元警察官が警察学校に関する様々な疑問にお答えする警察学校Q&Aシリーズ。
日々寄せられる質問や疑問の中から厳選してお答えし、それと同時に警察学校について何も知らない方にもわかりやすく解説していきます。
これから警察学校に入校する方や警察官を目指している方は是非参考にしてください。
警察学校とは警察官採用試験に合格したあとに入校する施設で、入校する警察官は初任科生(しょにんかせい)と呼ばれます。
初任科生は決められた期間を警察学校で過ごし、日々基礎教養訓練を受け、警察官としての心構えや必要な知識・技術を学んでいきます。
警察学校を卒業して、ようやく警察官として現場で勤務できるようになるため、憧れの警察官になるためには避けては通れない道です。
警察学校にはいつ入校する?
警察学校に入校する時期は都道府県によって異なりますが、多くの場合で4月か10月となっています。
4月入校を春入校、10月入校を秋入校とも呼んでおり、新卒なら春、既卒なら秋と割り振られることがあります。
それでも春入校の方が圧倒的に人数が多いので、転職組などを除いてはほとんどの人が4月に入校すると思っておけば間違いありません。
また、警視庁や大阪府警など大規模な警察学校になると年に3回入校する機会を設けている場合もあります。
警察官採用試験を受験
警察官採用試験の合格発表
合格者は警察学校入校に向けて準備
4月もしくは10月に警察学校入校
4月入校の場合は試験を前年の5月頃に受験し、8月頃に合格発表となるので入校まではたっぷり時間があります。
その一方、転職組などが10月入校する場合は8月頃に合格発表があってから入校まではあまり時間がありません。
私自身が転職組で10月入校でしたが、8月中旬に合格発表があってから慌ただしく入校までの1か月半を過ごしました。
警察官採用試験を受験する際は入校までのスケジュールも見据えておくといいでしょう。
警察学校は警察官採用試験に合格した地域で入校することになります。
大阪府警の警察官採用試験に合格して、警視庁の警察学校に入校することはできません。
ですので、警察官採用試験は自分が働きたい都道府県で受験するようにしましょう。
当然ながら途中で転校なんてこともできませんので、注意が必要です。
警察学校は自宅から通える?
警察学校は男女とも全寮制となりますので、残念ながら自宅から通うことはできません。
例え警察学校の近くに自宅があるとしても警察学校の寮に入って他の同期と集団生活を送ることになります。
警察学校が全寮制になっているのは様々な理由がありますが、大きくは
といった意味合いがあるでしょう。
警察官として現場で勤務するためには警察学校を卒業する必要がありますので、まずは警察学校での集団生活を乗り越えていかなければいけません。
警察学校は各クラス毎での行動となるため、常に隣には同期がいる生活となる。それまでの日常生活と違って個人の自由はない。
警察学校での生活は正直に言って、大変です。
厳しい規律の中で自由がない集団生活を送り、教官からは毎日当たり前のように叱責されるので、志が高くないと続きません。
警察学校で退職してしまう人は決して珍しくないので、警察官採用試験に合格した場合は強い気持ちを持って入校に臨みましょう。
また、現代人にとって欠かせない携帯電話の使用を制限されることが多く、毎日携帯が使える環境ではないことも覚えておく必要があります。
これまでの日常生活と大きく環境が変わるところは受け入れるしかありません。
警察学校に入校する期間は?
警察学校に入校する期間は採用区分によって異なりますが、高卒区分は10か月、大卒区分は6か月の期間を警察学校で過ごすことになります。
イメージとしては高卒と大卒が4月に入校し、大卒は9月末で卒業、高卒は翌年1月末で卒業していきます。(高卒と大卒ではクラスが別になる)
この限られた期間で教養・訓練を受け、警察官として必要な知識や体力を身に付けていくことになります。
警察学校を卒業するとすぐに警察署での勤務が始まるため、入校中は1日1日を無駄にすることができません。
6か月や10か月と聞くとずいぶん長く感じるものですが、警察学校の生活に慣れてしまえば卒業まではあっという間です。
授業や訓練のほかに体育大会、クラブ活動、食事、入浴、自由時間など警察学校では常に同期と行動をともにするので、同期との絆は一生もの。
警察学校はすべてカリキュラムが決められていますので、毎日忙しい生活を送ることになります。
日によっては分単位での行動が求められますし、慌ただしく動き回る日が多いため、のんびり過ごすなんてことは滅多にありません。
警察学校の入校期間というのはそれだけ中身が濃いものになっていることをあらかじめ覚えておきましょう。
警察学校の休日は?
警察学校は週休2日制(土日休み)となっており、その他は祝日・夏季・年末年始の休暇があります。
基本的に月曜~金曜を警察学校で過ごし、土日祝は休みというパターンがほとんどです。
土日の休みは自宅に帰ることもできるので、何も問題がなければ金曜の夜に帰宅し、日曜に警察学校に戻ってくるという生活になります。
ただし、例外がいくつかあります。
上記の場合は休日でも自宅に帰ることができないため、毎週必ず帰れるわけではないことを覚えておきましょう。
まず警察学校に入校して間もない頃は指導強化期間と呼ばれ、3~4週間は警察学校に缶詰め状態となります。
この期間は休日でも授業や訓練が行われる場合があるので、警察学校に入校して最初の山場と言えます。
また、試験直前の期間は勉強に集中するために帰宅が許可されない場合がありますし、自宅が県外にあって容易に帰宅できない場合も帰ることができません。
警察学校は集団生活ですべてが連帯責任となるため、誰か一人が不祥事を起こせば全員にペナルティが与えられる。その1つのペナルティとして、”外泊禁止”という措置がとられる場合もある。
長期連休としては4月入校ならGWの連休がありますし、10月入校なら年末年始の連休があります。
休日があれば厳しい生活の中でもメリハリをつけて頑張れるところですが、休日用の課題が出される場合があるので、完全に羽を伸ばすわけにはいきません。
警察学校に入校しているうちは遊ぶことを考える余裕もそうないでしょう。
警察学校から離れるとついつい気が緩んでしまいがちですが、あくまで身分は警察官であることを忘れないようにしてください。
休日に不祥事を起こせば当然ながら重いペナルティが下され、最悪の場合は退職にも至るので、十分に気を付けなければいけません。
警察学校の給料は?
意外と知られていないかもしれませんが、警察学校は毎月給料をもらうことができます。
警察学校の初任科生は授業や訓練を受けながら給料をもらう立場になるので、すべてが仕事であることを忘れてはいけません。
当然ながら警察官の給料は市民の税金から支払われているため、授業中に居眠り・サボり・仮病などはもってのほかと言えるでしょう。
警察学校では事件や事故に対応するわけではなく、決められたカリキュラムをこなしていくのみになりますので、給料は一人前の警察官を育成するために支払われるものと考えるべきです。
また、4月入校なら夏季、10月入校なら冬季に賞与(ボーナス)ももらうことができます。
警察学校で給料をもらえる意味についてはしっかり考える必要があるでしょう。
- 警視庁
Ⅰ類 269,500円
Ⅲ類 232,000円 - 大阪府警
大卒 256,804円
高卒 222,929円
警察学校で生活しているうちは自由な時間が少ないため、そこまでお金を使う機会がありません。
お金の使い道は自由ですが、将来に向けて貯蓄をするいい機会になると思います。
なお、警察学校を卒業して警察署での勤務が始まると
などの各種手当が加算されるため、給料の総額としては上がることとなります。
また、上司によっては貯蓄額やお金の使い方について確認をされる場合がありますし、散在することで不祥事にも繋がりますので、金銭感覚はとても大事になるでしょう。
警察学校入校中の恋人に会える?
警察学校に入校する人の中には恋人がいる人もたくさんいることでしょう。
前述してきた通り、警察学校は全寮制の生活となっており、休日も限られた日数しかないので、簡単に連絡をとることもできません。
当然のことながら恋人に会うために警察学校に行くことはできませんので、大前提として警察学校がそのような場所ではないことを知っておく必要があります。
恋人が警察学校に入校した場合、基本的には休日しか連絡がとれず、会えるとしても休日のみになることを覚えておきましょう。(都道府県によっては平日でも携帯電話が使える警察学校があります)
これまで毎日のように会えていた恋人でも警察学校に入校すれば状況は一変します。
入校後のギャップに戸惑わないよう事前にお互いの信頼関係を築いておくことが大事と言えるかもしれません。
警察学校には既婚者の入校もあるが、独身の初任科生と同様に全寮制での生活となる。ただし、出産に立ち会うなどの場合は特別に外泊が認められる。
そもそも警察学校に入校している身分で恋愛をすることが認められるのでしょうか?
規律に厳しい警察学校なので心配されるところですが、恋愛自体は問題ないのでその点は安心して大丈夫です。
むしろ恋人がいることによってモチベーションが高まり、警察学校での訓練に一段と力が入ればそれは良いことでしょう。
ただ、遊びに夢中になる余裕はありませんし、警察学校での生活は立派な仕事になりますので、しっかりと線引きはしなければいけません。
遊ぶことばかり考えていて勉強が疎かになってはいけませんので、そこのバランスは大切にしていく必要があります。
恋人としても会えない時間が長くなることでモヤモヤすることが増えるかもしれませんが、応援すると同時に自分の時間を大切にするといいでしょう。
まとめ
今回は警察学校Q&Aと題し、警察学校に関する様々な疑問にお答えしました。
今回の記事をまとめると
- 警察学校には春と秋に入校するタイミングがある
- 警察学校は全寮制で自宅から通うことはできない
- 警察学校に入校する期間は高卒と大卒で異なる
- 警察学校は土日が休みになる
- 警察学校は給料が支払われる
- 警察学校に入校中でも恋人には会える
となります。
警察学校は特殊な世界となるので、これまでの日常生活は大きく異なることを覚えておかなければいけません。
警察官として働くためには警察学校を卒業しなければらないので、覚悟を持って入校するようにしましょう。
警察学校に関する様々な疑問を解消します!