念願だった警察官採用試験に見事合格したら、次に待ち受けるのは警察学校です。
警察学校は警察官採用試験に合格したら必ず入校しなければならず、警察官ならば誰もが通る道です。
合格した喜びを噛みしめるのもいいですが、徐々に警察学校入校に向けての準備を始めなければいけません。
ところが、警察学校への入校に対しては不安な気持ちを持っている方は非常に多いと思いますし、何を準備しておけばいいのかわからないという方も多いでしょう。
警察学校は特殊な世界なので、どんなところなのか想像が難しい上、どのような生活になるのかもイメージが難しいはずです。
実際、私自身も警察学校について事前に情報を収集することができず、入校までドキドキしながら不安な日々を過ごしていました。
- 警察学校はどんなところなのか?
- どんな準備をしておけばいいのか?
- 体力はどれくらい必要なのか?
- 法律の勉強は必要なのか?
結局、私は警察学校から指示をされた準備しかすることができず、後から振り返ると「もっと色々やっておけばよかった」と痛感したほどです。
なりより警察学校ではスタートダッシュに失敗すると後々に響いてきますので、まずはスタートでつまずかないことが重要になります。
スタートで失敗しないためには警察学校について事前に情報収集&準備をしておくことが有効であり、一番の攻略法になります。
情報収集と準備をしっかりしておけば心の余裕ができますし、少しでも不安を解消することができます。
そのため、この記事では元警察官である私の経験談も交えながら「警察学校に入校するまでにやっておくべきこと」について詳しく紹介していきます。
各都道府県警察によって若干の違いはあるかもしれませんが、大きく異なることはないと思いますので、是非参考にしてください。
体力面はしっかり準備しておく

警察学校に入校するまでにやっておくべきことの1つ目は体力作りです。
その理由は警察学校ではとにかく走りますし、走ること以外にも柔道や剣道など体力が必要な訓練が数多くあるからです。
警察学校では何よりも体力が必要になると言っても過言ではありません。
特に入校当初はたくさん走らされますので、走ることには絶対に慣れておかなければいけません。
走ることに関してはスタミナをつけることも大事ですが、そもそも体を動かすことに慣らしておくことが大事になります。
普段まったく運動をしていないという人は警察学校入校までにしっかり運動して体力作りをしておきましょう。
学生時代に運動系の部活をやっていた人ならばアドバンテージがあると言えます。
警察学校ではとにかく走る機会が多いため、体力面の準備をしておかないと単純に辛い。さらに体を慣らしておかないとすぐに怪我をしてしまうので、体力面は絶対に準備しておく必要がある。
実際、警察学校では入校していきなり怪我をしてしまう人が続出します。
そういう人たちは決まって「事前に体力作りをしていなかった…」と言うことがほとんどです。
怪我をすることを責めてはいけませんが、それでも警察学校入校に向けて最低限の準備はしておかなければいけません。
警察学校では厳しい訓練があることが分かっているので、それに向けて準備をしておくのは社会人として当たり前のことです。
怪我をして出遅れてもそれは自己責任となりますし、誰も怪我人を待ってはくれません。
怪我をすると当然ながら周りと同じことができなくなりますので、精神的には結構きついです。
警察学校は一人前の警察官を育成する場所なので、出遅れる人間を待ってくれるほど甘い世界ではない。
運動に慣れていない人は徐々に体力をつけていく形で大丈夫です。
いきなり激しい運動をして、事前準備の段階でケガをしてしまっては元も子もありません。
普段あまり走っていないのに急に走ろうとすると確実に怪我をしますので、その点は十分気を付けましょう。
体力作りの目安としては3~4km程度が普通に走れるようにしておけば大丈夫です。
警察学校ではマラソンのような長距離を走る機会はほぼありませんので、そこまで長距離に対する体力は必要ありません。(警察学校によっては駅伝大会などをやっているところもあります)
走るペースについてはそのときの教官やクラスによって異なるので、3~4km程度が無難に走れるようにしておけば問題ないでしょう。
また、警察学校では寝起きにランニングが行われるため、そういった体のリズムを作っておくことも重要です。
警察学校入校までに生活リズムを整え、朝起きてから走り込むという練習もオススメです。
ただし、1つ安心して欲しいことは体力面でついていけずに警察学校を辞める人はほとんどいないということです。
警察学校に入校すると嫌でも体力は鍛えられますので、運動が苦手な人でも慣れれば問題はありません。
必要以上に不安にならなくても大丈夫ですが、入校までに
計画的に貯金をしておく

警察学校に入校するまでにやっておくべきことの2つ目は貯金です。
あまり知られていないかもしれませんが、警察学校は意外とお金がかかります。
入校当初は色々と一括して購入しなければいけないものがあるため、最初にまとまったお金が必要になります。
警察学校に入校すると給料が発生するようになりますが、入校当初にお金が必要となりますので、まったくお金がない状態で警察学校に入校すると何かと困ります。
もちろん警察学校ではクレジットカードや電子マネーが使えるわけではないので、現金を用意しておく必要があります。
警察学校への入校が決まったら遊びにお金を使うことも大事ですが、一定の貯金は残しておきましょう。
警察学校で最低限必要になるものを紹介していきます。
- 授業で使う参考書や六法など
- 柔道着or剣道防具一式
- クラス統一Tシャツ&ジャージ
- 生活用品
さらにこれらに加え、3食の食費+飲み物&お菓子代も必要になってきますので、積み重ねるとそれなりの出費となります。
私自身が警察学校に入校したときは10~15万程度は持参していきました。(事前に警察学校より指示あり)
特に剣道を選択する人は剣道防具一式が最も高額な出費(5万円前後)となるので、頭に入れておく必要があります。
柔道や剣道を行うために買い揃えるものは警察署に赴任してからも使いますので、警察人生で見れば長く愛用することになります。
また、クラス統一ジャージは有名メーカーのものになることが多いので、プライベートで使用することもできます。
これらは使用年数で考えればそこまで高い買い物ではありませんが、入校当初に一気に購入することになるので、まとまったお金が必要になる点に注意が必要です。
警察学校では給料が発生するので、入校翌月からはそこまでお金に困ることはないでしょう。
ただし、貯金する癖をつけるのはとても大事なことです。
警察学校に入校して給料をもらうようになると、毎月のように貯金が底を尽きるまで使い込む人もいます。
若手警察官のお金のトラブルは不祥事に繋がることも多いので、計画的に貯金をする習慣を身に付けることが大切になります。
法律の勉強は?

よく質問を頂くことですが、警察学校入校前に法律の勉強をしておく必要は特にありません。
警察学校では基礎から法律について勉強していくので、法律については警察学校に入校してから勉強していけば十分です。
授業を受けて、日々勉強をしていけば法律の知識は自然と身に付いていきます。
また、法学部出身だからといって有利になることはなく、法律の勉強をしたことがないからといって不利になることもありません。
警察学校に入校するほとんどの人が初めて法律を勉強することになるので、大きな心配はいりません。
というよりも事前に勉強をしたところでよくわからないと思うので、勉強に関しての事前準備は特に必要ないでしょう。
法律の予習をするくらいであれば、少しでもランニングをする時間に割いた方が有意義と言えます。
警察官は法律を駆使して働いていかなければならないが、その基礎は誰もが警察学校で身に付けるもの。初心者に合わせた内容の授業となっているので、授業をしっかり聞いて習得するようにしよう。
警察学校に入校するまでは法律の勉強をしておく必要はありませんが、警察学校に入校してからはしっかり勉強をしていかなければいけません。
なぜなら警察学校を卒業したらすぐに現場での勤務がスタートするため、法律を知っていなければ警察官として困ることばかりだからです。
日々の授業をしっかり受けて、法律の知識を自分のものにできるようにしてください。
警察学校でしっかり勉強しておかないと「警察学校でなにやってたんだ!?」と上司から怒られてしまう可能性もあります。
市民からすれば新人警察官であろうが関係ありませんし、警察官が行う仕事はすべて法律に基づいていなければなりません。
現場に出れば「新人だからわかりません」は通用しない。
例外として、警察学校で優秀な成績を狙っているという方はある程度事前に勉強しておくと周りとは差をつけることができます。
予習をしておけばスムーズに授業に入っていけるのは間違いありません。
それでもまったくの初心者が独学で法律の勉強をしていくと
- 難しい法律用語
- 複雑な事例
- 難解な条文
などが大きな壁となり、勉強を始めてすぐに挫折をしてしまう可能性があります。
そこで、法律初心者におすすめの1冊は「刑法 伊藤真ファーストトラックシリーズ」です。
私がこの本に出会ったのは警察学校を卒業して現場に出てからでしたが、もっと前に買っておけばよかったと思えた本です。
この本は刑法について学ぶことができ、イラスト入りで初心者にもわかりやすく、事例に沿って勉強することができるので初心者にうってつけの内容です。
実際に私も警察官1年目のときにこの本で色々と学びました。(今でも自宅の本棚に置いています)
興味のある方は是非チェックしてみてください。
知人への連絡

警察学校に入校するまでにやっておくべきことの3つ目は知人への連絡です。
警察学校は入校して最初の1か月程度は外泊&外出ができず、さらに外部との連絡も禁止というところが多いです。
外出どころか携帯電話も最初は没収される可能性があるので、その点は覚悟しておく必要があります。
このような自由がない生活は警察学校で最初に受ける洗礼となりますが、警察学校では当たり前のように耐えていかなければいけません。
一定の期間は外部の空気を吸うことすらできませんので、耐えるしかありません。
言ってしまえば、入校当初は完全に世の中から”隔離”されます。
入校当時の私は3週間程度は外出や外部との接触ができませんでしたので、世間で何が起きているのかすら知る由はありませんでした。
よって、入校してしばらくは警察学校に缶詰状態となりますので、家族や友人、恋人などには連絡がとれないことを伝えておくのが無難でしょう。
会えないだけでなく、連絡すらとれないという点がポイントです。
支払い関係に注意
警察学校に入校してからしばらくは身動きがまったく取れなくなるため、支払い関係には注意が必要。口座引落があるようなものは口座の残高にも気を付けておこう。
一部の警察学校では平日の夜は携帯電話を返してもらえるそうですが、携帯電話を使えるのは週末のみという警察学校の方が多いはずです。
私がいた警察学校では平日は携帯電話を没収され、金曜日の夜に返してもらえるという校則でした。
これも入校してから約1か月後の出来事でしたので、入校して間もない頃は本当になにもできませんでした。
どうしてもどこかに連絡をとりたい場合は警察学校内にある公衆電話を使っていました。(公衆電話を使えるのは緊急のときのみ)
この辺りの規則については都道府県によって異なりますので、事前に確認できるならばしておきましょう。
そのため、そのことを知人に伝えておかないと
- 急に連絡がとれなくなった
- 既読すらつかないけど大丈夫…?
などと心配されてしまう事態になってしまいます。
「○月○日から警察学校に入校するからしばらく連絡できません」ということは事前に伝えておきましょう。
余談ですが、1つ裏話を紹介しておきます。
私が警察学校に入校しているとき、本当なら平日は携帯電話を教官に提出しなければいけないのですが、教官には偽物の携帯を提出し、本物の携帯をこっそり自室に隠し持っている同期が何人かいました。
どうしても携帯を手放したくない…という人はここまでやっていました。
実際のところ、誰にもバレなければこっそり携帯を使うことはできますが、この手法はかなりハイリスクな手法になります。
バレたときはとても大きな騒ぎになりますし、連帯責任で同期も処分を受けることになるので、おすすめはできません。
ペナルティは周りの同期にも課せられることになりますので、そこまでのリスクを負ってまで行うことではないかと思っていました。
※同期から密告される場合もあるので要注意!
自由な時間を楽しんでおく

警察学校に入校するまでにやっておくべきことの4つ目は自由な時間を楽しんでおくことです。
警察学校に入校して一番失われるのは自由な時間です。
警察学校の1日は午前8時30分~午後5時30分というタイムスケジュールになっていますが、当然ながらそれ以外の時間だからといって自由に過ごすことはできません。
早朝はランニングから始まりますし、夕方以降は自主練や課題などやることばかりです。
これは休日も例外ではなく、教官によっては休日に課題を課す教官もいます。
また、試験前は勉強に集中するため外泊を禁止されることが多いので、休日が必ず保障されているわけでもありません。
よって、警察学校入校中の旅行に関しては難しいと思った方がいいでしょう。
警察官が旅行をすること自体はまったく問題ありませんが、警察学校にいるうちはそこまでの余裕はないと思います。
なにより知っておいて欲しいことは警察官が旅行をする場合は上司の許可をとらなければいけないということです。
つまり、警察官は上司に無断で旅行をすることはNGですし、それが発覚した場合はなにかしらの処分を受ける可能性もあります。
警察官は外泊をするときには「外泊届」を提出しなければならない。万が一の場合、急な呼び出しを受けることがあるため、常に所在は明確にする必要がある。
警察官はそれだけ特殊な職業だということですので、あらかじめ覚えておきましょう。
警察学校に入校した時点で身分は警察官となりますので、この意識はすぐに持つ必要があります。
もちろん上司に届出をすれば却下されることはほぼないので、旅行をすること自体はまったく問題ありません。
しかしながら、警察学校に入校しているときに旅行の届出をしたらどうなるか…?
残念ながら警察学校入校中は高い確率で却下されてしまうと思います。
警察学校に入校している間は休みがあっても課題を出されたり、試験に向けた勉強が必要になったりで、なかなか旅行に行く時間がありません。
なにより警察学校入校中は教官が上司になりますので、旅行の届出は教官に提出することとなります。
そのため、気軽に「旅行に行きます」ということが言える環境ではないというのも大きいです。
もちろん黙って旅行に行くことはできなくもないですが、なにかあったときのリスクが非常に大きいです。
そこまでして旅行をしても心から楽しめないと思うので、あまりオススメしません。
ですので、警察学校に入校するまでに存分に自由な時間を楽しんでおきましょう。
特に海外旅行に行けるほどの大型連休は警察官になるとなかなか取得できませんので、自由な時間があるうちに行っておいた方がいいです。

まとめ
今回は警察学校に入校するまでにやっておくべきことについて紹介しました。
今回紹介したことをまとめると、警察学校入校までにやっておくべきことは
- 体力作り
- 計画的な貯金
- 連絡がとれないことを伝えておく
- 自由な時間を楽しんでおく
ということになります。
最初に紹介した体づくりというのは本当に大事なことです。
警察学校では決められたカリキュラムをこなしていくのですが、途中で怪我などをして離脱しても補習などは行われません。
警察学校は「遅れた分は自分で取り戻せ」というところですので、怪我をするのは絶対に避けたいところです。
すべて自己責任となりますので、警察官採用試験に合格したら徐々に体力トレーニングを行っていきましょう。
【こちらも要チェック】警察学校に入校するまでにやっておくべきこと#2
警察官採用試験に合格しましたが、警察学校がすごく不安です。事前の準備はどうすればいいですか?