり前なので、警察学校卒業後は現場のやり方で仕事を覚えるようにしましょう。
また、上司や先輩によっても仕事のやり方は多少違いがありますので、それぞれ臨機応変に対応し、「こんなやり方もあるのかぁ」と覚えるくらいでちょうどいいです。
むしろ色々な人のやり方を覚えておくと自分の財産となります。
このNGワードは新人警察官が一番言ってしまいがちな言葉なので、心で思っても絶対に口には出さないことが大事です。
>>【関連記事】「元警察官が教える警察官に向いていない人の特徴5選」
新人警察官のNGワード②
2つ目のNGワードは「やり方がわからないのでできません」です。
新人警察官にはなによりも積極的な姿勢が求められますので、このような後ろ向きな発言は許されません。
もちろん現場に出ればわからないことだらけですし、1つ1つ仕事を覚えていかなければどうしようもありません。
わからないことに直面する度に「わかりません」と言っていては話にならないので、わからない場合は「教えてください」と言うのが基本です。
- 積極的な姿勢
どんなことにも積極的に対応し、失敗しながらでも仕事を覚える姿勢が大事。
- 機敏な動き
仕事でも雑用でも一番最初に動くのが新人警察官の役目。先輩や上司が動くようではいけない。
- 勉強熱心な姿勢
とにかく仕事を覚えなければいけないので、教えてもらったことはその都度メモをとるなど、熱心な姿勢も大事になる。
ここで1つ注意しなければならないのは警察官の上下関係はとても厳しいので、新人警察官に接する態度も人それぞれということです。
例えば、「このやり方がわからないので教えてください」と聞くと「これはこうやってやるんだぞ」と積極的な姿勢を評価して仕事をしっかり教えてくれる上司もいます。
その一方、同じ質問をすると「そんなもの自分で調べろ!いちいち聞くな!」という反応を示す上司がいるのも事実なのです。
結局は自分の指導をする上司の性格に合わせなければいけないので、仕事をしながら上司の性格を見抜く能力というのも大事になってきます。
それでも新人警察官が消極的な姿勢を示すことを好む上司はいませんので、「わからないのでできません」というのがNGワードであることは間違いありません。
ですので、もしわからない仕事に直面したときは「この仕事をやりたいのですが、やり方がわからないので教えて頂きたいです」というのが一番の正解でしょう。
新人警察官のNGワード③
3つ目のNGワードは「休憩をとってもいいですか?」です。
警察官の仕事は大変激務であり、休憩時間を削って仕事をすることが当たり前の世界です。
誰もが休憩をしたいと思っているのですが、仕事の性質上、なかなかそうはいきません。
過酷な警察官の勤務を初めて経験する新人警察官は「いつ休憩がとれるんだ…?」と思ってしまいがちです。
警察学校では決まった時間に食事、決まった時間に就寝という生活をしてきたので、なおさらそう思ってしまいます。
仕事は休憩をして当たり前という考えの人もいるので、ついつい「休憩をとってもいいですか?ご飯を食べてもいいですか?」という発言が飛び出してしまうのです。
これは実際に私の後輩でも発言をした者がいましたし、もっとひどいと上司の許可をとらずに勝手に食事をとっていた者もいました。
新人警察官はまだまだ警察の常識がわかっていないので、ときに信じられない行動をとることが珍しくないのです。
- 予定がわからない
警察官の仕事は事件、事故に対応するのが基本であるため、仕事の予定が立てられない。よって、休憩もいつとれるかはわからない。
- 長時間の残業
退勤前に大事件が入る場合もあり、長時間の残業は当たり前。帰りたいときに帰れない。
- 厳しい上下関係
上司がまったく休憩をとらない人であれば、その上司のやり方に合わせるしかない。部下が意見をすることはできない。
警察官の仕事は各個人でパトロールの時間や休憩の時間を考えて行動するので、人によって1日のスケジュールはばらばらです。
常に積極的にパトロールに出かける上司もいれば、基本的には休憩しているという上司もいます。
特に前者の場合は休憩時間も考えずにとにかく仕事をするタイプの上司なので、いつ休憩をとるかはわかりませんし、休憩したとしても短時間になります。
ついていくのに大変だし、「休憩したい…」と思うのが普通ですが、それを口に出すことはやめておきましょう。
>>【関連記事】警察官への転職ってどうなの?元会社員の経験者が詳しく解説
警察官の仕事の休憩時間はあってないようなものなので、休憩時間でもなかなか心は休まらない。
交番にいれば来訪者が来るし、刑事課など警察署で勤務をしていても相談者が来る。相手の都合に合わせることが基本になる。
新人警察官のNGワード④
4つ目のNGワードは「○○部長からはこうやって教わったのですが」です。
先ほども少し紹介しましたが、警察学校では基礎中の基礎を学び、現場ではその基礎を活かして応用的に仕事を行います。
そのため、人によって仕事のやり方はかなり違いますし、それに伴って新人警察官への仕事の教え方も異なります。
A部長(巡査部長)のやり方があれば、B係長(警部補)のやり方もあり、さらにCさん(巡査長)のやり方もあるので、新人警察官としては戸惑うこともあります。
そのため、B係長から仕事を教えてもらったとき、A部長とやり方が違えば「A部長からはこうやって教わりました」と言ってしまいがちです。
これは真実を話しているだけなのですが、当然ながらB係長にとっては「せっかく教えてやってるのに」とあまり気分がいいものではありません。
優しい人ならば全然許してくれることなのですが、厳しい上司であればこれを言っただけで干されてしまう原因にもなります。
新人警察官にとっては悩ましい問題だが、警察官の仕事はやり方も教え方も人それぞれ。その都度相手に合わせるしかないし、余計なことは言わない方が吉。
1つの発言で気分を損ねてしまう難しい性格の上司はよくいるし、そういう世界であることは覚えておこう。
なんでそんなに人によって違うんだよ…
これから警察官を目指す方の中にはこう思った方もいるのではないでしょうか。
そう思う気持ちは痛いほどわかりますが、私が警察官をやってわかったことは「クセの強い上司が多い」ということです。
ちょっとした手違いで激怒する上司は珍しくありません。
そのため、特に新人警察官は細心の注意を払って上司とは接していかなければいけないのです。
ただし、人によって仕事のやり方が違うということは、それだけ色々なやり方を覚えることができるとプラスに考えるようにしましょう。
実際に私も新人のときは数多くの上司と仕事をして、色々な人のやり方を見てかなり応用が効くようになりましたので、決してマイナスだけではありません。
新人警察官のNGワード⑤
5つ目のNGワードは「これってどうやってやるんでしたっけ」です。
以前教えてもらったことを忘れてしまった状況ですが、これを軽々しく言ってしまうと
- お前はメモをとってないのか
- 何回教えたらできるんだ
と怒られてしまうNGワードです。
しかし、実際のところよほどの天才でもなければ、教えてもらったことを1回で完璧に覚えることは不可能です。
そのため、「1回教えてもらったのに忘れてしまった」ということは誰にでもあり得る話なので、「わからないからすぐに聞こう」と思ってしまいがちなのですが…
残念ながら上下関係に厳しい警察官の世界ではわからないことを安易に聞けない雰囲気があります。
特に新人警察官であればなおさらです。
厳しい上司というのはとことん厳しいので、「1回教えたことはできるようにしろ」と言ってくる人も珍しくありません。
警察官の仕事はわからないまま進めていると大きな問題になることも少なくないので、わからないならば素直に聞いた方がいい。わからないことを放置している方が怒られることになる。
決してわからないことを聞くのが悪いわけではなく、安易に質問をするのがよくないという話である。
そんな中、この問題を解決してくれるのがメモです。
究極の話、教えてもらったことをすべてメモしておけばいつでも見返すことができるので、再び質問をする必要がなくなります。
そもそも教えてもらったことをメモするというのは社会人としての基本ですので、ただ聞いているだけではなくメモをする癖をつけましょう。
上司からしても話を聞いてメモをしている部下は印象が良いですし、やる気がしっかり伝わります。
そのため、メモをしていれば「もう1度教えてください」ということが言いやすくなります。
新人警察官は仕事だけでなく雑用も覚えなければいけませんので、なんでもメモをとる癖が大事になります。
>>Amazonで大人気著書「メモの魔力」を見る
ただし、どうしてもわからないことがある状況では必ず上司に聞くようにしましょう。
怒られるかもしれませんが、それより大きな失敗をするより遥かにマシです。
わからないまま仕事を進めて大失敗をすることはよくあるパターンなので、そこだけは注意してください。
>>【合わせて読みたい】警察学校に入校するまでにやっておくべきこと#1
新人警察官のNGワード⑥
6つ目のNGワードは「私がやるんですか?」です。
新人警察官はなにかと仕事を任されますし、同じくらい雑用もやっていかなければいけない立場です。
そのため、様々なことを頼まれますので、新人警察官は嫌な顔を1つせず応える必要があります。
新人警察官に求められることは積極性に加え、新人らしい素直さと謙虚さです。
なにか頼まれたら「はい、わかりました!」と元気よく応じることが大切になります。
この辺りは警察学校でも徹底的に叩き込まれることなのですが、たまに素直になり切れない新人警察官がいます。
新人が頼まれごとを断ることはできませんので、仕事はもちろんですが、例え「面白いことやれ!」というムチャぶりでもしっかり応じていきたいところです。
警察官の特徴の1つとして、「噂話が広まるのが早い」ということがある。そのため、「素直じゃない」「融通が利かない」という評価が下されるとすぐに警察署中に噂が広まってしまう。
他の部署の人と仕事をする機会も多いので、悪い噂が広まるのは避けたい。
さらに新人警察官は自分のやりたくない仕事、雑用を頼まれる機会も多いです。
「なんで自分がこんなことを…」と思う場面もあるでしょう。
そんなとき、「私がやるんですか?」と言いたくなる気持ちは大いにわかりますが、絶対に言ってはいけません。
1回でもこのような発言をしてしまうと
- 新人のくせに偉そうにするやつ
- 新人のくせに仕事を選ぶやつ
とすぐに評価が落ちてしまいますし、さらに上司からの印象も悪くなるので、プラスになることはなに1つありません。
このような発言は人事評価にも響き、希望の部署へも行きづらくなります。
例え自分のやりたくないことだったとしても、「はい、私がやります」と返事をすることがとても大事です。
最初のうちはこのような素直さと謙虚さをアピールしておくことで、困ることはないでしょう。
まとめ
今回は新人警察官が言ってはいけないNGワードについて紹介しました。
今回紹介したNGワードはいずれも実際に私が新人警察官の口から聞いたことがある発言です。
警察学校を卒業後は上司と付きっきりで仕事をすることになるため、その上司から干されてしまうと非常に仕事がやりづらくなってしまいます。
そのため、特に発言には気を付けたいところで、上司の機嫌を損ねないようにしていくことが大事になります。
1つの発言で評価は大きく変わってしまいますし、場合によっては悪い噂が広まってしまうことにもなります。
やはり新人警察官に求められるのは素直さと謙虚さです。
今回紹介したNGワードを参考に何事も積極的に対応できるように努めましょう。