
警察学校は決められたスケジュールに沿って生活をするところなので、正直に言って、慣れてしまえば楽に感じる部分も多くあります。
また、警察学校の教官も卒業が近付けば段々と優しくなり、入校当初のようにひたすら怒るということもなくなります。
そのため、警察学校の卒業が近付くと「現場に出てもうまくやっていける」と自信が出てくることさえもあります。
このままの流れで現場でも勤務を…と思いたいところですが、残念ながら警察学校と現場での勤務はまったく異なる世界です。
卒業間近の警察学校は逆に楽しくなってくることもあり、多くの初任科生が気を緩めがちですし、自分の立場を忘れてしまいます。
この卒業間近の気の緩みのまま警察署に赴任することは非常に危険なのです。
- いつなにが起きるかわからない緊張感
- 右も左もわからないままでの勤務
- 上司と付きっきりでの24時間勤務
- 警察学校よりも厳しい上下関係
- 決まった時間に休憩できない過酷さ
警察学校と現場勤務はまったく異なる世界ですが、なによりしばらくの間は上司と24時間付きっきりでの勤務になるという点に注意が必要なのです。
スタートで成功するか失敗するかはこの上司との関係によって決まります。
警察官は上下関係がとても厳しい世界なので、まずは上司とうまくやっていけるかどうかですべてが決まると言っても過言ではありません。
残念ながら自分で上司を選ぶことはできないので、ある意味で運任せなところがありますが、それでも上司と上手に付き合っていくテクニックを駆使していけば最悪な状況は避けることができます。
むしろテクニックを使うことで上司に好印象を与えることができ、その印象は自然と周りにも広がっていくでしょう。
そこで、この記事では新人警察官が上司とうまくやっていけるように上司から評価される魔法のテクニックについて5つ紹介していきます。
>>【合わせて読みたい】元警察官の体験談 こんな上司に要注意!実在した個性的な上司たち
自分の立場を理解する

間もなく警察学校を卒業するという時期になると1つの達成感を感じることになると思います。
自由の利かない生活、理不尽な教官、面倒な集団行動…これらのハードルをすべて超えてきたからこそ卒業にたどり着くことができるからです。
また、達成感を感じるのと同時に警察学校を卒業することによる勘違いも生まれやすくなります。
この勘違いとは「警察学校を卒業したから一人前の警察官だ」と思うこともそうですし、「現場に出てバリバリに働いてやる」という強い意欲も含まれます。
警察学校を卒業することはおめでたいことなのですが、残念ながらまだまだ一人前の警察官には程遠いですし、現場に出ればわからないことだらけで戦力になりません。
むしろ警察学校で勉強したことがすべて活かせるわけではないので、まずは自分が一番下っ端であるということを意識しなければいけません。
警察学校を卒業してくる初任科生は基本的に新人らしくハツラツに動くが、ごくまれに勘違いをして大きな態度をとる新人警察官がいるのも事実。
警察学校を卒業してからがスタートになるので、現場に出たらもう1度初心に戻る必要がある。
なによりも勘違いをして最初からつまずくことは避けたいところですし、いきなり周りに悪い印象を与えることも無意味です。
正直に言って、新人警察官はなにかと周りから目を付けられていますし、「今回の新人はどんなやつだ?」と色々な人が気にしています。
1つ1つの動きや言動で評価も決まってきますので、まずは自分の立場を理解するところから始めましょう。
警察学校を卒業して達成感を感じることは悪い事ではありませんが、もう1度気を引き締めるタイミングであることを忘れないでください。
>>【関連記事】警察官の仕事ってどれくらいきついの?残業、休日、人間関係などを解説
テクニック①常に低姿勢

ここからは実践的に使える上司から評価されるためのテクニックを紹介していきます。
まず1つ目は「常に低姿勢であること」です。
警察官は上下関係が厳しい世界であるため、部下の立場にある者は上司の指示に従うしかありません。
それは上司からの指示に対して
- 意見をしない
- 反抗的な態度を示さない
- 言われたことを愚直にやる
ということでもあります。
特に新人警察官の場合はこれらができていないと話になりませんし、さらに指示を受けたら「はい、わかりました」と元気よく返事をすることも大事になってきます。
ここで「私はこのように思うんですが…」と意見をすることは厳禁です。
こうなると「なにかと口ごたえをしてくる面倒なやつ」というレッテルを貼られ、上司との関係が悪化することは間違いありません。
そもそも新人警察官が意見をするなんてことは許されませんので、思うところがあってもグッと我慢をするようにしましょう。
理不尽に感じるかもしれませんが、これが警察官の世界です。
ここで大事になってくるのは警察学校で嫌というほど学んだ忍耐力。教官から理不尽な扱いを受けても耐えるしかなかったが、これは現場でも同じ。
警察学校を卒業しても我慢が必要なことは覚えておこう。
そのため、何事にも低姿勢で謙虚な態度を意識しなければいけません。
これはなにも上司に対してだけでなく、他の先輩や市民に対しても同じです。(犯罪者に低姿勢でいく必要はありません)
もちろん礼儀正しさも忘れてはいけませんが、まずは新人らしい低姿勢を大事にするようにしてください。
>>【合わせて読みたい】パワハラ、いじめ、不祥事…警察学校を退職する人の主な理由とは?
テクニック②元気の良さを出す

魔法のテクニック2つ目は「明るく元気の良さを出す」ということです。
警察学校ではよく声を出して元気よく行動することが多いですが、これはそのまま現場でも意識するようにしてください。
先ほど紹介したテクニック①と合わせて、元気の良さは新人警察官にとても求められることです。
元気のない新人警察官は「今回の新人はダメだな…」という評価がすぐに下ってしまいますし、元気がないことで怒られることも多々あります。
警察署において、新人警察官は一番大きな声を出す存在でなくてはなりません。
新人が先輩や上司に元気の良さで負けているようでは話になりませんので、警察学校でやっていた通りに元気よく行動することを意識してください。
警察官は体育会系の組織であるため、体育会系の明るい人が多いのが特徴で、明るいノリが好まれる。
また、特に新人警察官は一発芸を求められることもあるので、そういったノリも必要になる。
新人警察官は明るく元気があって当たり前の存在なので、元気がない新人警察官は悪い意味で非常に目立ってしまいます。
また、元気がない=礼儀もなってないという場合が多いので、十分に気を付けなければいけないことです。
ただ単にこのようなことを言っているのではなく、実は明るさと元気の良さというのは警察官の仕事に直結するものです。
交番で勤務をしていると1日で数多くの市民と接する機会がありますが、市民からしても暗い警察官というのは話がしづらいですし、信用もできません。
市民の立場で考えてみてもらってもわかる通り、暗い警察官より明るい警察官の方が話がしやすいですよね。
つまり、職場で元気よくするということは業務にも直結することなので、しっかり意識するべきことなのです。
元気もなくて明るさもないと警察官に向いているかどうかという話にもなってきます。
なお、警察官に向いていない人の特徴については下記の記事で詳しく解説しています。
【関連記事】元警察官が教える警察官に向いていない人の特徴5選
そのため、新人警察官の立場のときくらいは元気と明るさを忘れないようにしてください。
テクニック③積極的に動く

魔法のテクニック3つ目は「積極的に動く」ということです。
新人警察官はなにかと機敏に行動しなければならず、ゆったりしている暇はありません。
これは仕事中でも休憩中でも同じです。
そこで重要になってくるのが積極的に動く意識です。
例えば新人警察官が勤務する交番ならば
- 来訪者が来たら一番に対応する
- 内線電話が鳴ったら1コールで出る
- 上司がなにかやっているなら手伝う
- 上司から言われる前に掃除を行う
などのことが挙げられます。
これらは新人警察官が一番に動いて当たり前のことなので、上司や先輩にやらせることは当然NGですし、上司から言われる前にやりたいことです。
休憩中は多少気を抜いていても大丈夫ですが、内線電話が鳴ったら即座に反応するなど積極的に動く意識は忘れないようにしましょう。
実際の現場で新人警察官に求められることは前に出る意識。喧嘩の現場なら体を張って間に入る、力仕事なら必ず手伝うなど、知識がなくてもできることは積極的に行うべき。
新人が上司の後ろに隠れているようではいけない。
ただし、ここで1つ注意してもらいたいことがあります。
それは「前に出すぎない」ことです。
「新人警察官は積極性を出すべき」と解説しておいて、矛盾していると思われるかもしれませんが、前に出るべきかどうかの判断は重要です。
例えば、まったく知らないことなのに上司に積極性をアピールするためにハチャメチャに仕事をしていては本末転倒です。
警察官をやっていると市民から色々と質問を受けますが、知らないことを適当に答えることも絶対にいけません。
新人警察官が適当に答えたことが苦情に発展するのはよくあることなので、わからないことに対して積極性を出す必要はないのです。
知らないことは「上司に確認します」や「確認してから回答させてもらいます」が正解です。
また、上司の指示も忠実に守るようにしてください。
積極性をアピールするばかりに単独行動に走ってしまい、上司の指示もまったく聞いていないようではいけません。
特になにもわかっていない状態であれこれ動き回るのは重大な事故に繋がる可能性もあるため、積極的に動きたい場合はまず上司に確認しましょう。
積極的にいくべきかどうかの判断は難しいかもしれませんが、1つの判断を誤るだけで大変なことになってしまうのが警察官の難しいところです。
経験したことは確実に吸収し、自分自身の成長へ繋げるようにしてください。
【関連記事】要注意!新人警察官が絶対に言ってはいけないNGワード6選
テクニック④気遣いをする
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魔法のテクニック4つ目は「気遣いをすること」です。
警察官は上下関係がとても厳しいため、下の人間が雑用をやって当たり前という職場です。
さらに付け加えると部下は上司のお世話係のような一面もあり、なにかと気遣いをすることが大事になってきます。
正直、「そんなことまでやらなきゃいけないの?」と思う場面もありますが、これは新人警察官なら誰もが通る道です。
気遣いができるできないでは上司からの評価もかなり変わってきますので、しっかり意識しておきたいことです。
- 上司が荷物を持っている
「私が持ちます」と言って荷物を預かる。荷物持ちは基本。
- 上司が食事を終えた
使っていた食器の片付けや洗い物を行う。コンビニ弁当などであればゴミを捨てる。
- コーヒー出し
朝の出勤時や食後、休憩中にコーヒーを出す。
- 上司が雑用をやろうとしている
「それは私がやっておきます」と申し出る。
気遣いをするためには常に周囲に目を配っていなければいけません。
上司よりも先に気付くことで「私がやります」と言えるので、ボーっとしているようでは気付くことができないのです。
気遣いができないと「仕事を教える価値がない」なんていう評価が下されることもあるので、面倒なことではありますが、新人ならやるしかありません。
また1つの例として、機動隊では先輩や上司の靴をピカピカに磨くという雑用がありました。
これは私が所属していた県警の伝統になっており、靴を磨くために残業をするということも当たり前でした。
さらに靴磨きだけでなく、洗濯をまとめて行う場合もあり、機動隊では特に先輩や上司のお世話役になることが多いようです。
【関連記事】警察官の仕事はブラックなのか…?元警察官が徹底検証
テクニック⑤勉強熱心な姿勢

魔法のテクニック5つ目は「勉強熱心な姿勢を見せること」です。
新人警察官は警察学校で色々な勉強をしてきたとは言え、やはり現場で仕事をするとなるとわからないことばかりです。
当然、上司から仕事のやり方を教えてもらわなければなにもできないので、人からモノを教わる姿勢というのが大事になってきます。
逆の立場で考えてみると簡単ですが、仕事を教えようとしているのに覚える気がまったくない人には何も教えようとは思いませんよね。
そのため、「私は仕事を覚える気が満々です」という勉強熱心な姿勢が必要になってくるというわけです。
具体的に新人警察官が意識したいことは
- 教えられたことはメモをする
- わからないことは上司に聞く
- 教えられたことはできるようにする
ということです。
もちろん姿勢だけでなく、教えてもらったことは確実に吸収していきたいですし、何度も同じことで失敗をすることは避けたいところです。
なにより、メモをとることで何度も同じことを聞かなくて済みますし、後から自分で見返すこともできます。
このように勉強熱心な姿勢を示すことで「やる気のある新人」という目線で見てもらうことができるのです。
警察官には様々なタイプの上司がおり、中には昔ながらの熱血指導タイプの上司も存在する。このような上司はやる気のある人間に対してはとことん熱血だが、やる気のない人間には厳しくあたる傾向がある。
「仕事はできなくてもいいからやる気だけ出しとけ」と言う上司も珍しくない。
実際、新人警察官は仕事も雑用もすべて覚えていかなければいけないので、大変な立場であることは間違いありません。
さらに1つの評価で周りから見られる目も変わってくるため、色々なことを意識していく必要があります。
勉強熱心=やる気があると評価されますので、何事も学んでいこうとする姿勢は大事にしてください。
【関連記事】警察官への転職ってどうなの?元会社員の経験者が詳しく解説
まとめ
今回は新人警察官が上司から評価されるための魔法のテクニックについて紹介しました。
新人警察官が気を付けなければいけないのは多くの人に注目されているという点です。
私もそうでしたが、警察学校の卒業シーズンになるとほとんどの人が「今回きた新人はどんな人材かな」という目で見ています。
そのため、1つの悪い噂が全体に広がる可能性もあるので、知らないところで評価を落としているなんてこともあります。
そんなことになっては勿体ないので、自分の評価を上げるためにも今回紹介した魔法のテクニックを活用するようにしてください。
評価ばかりを気にするのも面倒ですが、警察官の世界は上下関係が厳しいだけに悪い評判が広まるのは避けたいところです。
また、今回紹介したことは警察官以外の職場でも十分に通用する話だと思うので、新社会人の方にも参考にしてもらえればと思います。