警察官がプライベートまで管理されるというのはほぼ事実で間違いありません。
警察官は上下関係が厳しい組織であり、勤務中はもちろんのことプライベートにおいても模範的な行動が求められる職業です。
警察官になると、”休日だから好き勝手に生きる”というのは少々難しい面があるため、上司が部下のプライベートを管理するというのはある意味で仕方ないのかもしれません。
一般的な会社であればなかなか考えられないことですが、警察官の世界では常識となっていますので、これから警察官を目指す方は覚えておおきたいところです。
私自身、サラリーマンから転職して警察官になりましたが、プライベートに関する報告事項については多少戸惑いがありました。
正直、「そんなことまで報告しなければいけないの…?」と感じたこともあり、警察官に転職して驚いたことの1つです。
上司に報告しなければいけないことは多数あるので、「プライベートまで管理されるのはちょっと…」という考えの方には向いていない職業になります。
【関連記事】「元警察官が教える警察官に向いていない人の特徴5選」
- 交際者の個人情報
- 貯金やローンに関する情報
- SNSの利用状況
- 趣味や交友関係
- 飲酒・喫煙について
これらの報告事項は警察学校で一番最初に報告を上げますが、警察署に配属になった後も約半年に一度行われる上司との面談で毎回確認されることになります。
すべてデータベースで記録化されており、警察署を異動になっても次の上司に引き継がれるので、警察人生を終えるまで一生ついて回るものになります。
仕事に関する報告は当然のこととして、一体なぜプライベートについてまで報告しなければいけないのか?
また、どこまでリアルな報告をしなければいけないのか…?
この記事では警察官がプライベートまで管理される事情について、元警察官の経験談も交えながら詳しく解説していきます。
警察官志望者は必ず知っておきたいことなので、是非参考にして頂ければと思います。
なぜ警察官はプライベートを管理される?
まず初めになぜ警察官はプライベートを管理されるのか?について解説していきます。
冒頭でも説明した通り、一般企業であれば上司にプライベートを管理されるということはなかなか考えられないことです。
むしろ一般企業でこのような取り組みを行っていれば社員の反発を招き、人材の流出に繋がりかねません。
ところが、警察官の世界においてはごく当たり前のことであり、警察官であれば受け入れるしかないというのが現実です。
私自身も警察官時代はプライベートに関する数々の報告を上司に行っていました。
最初は少し戸惑いがありましたが、慣れていけば気になりませんでしたし、意外とすぐに受け入れられました。
”プライベートまで報告”というのは少し重い気がしますが、そこまで心配になる必要はないと思います。
警察官がプライベートまで管理される理由は大きく2つあると考えられます。
- 警察官の不祥事防止
- 部下に対する適切な指導のため
他にも様々な理由はあるでしょうが、自分自身の経験からこの2つの理由が大きいと考えます。
上司がプライベートを管理するということは決して悪いことばかりではなく、深く考えていくと組織にとってはメリットもあります。
逆に上司の立場になれば、半年に一度の面談の機会で部下の変化や兆候に気付く洞察力も求められることになります。
個々の警察官がプライベートな情報を上司に報告するのは不祥事防止のためというのが1つ大きな理由として考えられます。
残念なことに警察官という立場でありながら不祥事を起こす者は多く、挙句の果てには逮捕される警察官も珍しくないのが現実です。
警察官が不祥事を起こせばそれだけでニュースになりますし、不祥事を起こした警察官が所属していた都道府県警察は大きなバッシングを受けることにもなります。
なにより世間から警察官に対する信頼が低下するので、警察組織としては不祥事は絶対になくしていきたいものなのです。
そのため、プライベートに関する様々なことを報告させ、危険な予兆がある警察官には事前に指導を行って不祥事を防止する必要があります。
- 住宅や車のローン金額
- 飲酒量について
- 交際者の個人情報
- ギャンブル系の趣味について
民間企業から転職した私にとっては驚きの連続でしたが、不祥事を防止するためには有効な情報になることは間違いありません。
中でも金銭や異性に関するトラブルを起こす若手警察官は非常に多いため、プライベートまで把握することで適切な指導を行うことができます。
上司の立場からすると若手警察官に対しては高級車にお金をつぎ込んでいないか、派手な異性との交遊がないか、ギャンブルにのめり込んでいないか等は常に把握しておく必要があります。
報告する機会は半年に1回程度あり、上司が変わればその度に面談が行われることもあります。
面談と言ってもそこまで堅苦しい雰囲気で行うわけではなく、「最近どう?家庭も順調?特に困っていることもないよね?」といった感じの面談です。
また、希望する部署があればこのような機会に上司に伝え、上司に知ってもらうことで推薦を受けるなどのチャンスが増えるメリットもあります。
これらは必ず報告しなければいけないことなので、「そんなことまで管理されるのは無理」と思う方には警察官という職業は厳しいかもしれません。
警察官志望者は必ず覚えておきましょう。
新人警察官は特に指導が必要
次に新人警察官は特に指導が必要について解説します。
すべての警察官がプライベートについて報告しなければいけませんが、中でも新人警察官や若手警察官は厳格にチェックされる機会が多いです。
それは不祥事を起こす警察官には20代の若手が多いというデータがあるからです。
実体験として20代前半で不祥事を起こし、退職する若手警察官は数多く見てきました。
そのため、特に新人や若手警察官は上司から細かく指導を受ける機会がありますし、よりプライベートな報告求められる機会もあります。
また、警察学校を卒業してきたばかりの新人警察官がどんな人物なのかを把握するためにも上司は人物像をしっかり確認しておく必要があります。
何気ない面談で飲酒量やギャンブルについて確認しておくだけでもその後の対応が変わってくるでしょう。
警察官はプライベートでも模範的な行動が求められるので、面談はその意識を若手警察官に持ってもらう狙いもあります。
若手警察官が飲酒やギャンブルにお金を使うことが悪いわけではなく、節度を持って使うことが大切になる。実際はギャンブルや風俗にお金を使う警察官は多数いる。
そして、若手警察官が起こしやすい不祥事は金銭にまつわる窃盗事件です。
警察官は地方公務員なので、18歳や19歳だとしても毎月の給料や賞与はそれなりの金額を手にすることができます。
金銭感覚がしっかりしていれば大丈夫なのですが、やはり多額のお金を目の前にして感覚が狂ってしまう若手も珍しくありません。
警察官になったばかりの若手警察官が給料を全部使い果たしてしまうことはよくあることであり、それによって
- 同僚の財布からお金を盗む
- 寮費を使い込む
- 落とし物のお金を横領する
といった不祥事は数多く発生しています。
金銭感覚はもちろんですが、激務であるが故にプライベートで散財してしまうことは不祥事の典型的な例です。
そのため、上司によっては若手警察官の貯金額や通帳の中身まで確認する場合があり、お金の使い方について指導することもあります。
若手警察官による金銭関係の不祥事が多いのは事実なので、このようなプライベート管理は有効な手段だと考えます。
もちろん、適切な金銭感覚をしていれば問題ないことですし、必要以上に指導を受けることはありません。
若手警察官はお金に関するところまで報告が求められる点を覚えておきましょう。
交際者の個人情報は詳細に報告
続いて、警察官は交際者の情報を詳細に報告しなければならないことについて解説します。
警察官はプライベートな情報を上司に報告することが求められますが、それは交際者の情報に関することにも及びます。
「交際者の情報を報告…?」
これも一般企業では考えられないことになりますが、警察官は交際者ができた時点で上司に報告する必要があります。
警察官の世界では当たり前のことなので、警察官志望者はこの点についても覚えておきましょう。
交際者に関してどんなことを報告するかというと
- 交際者の氏名や住所
- 交際者の職業
- 交際者との結婚時期
などになるので、交際者とは真剣な交際である必要があります。
これも不祥事防止の一環で、警察官が適当な交際をしていないかを確認する意味があり、上司にとっては把握しておきたい情報です。
若手警察官が金銭に関する不祥事を起こしやすいと紹介しましたが、もう1つ多い不祥事が異性関係による不祥事です。
警察官が恋愛をして結婚をするのはごく当たり前のことですが、そこに不適切な交際があってはなりません。
派手にお金を使い、派手に異性と遊ぶ若手警察官は非常に危険な存在なので、上司としては少しでも情報を持っておきたいものです。
【関連記事】「警察官との結婚について|どこで出会う?身辺調査ってなに?経験談も交えて徹底解説」
浮気や不倫、不適切な異性交際によって出世コースから外れてしまう警察官は多い。この辺りは節度を持って考えたいもの。
警察官が恋愛を禁止されているというわけではありません。
プライベートでは自由に恋愛をすればいいですし、交際に発展すればそれを上司に報告するだけです。
特に結婚をするときは結婚相手の身辺調査が行われ、幹部から許可をもらって結婚するという流れになりますので、より細かい情報が必要になります。
もちろん、よほどのことがなければ結婚の許可はもらえますので、そこまで心配する必要はありません。
警察官の世界をあまりご存知でない方からすれば、「そんなところまで報告が必要なのか?」というのが率直な感想だと思います。
私自身も警察官に転職して少し驚いたことですので、そう思うのは普通のことでしょう。
ただし、警察官になったらこのようなことを隠していくことは難しいため、理解しておく必要があります。
旅行をする場合は届出が必要
次は警察官が旅行をする場合の届出について紹介します。
これまた一般企業では考えられないことですが、警察官が旅行をする場合は上司への届出が必要になります。
これも警察官の世界ではごく当たり前のことですので、警察官や警察官の恋人は覚えておく必要があるでしょう。
日帰り旅行くらいなら届出は必要ありませんが、宿泊が伴う旅行については必ず上司への届出が求められます。
警察官が旅行をするのに届出が必要になる理由は
- 所在の明確化
- 緊急時の招集のため
の2つが考えられます。
警察官にも決められた休日はありますが、場合によっては休日を返上して働くことが必要になる場面もあります。
例えば、刑事課であれば事件が発生すれば人手が必要になるので、休日であろうと呼び出しを受けることが当たり前です。
そのため、休日でも旅行に行くのであればどこに行っているのかということは上司に報告しておく必要があるのです。
無断で旅行することはできなくもないですが、リスクが高いのであまりオススメはしません。
警察官の仕事はいつ何が起きるのはまったく予測がつかないため、休日でも油断することはできない。特に刑事課なら休日に呼び出しを受けることも当たり前。
旅行の届出の内容としては
○月○日
○時~○時まで○○というホテルに宿泊
移動手段は○○
といった内容になります。
緊急の呼び出しがあった場合でも旅行の届出さえしていれば、応じられなくても問題はありません。
逆に無断で旅行をして、緊急の呼び出しに応じられなかったときが大変なことになります。
若手警察官のこのような失態は大きなマイナスになってしまいますので、十分に気を付けましょう。
また、独身寮に住んでいる間は特にこの所在の明確化が求められる立場になるため、このルールは厳守していく必要があります。
刑事課の他に機動隊も突発的な災害への出動が必要になる場面があり、所在の明確化が求められる立場です。
台風が近づいている場合などは呼び出しの可能性を考慮し、プライベートでの予定をキャンセルして待機することもあります。
なお、警察官が自由に旅行できないという意味ではありません。
上司に届出を出せばよほど却下されることはありませんし、旅行をすること自体は問題ありませんので、その辺りは誤解がないようにして頂ければと思います。
私自身も連休を取得したときはよく旅行に出かけていました。
しかし、1つ注意してもらいたいのは海外旅行についてです。
海外旅行は直属の上司だけでなく、幹部からの許可も必要になります。(私の県警では本部の許可が必要でした)
なかなかいないと思いますが、例えば「北朝鮮やロシアに行きます」という届出は許可されません。
基本的に危険が伴う国や共産主義、社会主義系の国への旅行は認められないからです。
通常の旅行ならばまったく問題はありませんが、海外旅行だけは少し制限がかかることは事実ですので、海外旅行が好きな方は警察官になるまでに楽しんでおくことをオススメします。
警察官はSNSが禁止されている?
最後に警察官はSNSが禁止されている?について解説していきます。
プライベートまで管理される警察官ですが、自らのプライベートを明かすSNSの利用についてはどうなのでしょうか。
一部インターネット上では”警察官はSNSが禁止されている”という噂が広がっており、実際にそのような噂を目にしたことがあります。
確かにここまでプライベートが管理されているとSNSも気軽に使えないと思われても無理はありません。
警察官は特殊な職業だけにこのような噂が広まっても仕方ないでしょう。
しかし、ここはご安心頂ければと思います。
結論を先に言うと警察官のSNS利用が禁止されているという事実はありません。
警察官でもInstagramやTwitterなどのSNSは自由に利用することができます。
今の時代、若手警察官なら当たり前のようにInstagramのアカウントを持っているものです。
日常の写真をアップしたり、遊びに出かけた写真をアップしたりするのもまったく問題ありません。
警察官だからといってSNSが利用できないわけではないので、その点はご安心ください。
ただし、警察官のSNS利用については以下の点に十分注意が必要です。
- 警察官であることを明かさない
- 仕事に関する投稿はしない
- 情報漏洩に気を付ける
- 節度を持って利用する
まず大前提として、SNSを利用したとしても警察官であることを明かしてはいけません。
警察官であることを周りに自慢したくなる気持ちはわかりますが、あくまで一般人として利用するに留める必要があります。
仕事や業務に関する投稿は行わないようにし、情報管理は徹底していかなければいけません。
ちょっとした油断からSNSでの情報漏洩に繋がる不祥事は決して珍しくないので、その辺りは警察官として自覚を持つようにしましょう。
当然、不適切な投稿や利用が発覚すれば処分を受けることは免れませんので、SNSがきっかけで退職なんていうことにはならないように気を付けてください。
また、警察官が本名でSNSをやることも問題はありませんが、その場合も内容には気を付けていく必要があります。
警察官として仕事をしていると色々な人に名前を知られる機会があるので、今の時代だと簡単に検索などで辿りついてしまうことが考えられます。
そう考えると警察官が本名でSNSを利用することはあまりメリットがないかもしれません。
そのため、SNSの利用については面談時に上司から報告が求められる場合がありますし、SNSの適切な利用についてはよく教養も受けます。
携帯電話の中身まで確認されることはよっぽどありませんが、それでも正直に報告しておいた方が無難です。
さらに警察学校では携帯電話の中身がチェックされることはよくありますので、不適切にSNSを利用することがないよう十分気を付けてください。
もし、上司や教官に携帯電話を見られてまずい内容がある場合は事前に消しておくことをおすすめします。
まとめ
今回は警察官はプライベートまで管理される?という話題について解説してきました。
今回の記事をまとめると
- 定期的に上司との面談が行われる
- 面談ではプライベートなことまで報告が必要
- 特に若手警察官は詳細な報告をする
- プライベートを把握することは不祥事防止にも繋がる
- 警察官のSNS利用は問題ない
ということになります。
警察官がプライベートについて上司に報告することは一般的な感覚としては「面倒くさそう…」と感じることは間違いありません。
私自身も会社員から転職して「こんなことまで聞かれるのか」と驚いたことです。
しかし、警察官の世界では当たり前のことなので、慣れてしまえば特に窮屈には感じませんでした。
逆に「そんなことまで他人に話したくない」と考えている人だと警察官は向いていない職業なのかもしれません。
警察官を目指すならば必ず覚えておきましょう。
【Aamzon】警察官になる本 2023-2025
警察官はプライベートまで管理されると聞きましたが、本当ですか?