警察官に関する疑問にお答えする警察官Q&Aのシリーズです。
警察官は特殊な職業である上、一般企業とは違って独特な世界であるため、警察官に対しての質問や疑問は後を絶ちません。
これは警察官志望者はもちろんですが、それ以外の方でも「これってどうなってるの?」という疑問が自然と生まれるものです。
特にこれから警察官を目指す方にとっては色々と情報を調べる中で、”あれも知りたいこれも知りたい”という状況になることは間違いありません。
ところが、これだけ情報が溢れる時代でも警察官について調べたところで入手できる情報は表向きな情報だけです。
警察官は誰もが知っている職業であり、警察24時などテレビで特集される機会も多いですが、テレビで見られる警察官の姿は本当にごく一部分です。
テレビで見る警察官を真に受けていると警察官になったときに大きなギャップを感じることになるかもしれません。
私自身も警察官採用試験を受ける前は様々な情報を調べましたが、疑問点をすっきり解決してくれる情報にはなかなかたどり着くことができませんでした。
実際の警察官から深い話を聞ける機会はそうそうありませんし、インターネット上で調べたとしても真偽が不明な情報も多いところです。
そこで、この記事では警察官に関する疑問に元警察官がお答えし、警察官に対する理解をより深めてもらえるように解説していきます。
これから警察官を目指す方はもちろん、それ以外の方でも楽しめる内容になっていると思いますので、是非最後までご覧頂ければと思います。
12月の警察官はのんびりする?

それでは早速、警察官Q&Aを紹介していきます。
まず最初は12月の警察官はのんびりする?について解説していきます。
これを聞いたとき、警察官経験者であればすぐにピンとくるものですが、一般の方にはよくわからないことだと思います。
警察官がのんびりするのと12月に何が関係あるのか、そもそも警察官は昼夜を問わず勤務する激務な職業であり、のんびりする時間などないはずです。
それが12月だからといってのんびりできるものなのでしょうか。
これには警察官ならではの事情があり、私自身も警察官を経験してよく意味がわかったものになります。
少し裏側の話にもなりますが、解説できる範囲で紹介していきます。
まず結論を言うと、12月は警察官がのんびりする時期で間違いありません。
のんびりするというと少し語弊があるかもしれませんが、警察官にとって12月は一番落ち着ける時期であることは間違いありません。
8年間警察官を務めた私も12月は毎年特別な雰囲気を感じていました。
決して仕事をさぼる時期という意味ではありませんので、そこは誤解がないようにして頂ければと思います。
大前提として、12月は通報や事件が少ない傾向にあり、それ故に警察官が落ち着ける時期と捉えることができます。
もちろん例外はありますし、12月でも忙しい日は当たり前のようにあります。
それでも年の瀬が近付くにつれて段々と通報は少なくなるので、自然と落ち着いて仕事ができるようになるわけです。
また、どの仕事にでも言えることですが、警察官にとっても一年の始まりは毎年1月です。
年が変わって1月になれば「今年も始まったなぁ…」という気持ちになり、「今年も1年頑張ろう」と気持ちを新たにするところです。
1月から仕事が始まるということはまた新しく実績を積み上げていかなければならないという意味でもあります。
警察官にも仕事に関する目標の数字は必ず設定されており、1月になれば誰でも0からスタートすることになります。(世間ではこれを”警察官のノルマ”と呼んでいる)
どれだけ凄腕の警察官でも1月になれば新たな年として実績はリセットされますので、前年の実績は一切関係ありません。
逆に1年の終わりは12月になるため、多くの警察官は12月というゴールを目指して1年を駆け抜けることになるので、そういう意味でも12月はゆっくりできるというわけなのです。
年末年始になると交番や警察署では鍋を作ることが定番となっている。これは仕事が落ち着いているからこそできることであり、12月を象徴するイベントと言える。
ですので、警察官は11月まで目一杯頑張り、12月は落ち着いて勤務するというパターンが多かったです。
実際、私自身も12月は特別な雰囲気でしたし、12月に入れば1年が終わったという感覚になっていました。
鍋を作るくらいが余裕がありましたので、特に年末年始はのんびりできることは間違いありません。
ただし、いつどんな通報が入り、事件が発生するかは予測できません。
いくら落ち着けるといっても100%油断することはできず、あくまで緊張感は保っていなければなりません。
通報が入れば即座に出動できるという準備は整えておく必要があるので、その点は誤解がないようにしましょう。
活躍したら給料は上がる?

次に警察官は活躍したら給料が上がる?について解説していきます。
警察官は地方公務員なので、高い水準の安定した給料を手に入れることができ、社会的地位も高い職業です。
不祥事を起こさない限り退職に追い込まれることもありませんので、警察官はその身分が絶対的に保障されていると言えます。
また、安定した給料に加え、毎年1回は必ず昇給していきますし、年2回のボーナスが途切れることもありません。
どれだけの不況があろうとも大きな影響を受けませんので、警察官ほど恵まれた職業は中々ないでしょう。
そんな恵まれた警察官は活躍すれば活躍するほど給料が上がっていくのでしょうか?
結論は警察官の給料は歩合制ではないので、どれだけ活躍しても上限は決まっているという答えになります。
もっと厳密に言うと活躍してもしなくても一定の給料がもらえるということが言えます。
そもそも警察官の給料がどのように設定されているかというと
- 勤続年数
- 階級
- 年齢
等といった要素が絡んできます。
一番給料に差が出るのは階級になりますので、出世すればするほど給料が上がっていくということは間違いありません。
巡査からスタートし、巡査長→巡査部長→警部補→警部とキャリアを積んでいくに従って給料は上がっていきます。
警察官として給料を上げるためには昇任試験の勉強に力を入れ、合格していくのが一番の近道と言えるでしょう。
警察官の世界は誰にでも出世するチャンスがあり、昇任試験に合格するだけで階級を上げていくことができる。
ただし、民間企業のように活躍したら活躍した分だけ給料が上がるという制度はありません。
他の警察官の何倍もの実績を残したとしてもせいぜい少しの手当てがつくくらいで、そこは覚えておく必要があります。
良い意味でも悪い意味でも警察官の給料は年功序列に近いところがあるので、輝かしい成績を残しても給料に反映されるわけではありません。
警察官を何年も務めればわかることですが、元気ハツラツに頑張る若手警察官よりもまったく仕事をしないベテラン警察官の方が給料は高いのが現実です。
ベテラン警察官は面倒な仕事をすべて若手に押し付ける傾向があるので、楽をしようと思えばとことん楽ができるポジションです。
一生懸命に頑張る若手警察官からすれば、仕事量や貢献度を比べると悲しい気持ちになるものですが、これは受け入れていくしかありません。
階級を上げるチャンスは誰にでも平等に用意されているので、給料を上げるには階級を上げることが一番の近道になります。
交番のシーツ交換は週に1回?

続いて、交番のシーツ交換は週に1回?という疑問についてお答えします。
交番で勤務する地域課の警察官は1回の勤務が24時間となるため、夜間は警察署や交番で仮眠をとります。(警視庁のみ例外)
当然、それらの場所には布団やベッドがあり、仮眠をとる警察官が使用することになります。
毎日誰かしらが使うものになっており、個別で布団が用意されているわけでもないので、同じ布団を使い回すのが基本です。
残念ながら毎日シーツ交換が行われるわけではなく、シーツは夏場で週に1回の交換となり、冬場だと10日に1回程度の交換となります。
家族ならまだしも幅広い年齢層の同僚が使っている布団を繰り返し使わなければならないため、精神力の強さは求められるでしょう。
警察官の仕事はこのような環境が当たり前ですので、潔癖症の方にとっては少々過酷な環境なのかもしれません。
私自身、潔癖症ではありませんでしたが、やはりどうしても気になってしまう部分はありました。
勤務中はお風呂に入れるわけではないので、特に夏場は布団が不衛生な状態になっていたのは事実です。
そんな状況でも「この布団では寝られません」なんていうことは言えないので、嫌でも仮眠をとるしかありません。
警察官の働く環境は大変な場面が多いが、そうは言ってもその環境に順応していくしかない。細かいことを気にしない精神力も非常に重要になる。
余談ですが、仮眠室のシーツ交換を行うのは若手警察官の仕事です。
大体、交番や警察署ではシーツ交換する日にちが決まっているので、それに合わせて若手警察官が交換を行います。
当然ながら事前にシーツ交換の日を把握しておき、交換する日には確実に作業を行わなければいけません。
このような雑用は若手警察官の大事な仕事になりますので、たかがこれくらいのことでも「忘れていました」では済まされないのが警察官の世界です。
私自身、シーツ交換を忘れて怒られた経験は何度かあるので、これから警察官を目指す方は是非参考にしてください。
また、若手警察官の場合、仮眠をとるのは上司と一緒ということが多いですが、仮眠時間になるまでに布団を敷いておくのが鉄則になります。
”上司に自ら布団を敷かせるのは失礼にあたる”というのが当たり前の風潮ですので、仮眠時間になるまでに布団を敷いておくようにしましょう。
そして、仮眠時間が終わったら布団を片付けるのも若手警察官の役目です。
上下関係に厳しい上司だとこれらは若手がやって当たり前という感覚なので、しっかりできていないと注意を受けることになります。
逆にこのような雑用が率先してできれば一定の評価は得られることになるので、確実に意識したいところです。
警察官は体育会系?

最後に警察官は体育会系?について紹介していきます。
今回の記事でも何度か紹介していますが、答えを先に言ってしまうと警察官は超体育会系の組織です。
警察官の世界は階級に基づいた強固な上下関係となっていますので、厳しい世界であることは間違いありません。
2つや3つ階級が上の上司には気軽に話しかけることすらできない世界です。
警察官を目指すならばこの体育会系の風土は覚悟しておかなければいけません。
警察学校に入校した時点でこの厳しさは徹底的に叩き込まれ、理不尽な指示があっても従うしかないというところは嫌でも学んでいくことになります。
この理不尽に耐えていけないと警察官としてはやっていけませんし、警察学校で早々にリタイアすることになるでしょう。
警察官は”上司の指示は絶対”という考えが基本ですので、部下の立場にいる以上は意見することや指示に背くことは許されないことも覚えておく必要があります。
そのため、警察官の世界ではとにかく若手警察官が機敏に動かなければいけません。
先ほど紹介した仮眠前に上司の布団を敷くなどもそうですが、その他にも数え切れないほどの雑用をこなしていく必要があります。
雑用や面倒なことは若手警察官がやって当たり前なので、こういったことも嫌な顔1つせずこなしていきましょう。
警察官の世界は階級で上下関係が決まるため、年齢はあまり関係ない。早く出世した者が上の立場になっていくので、ある意味で平等。
警察官は”上司の指示に従わなければならない”という法律が定められているくらいですので、上司の存在は絶対的です。
それだけ上下関係が厳しいため、警察官は完全に体育会系の組織となっています。
先輩や上司のために動くことはもちろん、怒られたときは「すみませんでした」という回答以外はありません。
また、体育会系だけに明るいノリが求められるので、いじられキャラやギャグができる若手は好まれる傾向にあります。
これは女性警察官にとっても例外ではなく、女性警察官は男性社会で生き抜くたくましい精神力が必要となっています。
コロナ禍より以前は定期的に飲み会が行われており、こういったところで頑張れるかどうかは仕事上においても大事な要素となっていました。
学生時代に体育会系の部活を経験してきた方ならある程度は大丈夫だと思いますが、まったくそのような経験がないという方は対応できるようにしておきましょう。
体育会系なので、昭和のノリや精神論などが割と多い点は覚えておく必要があります。
まとめ
今回は警察官の疑問に対するQ&Aをお送りしました。
今回の記事をまとめると
- 12月は警察官が落ち着いて仕事ができる
- 警察官は活躍しても給料が上がるわけではない
- 交番のシーツ交換は夏場で週に1回
- 警察官は超体育会系の組織
ということになります。
警察官という職業に対してはその特殊性から様々な疑問が浮かんでくるものです。
これは警察官志望者に限ったものではなく、警察24時などを見る一般の方でも警察官に対しては色々と気になるところでしょう。
そんな疑問を解消できるよう今後もQ&Aのコーナーは継続していきたいと思います。
警察官に興味のあるすべての方に少しでも参考になれば幸いです。
警察官について色々な疑問があります。