警察官採用試験の合格者は警察学校に入校することとなり、警察学校で法律の知識や実務の訓練を受けることになります。
警察学校の生活はとても厳しいものになりますが、警察学校を卒業しなければ警察官として勤務することはできません。
警察学校を卒業すると各警察署へ配属となり、すぐに交番での勤務がスタートするので、警察学校では現場での勤務をイメージしながら過ごすことが大切になります。
そのため、警察学校の生活がその後の警察人生を左右することになることは間違いありません。
また、警察学校は多数の同期とともに生活をすることになるので、ときには同期と争わなければいけない場面も出てきます。
マイペースで頑張るだけでは成立しないところがあり、必死に食らいついていかなければどんどん同期に差をつけられることもあります。
- 学科試験の成績
- 柔道や剣道での対戦
- 各種技能検定の合否
- 教官からの評価
そんな警察学校は生活に慣れてくるとただ何となく過ごしがちになり、つい卒業後のイメージをすることを忘れてしまいます。
警察官になった以上、警察学校を卒業することは当たり前なので、あくまで卒業後にどう勤務していくかを想定すべきです。
では、警察学校ではどんなことに力を入れて、頑張っていけばいいのか。
卒業後をイメージするといってもどんなことをイメージすればいいのか。
そこで、この記事では元警察官の体験談から警察学校で本当に頑張るべきことを4つ紹介していきます。
警察学校で特に注力すべきことを紹介していきますので、これから警察官を目指す方は是非参考にしてください。
同期との競争
警察学校で本当に頑張るべきことの1つ目は同期との競争です。
警察学校の生活は同期との集団生活となっており、常に隣には同期がいるという日常になります。
単独行動をする時間はほとんどありませんので、警察学校にいる間は何事においても同期と連携することが欠かせません。
授業を受けるのも訓練を受けるのも同期と一緒ですし、食事をとるときも風呂に入るときも一緒に行動をします。
厳しい生活を送る中、同期の存在は大きく、”同期が頑張っているから自分も頑張れる”という場面は決して少なくありません。
だからこそ警察学校の同期というのは特別な存在であり、卒業後も深い関係が続くことになります。
困ったときは助け合いますし、ときには支え合う関係で間違いありませんが、忘れてはいけないのがライバル関係です。
警察学校ではすべてにおいて順位がつきますので、必ず同期とはなにかしらの差がつくことになります。
同期と仲良く過ごすことも大事ですが、ときにはしのぎを削るライバル関係になるということは忘れてはいけません。
警察学校は日々同期との競争になるので、のんびりしているとどんどん差をつけられてしまう。常に向上心を持つことが大事。
そのため、警察学校の授業や訓練ではいい結果を出した人間が評価される仕組みになっています。
定期試験では点数で差がつきますし、柔道や剣道の訓練では勝敗で差がつきます。
仲がいい同期とも争っていく場面が多いことは覚えておいた方がいいでしょう。
仲良くしているだけでは成り立たないのが警察学校なので、同期との競争にはすべて勝つという気持ちで臨んでいかなければいけません。
同期全員が横一線になることはなく、必ず何かしらで順位がつけられるため、厳しい生活の中でも同期とは競争をしていくことになります。
なによりお伝えしたいのは普段一緒に生活している同期と評価や成績で差が付くのは想像よりも残酷ということです。
順位が下になればなるほど教官からは厳しい目で見られることになりますし、自然と同期との序列も下になっていきます。
警察学校で「自分はいいや」という気持ちが少しでも出てしまうと早々に競争から脱落することになってしまいます。
警察学校の同期とはライバルであるという意識を持つことが大事ですし、勝負事では負けないという強い気持ちを常に持っていたいものです。
なぜなら同期とは警察学校を卒業した後もライバル関係が続くことになるからです。
次は出世の競争が始まり、早い人だと警察学校を卒業して2年後には巡査部長の試験に合格することもあります。
仲が良かった同期が上司になることも珍しくありませんので、警察官でいるうちは永遠にライバル関係が続くことを覚えておきましょう。
各種検定への合格
警察学校で本当の頑張るべきことの2つ目は各種検定への合格です。
警察学校では結果を求められる場面がとても多く、結果が出なければ淘汰されていく世界になっています。
例えば定期試験であれば全員がいい点数をとって当たり前と考えられており、平均点に満たない者や赤点をとってしまう者は厳しく叱られます。
試験は合格点がとれるまで何度もやり直しをさせられますし、一人の不手際によって最悪の場合はクラス全体がペナルティを受ける場合もあります。
先ほど紹介した通り、すべては同期との競争になるので、ちょっとした小テストでも結果を出していかなければいけません。
1つ1つに点数がつき、それが卒業時の成績となるため、最終的には自分自身の配属先に影響することになります。
定期試験の他にも警察学校では様々な検定が用意されています。
- 柔道や剣道の段位試験
- 書類検定
- 運転技能検定(二輪&四輪)
- 鑑識検定など
これらの検定はぶっつけ本番で行うわけではなく、ある程度の勉強や訓練する期間を経て本試験が行われます。
ですので、誰もが平等な時間を過ごし、同じ条件の下で試験に臨むため、”合格して当たり前”というのが警察学校の認識です。
同期との競争はもちろん、自分自身も向上心を持って各検定に向かっていかなければ合格を勝ち取ることはできないでしょう。
では検定に合格できなかった場合、どうなるのか。
決して即退学になるわけではありませんし、不合格だからといって卒業できないわけでもありません。
これを聞いて安心する方が多いかもしれませんが、これには大きな落とし穴があります。
全員が合格して当たり前といわれている検定を不合格になると、そのまま警察署に配属することになるのです。
この時点で配属先では同期と差をつけられることになりますし、評価でも優劣がつくことになってしまいます。
さらに恐ろしいのは不合格になった検定については警察学校を卒業後に再試験を受けていかなければいけないという点です。
忙しい交番勤務の中、休みの日に警察学校で再試験を受けることもありますので、どれだけ大変かは容易に想像がつくでしょう。
検定はその場で再試験が行われるものがあれば、一回きりの検定もある。体調不良やケガには十分気を付けたい。
警察学校はついてこれない人を待ってくれるような場所ではありませんので、検定に不合格になればそのまま卒業することは十分にあり得ます。
特に書類検定や運転技能検定は警察学校で合格をしておかないと
- 司法書類が書かせてもらえない
- 勤務中は運転ができない
といったように現場の仕事に大きく影響が出てしまいます。
私自身も検定には苦い思い出があり、その苦労は計り知れないものがありました。
だからこそ余計に検定については真剣に取り組むべきだと考えるので、これから警察学校に入校する方には参考にして頂きたいです。
被害届の習得
警察学校で本当に頑張るべきことの3つ目は被害届の習得です。
警察学校を卒業すると警察署に配属となり、すぐに交番での勤務が始まります。
交番では新人警察官としてフル回転することになるので、仕事だけでなくあらゆる雑用もこなしていかなければいけません。
警察学校で学んだ理不尽への耐性や厳しい上下関係はこういったところで生きていきます。
仕事面においては一緒に行動する上司によるところが大きいですが、基本的には色々と経験を積ませてもらえると思います。
新人警察官のうちにいかに経験を積めるかがその後の警察人生を左右することになるので、何事も積極的にチャレンジしていきたいものです。
いきなり「おい、これやってみろ」と言われたときには「はい、わかりました」と即答することが大事です。
「わからないので、できません」といった後ろ向きな発言は絶対に避けなければいけません。
とは言っても新人警察官があれもこれも仕事をしていくのは難しいので、まずは基礎的な仕事から取り組んでいきます。
最初のうちに新人警察官が行っていく業務はある程度決まっています。
- 拾得物や遺失物の受付
- 交通事故書類の作成
- 青切符の作成
- 被害届の作成など
この中でも特に習得しなければならないのが被害届の作成です。
被害届は事件捜査において重要な書類になりますが、新人警察官が作成を任されることが多い書類です。
決して被害届は難易度が低いというわけではなく、手書き+被害者の目の前で作成するので、新人警察官が苦戦することは多いです。
厳しい上司だと「なんだそれ?警察学校で何を勉強してきたんだ!」とその場で叱責することも珍しくありません。
そのため、警察学校にいるうちに被害届の作成はたくさん練習を積んでおくべきです。
授業ではもちろん習いますし、参考書を買う機会もあります。
疑問点は卒業までに解消し、適宜教官にも質問をしていくことが必要になります。
1つの被害届を作成するのにそれなりに時間はかかりますが、少しでも慣れておくだけで現場では大きく差が出ます。
まったく被害届が作成できないとなるとポンコツ扱いされるのは必至ですので、警察学校では頑張っておくべきと言えるでしょう。
警察官は上下関係が厳しいだけに仕事ができない警察官への風当たりは非常に強いものがあります。
被害届が作成できなかったとしても特に周りは救いの手を差し伸べてはくれません。
あくまで自分で勉強して学んでいくしかありませんので、この辺りも向上心を持って取り組んでいくようにしましょう。
自分を追い込めるか
警察学校で本当に頑張るべきことの4つ目は自分を追い込めるかです。
警察学校では走る機会が非常に多いので、勉強をすることも大事ですが、体力をつけることも大事になっています。
警察学校=走るというイメージが強いと思いますが、そのイメージ通りに入校初日から走ることは珍しくないため、入校前にはしっかりと準備をしておく必要があります。
走るだけでなく、筋力トレーニングや過酷な生活についていく体力も必要になるので、身体の頑丈さは求められることになります。
体力に自信がない方は最初のうちはついていくだけで必死だと思いますが、入校すると朝からランニングを行うくらいなので、体力は自然と身に付いていきます。
体力面において、自分をどれだけ追い込んでいけるかは大事になってくるポイントです。
1つ安心して欲しいのは体力がなくて警察学校を辞める人はいないという点です。
嫌でも体力は向上していきますので、体力に自信がない方でも大きな問題はありません。
ただし、事前準備をしっかりしておかないと入校早々に怪我をする危険性がありますので、走り込みなどはしっかり行っておきましょう。
怪我をすると訓練に参加できなくなるため、必然的に同期との競争に遅れることになってしまいます。
怪我をして離脱しても誰も待ってはくれない。すべてが自己責任となるので、怪我をしない体づくりは大切になってくる。
自分を追い込むのは警察学校卒業後も見据えたものになります。
警察学校の生活が体力勝負になることは間違いありませんが、実は卒業後の方が遥かに大変な生活が待っています。
警察学校では決まった時間に休憩をとることができ、決まった時間に食事をとることができます。
通報に対応することもありませんので、消灯時間になったら寝ることができます。
これほど健康的な生活が送れるのは警察人生の中で警察学校だけです。
警察学校を卒業し、交番で勤務するようになると
- 1日で何が起きるかわからない
- すべてが予定通りにいかない
- 食事をとれない日も多い
- 寝れない日も多い
など警察学校とは真逆の生活が待ち受けています。
このような過酷な環境は警察学校で身に付けた根性が生きてくる場面でもあります。
警察学校でどれだけ自分を追い込めたか、どれだけ辛い思いをしてきたかが重要になってくることは間違いありません。
現場ではときには歯を食いしばって耐えていく場面も多いので、強い精神力も大きく影響してくるでしょう。
正直に言って、警察学校では楽をしようと思えばいくらでも楽ができます。
生活に慣れてこればキツイと感じる面も自然と少なくなっていきます。
しかし、警察学校で楽をしたところで何の意味もなく、むしろ卒業後に困ることが多くなってしまいます。
目的をもってどれだけ自分を追い込めるかは警察学校において1つ大事にしてもらいたいポイントです。
まとめ
今回は警察学校で本当に頑張るべきことを4つ紹介してきました。
今回の記事をまとめると
- 同期との競争は負けない
- 各種検定は合格を目指す
- 被害届の書き方は習得しておく
- 警察学校で自分を追い込む
ということになります。
警察学校に入校すると最初のうちは大変にしか感じませんが、1~2か月も経つと段々と生活に慣れていきます。
同期と仲良くしていくことも大事である一方、ときには競い合うライバルであることは忘れてはいけません。
また、いかに自分を追い込めるかは非常に大事になりますので、楽をせずあえて厳しい道を選ぶことも成長に繋がります。
警察学校は卒業することが当たり前なので、卒業を目標にするのではなく、あくまで現場を見据えていくことが大事です。
これから警察学校に入校する方に少しでも参考になれば幸いです。
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