警察官の仕事について、警察官志望者からは刑事と白バイが圧倒的な人気を誇っており、警察官採用試験の面接でも志望理由として挙げる方が多いです。
刑事と白バイは一般の方でも知っている部署であり、テレビでもよく取り上げられることから自然と人気になっています。
「子どもの頃から白バイに憧れていた」と話す方も珍しくありませんし、「白バイに乗りたくて警察官になった」という方もいます。
白バイと同じくらいの人気を誇るのが刑事です。
刑事というのは刑事課で勤務する警察官のことで、警察官の花形と言われているポジションになります。
皆さんは刑事についてどんなイメージを持っているでしょうか。
- 張り込みで捜査をする
- 犯人に逮捕状を示す
- ガサ入れをする
- 薬物事件の捜査をする
これらはすべて刑事の仕事で間違いありません。
警察24時でもよく目にするシーンなので、多くの方が一度は見たことがあることだと思います。
ただし、大前提として知って欲しいのは”刑事になるためには刑事課に入らなければならない”ということです。
どれだけ刑事に憧れていたとしても刑事課に入ることができなければ刑事として働くことはできません。
では、刑事になるためにはどうすればいいのか?刑事課に入るためには何を頑張ればいいのか?
この記事では刑事課に入るための極意を紹介し、最短で刑事になるためのルートを解説していきます。
刑事に憧れている警察官志望者の方の参考になれば幸いです。
刑事になるためにやるべきこと
まずは刑事になるためにやるべきことを紹介します。
警察官を目指している方の中には刑事になりたいと思っている方が多くいることだと思いますが、最初にお伝えしたいのは”誰もが刑事になれるわけではない”ということです。
警察官の仕事は様々な部署がありますが、全員が全員希望通りの部署に入ることはできません。
実際、刑事になる夢が叶わなかった警察官はたくさんいます。
「刑事になりたい」と思っていても必ず刑事になれるわけではないことを覚えておく必要があります。
ですが、100%の希望が叶わなかったとしても刑事になるためにやるべきことというのはいくつもあります。
そもそも、希望の部署を目指すためにはどうすればいいのでしょうか。
最初から諦めるのではなく、やれることをやって結果を待つべきです。
- 地域課の勤務で結果を出す
- 希望の部署に人脈を作る
- 希望の部署に関連する仕事を頑張る
- アピールを怠らない
すぐに実践できるものとして、上記の取り組みが考えられます。
警察学校を卒業すると必ず地域課の交番勤務となるので、まずは交番で結果を出すことがすべてです。
結果とは犯人を検挙することもそうですし、取締りでも件数を挙げていくことが大事になります。
刑事になりたければ刑事課の人脈を作ることが鉄則となるため、事件を検挙し、刑事課と一緒に仕事をする機会を増やすのが早いでしょう。
これらの行動がすべてアピールに繋がりますので、交番勤務でどれだけ目立つことができるかは大きなポイントになります。
目立つ若手警察官には自然と希望の道が開かれるものです。
結果を出す若手警察官は他の部署からお声がかかるくらいなので、刑事課の課長から「刑事にならないか?」とオファーが届くほどアピールすることが大事です。
各部署の課長は同じ若手警察官でも能力が高く、実績を出してきた人材が欲しいと思うもの。また、努力する人材も好まれる。
交番勤務で結果を出すことは容易ではありません。
当然、努力をしなければ実績は上がっていきませんので、ただ単に働いているだけではアピールできないでしょう。
結果を出すためにどうすればいいのかを考えることも大事ですし、体力勝負でとにかく行動していくことも大事です。
事件捜査を行えば行うほど刑事課と連携する時間が増えますので、人脈を作るチャンスも増えます。
また、地域課で事件捜査を行っていると司法書類の作成に慣れることができ、自分自身のスキルアップにも繋がります。
刑事課を目指すのであれば、被害届くらいは軽くこなせるようにしておくと役に立ちます。
ベテラン刑事も警察官人生は交番勤務からスタートしています。
憧れの刑事になるためにもまずは交番勤務を全力で頑張りましょう。
刑事課への最短ルート
次に刑事への最短ルートについて解説していきます。
警察学校卒業後は全員が交番勤務となりますが、その後の異動は人によって様々です。
そのまま定年まで地域課に残る人がいれば、数年で他の部署に異動になる人もいます。
警察官の異動は本当に人によって様々ですし、部署を自分で決めることはできません。
辞令1つで勤務する警察署や部署が変わる世界ですので、この辺りは組織の決定に従うしかありません。
その中で、警察学校卒業後から最短で刑事になるルートを探っていきます。
- 地域課で実績を残す
先ほどご紹介した通り、まずは何よりも地域課で実績を残すことが大事になります。
実績を残す=存在をアピールすることになりますので、活躍する若手警察官は自然と他の部署にも名前を知られるようになります。
正直に言って、地域課で結果を出さなければ最短で刑事になることはできません。
なぜなら刑事になりたいと思っている若手警察官は自分以外にも多数存在しているからです。
目立つ人材から声がかかるものですので、結果を出していかなければライバルに先を越されてしまうでしょう。
また、事件を検挙していくと刑事課と一緒に仕事をする機会が増えますので、直接刑事課にアピールする絶好の機会となります。
刑事課に頻繁を顔を出すことで刑事課長に名前を覚えてもらうことができますし、その他の刑事とも人脈を作ることができます。
最短で刑事を目指すならばまずはここからになります。
- 刑事課希望をアピールする
刑事課のメンバーに顔と名前を覚えてもらえるようになったら刑事課希望であることをアピールしていきましょう。
どんなところにチャンスが転がっているかわかりませんので、刑事課に入りたいことをアピールしていくことは大事です。
何気ない会話の中でも刑事課を希望していることを伝えていくようにしましょう。
アピールすることによって自然と刑事課の中で噂が広まりますので、一気に名前を売るチャンスになります。
刑事課長は次に刑事課に入れる若手警察官を探していることも多いため、話が進めば面談に呼ばれることもあります。
もちろん、ここでもライバルとの競争が生まれますので、実績を残し、仕事熱心であることを示すことが大事です。
実績と人脈が出来上がれば刑事課への最短ルートが見えてきます。
- 刑事課の仕事を手伝う
地域課で実績を残し、刑事課に出入りする機会が増えたら刑事課の仕事を手伝うということを意識するようにしましょう。
刑事課は基本的に忙しいので、猫の手も借りたい状況であることが多いです。
書類をコピーするだけでも膨大な量がありますし、雑用を手伝ってくれる存在がいれば非常に助かります。
「何かお手伝いできることはありませんでしょうか?」と声かけを回るだけでも違うでしょう。
ただ、刑事課の仕事を手伝うといっても言葉にすると簡単なのですが、中身はとてもハードです。
あくまで自分自身は地域課での勤務があるため、自分の仕事が終わってから刑事課に行って仕事を手伝う形になります。
つまり、24時間勤務が終わった後に刑事課に顔を出すことになるので、そう簡単にできることではありません。
当然のことながら何の手当も発生しませんし、すべてサービスで行うだけですので、自分の目標に向かってどれだけ追い込めるかという勝負になってきます。
ハードな生活になることは間違いありませんが、刑事と一緒に仕事ができるようになれば大きく前進することは確実です。
- 直属の上司にも相談しておく
刑事課に対してアピールすることはとても大事ですが、地域課で一緒に勤務をしている直属の上司にも相談しておくことが大切です。
上司が何かしら刑事課と繋がりがあるかもしれませんし、できる限りのサポートを受けることができる可能性があります。
上司から刑事課へ推薦を出してもらえるルートもありますので、普段の仕事を全力で取り組むことは当然必要になってきます。
また、刑事課に入るためには留置管理係や機動隊を経験することが必須条件になっている場合もあるので、その点は上司に確認しておきましょう。
刑事課希望であることを前提にしておけば、これらの部署に入ることはそんなに難しいことではありません。
なぜなら留置管理係や機動隊を希望する若手警察官は少ないので、年に1度の希望調査でしっかり自分の希望を出しておけば大丈夫です。
私が所属していた県警では地域課2年→留置管理係2年を経て、刑事課に入るのが最短ルートとなっていました。
刑事課への最短ルートといっても警察学校を卒業してから最短4年はかかるのが普通でしたので、その点は覚えておく必要があります。
誰もが刑事になれるわけではない
続いて、残念ながら誰もが刑事になれるわけではないということについて解説していきます。
ここまで刑事課に入るための最短ルートについていくつか紹介してきましたが、皆さんはどのように感じられたでしょうか。
刑事になるためには多くのことに取り組まなければいけないので、意外とハードルが高いと感じられた方が多いかもしれません。
「警察官になったら刑事になる」と夢見ている方も多くいるかと思いますが、刑事になる難しさをわかって頂けたかと思います。
まずは憧れの刑事になるためには色々な努力を重ねなければいけないという点を知ってもらえればと思います。
地方だと様々な部署をローテーションで経験するという県警があるため、そういったところであれば自動的に刑事も経験することができます。
しかし、警察官の数が多い都市部では全員の希望が叶うわけではありません。
夢が叶う人もいれば、そうでない人も多く存在します。
私自身も警察官時代に刑事に憧れる同僚が多くいましたが、努力を重ねて刑事になった警察官がいれば、夢が叶わず刑事になれなかった警察官もいます。
刑事と同じく憧れる人が多い白バイも同じで、警察官になって実際に白バイに乗れるのは限られた人のみです。
夢を叶える警察官がいる一方で、涙を流す警察官がいるのが現実です。
すべては競争の世界なので、この辺りの意識は警察学校入校中から身に付けておくといいでしょう。
警察官として勤務していると実績や勤務態度によって必ず順位がつけられる。当然のことながら上位にいないと希望の部署への夢も叶えることができない。
刑事になるために強い意志を持ち続けることは大事ですし、モチベーションを保つことも大事です。
刑事になれるかどうかはライバルとの勝負ですので、勝てるかどうかは精神力の強さも大事になってきます。
その中で、”刑事になれなかったとき”のことも考えておくことが必要になります。
全力で頑張った結果、刑事になれなかったという結末は十分に考えられます。
それは刑事になれるかどうかは実績や能力だけでなく、人脈や年齢といった要素も絡んでくるので、自分一人ではどうにもできない部分があるからです。
あまり考えたくないことですが、刑事になれなかったときにどう気持ちを切り替えるかは考えておくべきです。
最後の最後まで諦めるべきではないですが、それでもいずれ結末はわかることになります。
例えば、自分が刑事になれず、後輩がどんどん刑事課に入っていくようであれば気持ちに一区切りつけるタイミングと言えるでしょう。
そんなときでも自分の部署で与えられた仕事を全うするべきで、警察官ならば現実を受け入れるしかありません。
悩んでいても通報や事件は続きますので、気持ちを切り替えて業務にあたっていくことが大切です。
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もし刑事になれなかったら?
最後にもし刑事になれなかったら?について解説します。
刑事への最短ルートを紹介し、その一方で誰もが刑事になれるわけではないことをお伝えしてきました。
自分の努力次第でチャンスを広げることは可能ですが、最後の最後は組織の決定に従うだけです。
これは何も刑事への挑戦に限ったことではなく、勤務する警察署も自分では決めることができませんし、希望しない部署へ異動になることもあります。
この辺りは辞令1つで動く組織ですので、予想外のことが起きてもすぐに受け入れる心構えが必要です。
念願が叶って刑事課に入れた場合と夢破れて刑事課に入れなかった場合とでそれぞれとるべき行動について紹介します。
- 刑事課に入れた場合
憧れていた刑事課に異動することが決まったらまずは喜ぶべきです。
少なからず努力なしでは刑事課に入ることができなかったでしょうから、その成果をしっかりと噛みしめましょう。
それと同時に新たに気持ちを入れ替え、そこからは新人刑事として獅子奮迅の動きが求められますので、覚悟を決める必要があります。
新人刑事は警察学校を卒業したばかりの新人警察官と同じく、とにかく雑用をこなしていきます。
朝は誰よりも早く出勤し、刑事課の掃除やゴミ捨て、上司が出勤したならばコーヒーを出すということが求められます。
この辺りは新人警察官で交番に配属になったときと何ら変わりありません。
これまで刑事課に入るまでに色々なアピールをしてきたことだと思いますが、刑事になってからも機敏な動きでアピールを続けていくことが大切です。
新人刑事はあらゆる雑用をこなしていき、その上で仕事も覚えていく必要があるので、とても大変な立場になります。
休日の呼び出しがかかるのも新人刑事が最初ですし、事件が続けば深夜や早朝でも仕事をすることが求められます。
実は憧れの刑事になったまではよかったものの、激務に耐えきれず刑事から離れてしまう警察官も珍しくありません。
もちろん無理をしてはいけませんが、刑事になった以上は激務を覚悟しておく必要があるでしょう。
事件が続く限り、刑事課は常に捜査を続けなければならない。ときには休日の呼び出しがあり、長時間の残業もある。プライベートが犠牲になることも多々あるので、憧れの気持ちだけでは続かない。
- 刑事課に入れなかった場合
刑事課に入れなかった場合はすぐに気持ちを切り替えましょう。
組織が決めたことなので、いつまでも不満に思っていても仕方ありません。
警察官の仕事は刑事だけではないですし、新しい目標を設定することも大いにアリです。
地域課で勤務が続くのならばパトカー乗務員を目指す、職務質問で大物を捕まえるなどやりがいはいくらでも見つけられます。
刑事課以外でもたくさんの部署がありますので、今一度視野を広げて他の部署を目指すのも問題ありません。
また、巡査や巡査長の立場ならば昇任試験の勉強を頑張って巡査部長を目指すのもいいでしょう。
実は巡査部長や警部補に昇任するタイミングで部署が異動になることはよくある話です。
巡査で刑事になれなかったとしても、巡査部長で刑事になれたというパターンはあります。
刑事課に入れなかった場合で、それでも諦めきれないという方は昇任を目指すことが次の手段になります。
実際、巡査部長や警部補に昇任して刑事課に初挑戦した先輩は何人もいましたので、まだ諦めるのは早いかもしれません。
警察官の仕事は細かく分類すると数え切れないほどの部署があり、それぞれに魅力とやりがいがある。刑事課に入れなかったとしても自分に合う仕事は見つけやすい。
刑事課に入れたとしても入れなかったとしても警察官としての仕事は続きます。
とにかく結果が判明するまではひたむきに刑事課に入るための努力に取り組むことをおすすめします。
重ねた努力は必ず誰かが見てくれているはずなので、今回紹介したことを実践していけば憧れの刑事への道も開かれることでしょう。
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まとめ
今回は刑事になるための最短ルートについて紹介しました。
今回の記事をまとめると
- 刑事になるためにはまず地域課で結果を出す
- 最短ルートでも4年ほどかかる
- 誰もが刑事課に入れるわけではない
- 刑事課に入れなくてもすぐに切り替える
ということになります。
警察官志望者にとって、刑事と白バイは二大人気部署となっているので、それだけライバルが多いということになります。
刑事への最短ルートに向けて様々なところで努力を重ねるべきですが、すべてはライバルとの競争に勝てるかどうかです。
夢を叶えて刑事になれる警察官がいれば、そうではない警察官もいます。
警察官の仕事は刑事だけではないので、いずれの結果だとしても地域の治安維持のために仕事をすることは変わりません。
今回の記事が少しでも刑事を目指している方への参考になれば幸いです。
刑事に憧れているのですが、どうすれば刑事になれますか?