警察官の仕事は様々な部署があり、その部署によって取り扱う仕事が全然違います。
また、部署によって仕事の大変さが異なりますし、警察署によっても忙しさが変わります。
単純に”警察官の仕事”といっても忙しい警察署と忙しくない警察署ではまったく別世界と言っても過言ではありません。
はっきり言って、暇な警察署で勤務ができれば結構楽ができますし、いい給料ももらえて天国のような仕事になります。
逆に忙しい警察署の刑事課であれば、まともに家にも帰れないような地獄勤務が待ち受けています。
そのため、「警察官の仕事は大変だ」ということを紹介しても実は全国共通ではないのです。
そもそも警察官はその都道府県によって警察官の数が違うし、通報の件数もまったく違う。当然、東京や大阪のような大都市であれば通報が多く、それに伴って事件や相談も多い。通報がほとんど入らないような警察署は落ち着いて仕事ができる。
警察官の仕事はその地域によって忙しさや大変さが異なるので、単純に比較できないのが難しいところですが、それでも個々の警察官が経験した大変な仕事は様々あるでしょう。
特に私自身はパトカーに乗っていたため、現場に一番で到着することが多かったですし、大きな事件も数多く経験してきました。
そこで今回は都市部(政令指定都市)の県警で長年パトカーに乗っていた私の経験談として「警察官時代に経験した大変だった仕事」を5つ紹介します。
これから警察官になる方や将来警察官を目指している方の参考になれば幸いですし、「警察官になればこんな大変な思いをすることがある」ということをお伝えできればと思います。
目次
警察官の仕事はなぜ大変さが異なる?
警察官の仕事は地域課や刑事課など1つの警察署にも色々な部署があり、その部署によって扱う仕事は違います。
また、部署によって勤務時間にも違いがあるので、すべての警察官が同じ勤務形態で働いているわけではありません。
すべての警察官が似たような仕事をしていることは間違いありませんが、同じ警察官でも別の部署で働いている警察官が毎日なにをやっているのかは詳しくわからないほどです。
さらに警察官の仕事は都道府県によって忙しさが大きく異なり、そもそも地域によって警察官の数もまったく違います。
それに加え、その地域によって仕事のやり方が違う場合もありますし、同じ警察官の仕事でも都道府県によって話が全然違ってくるものです。
そのため、実は警察官の仕事は全国で統一されているわけではなく、単純に比較することができません。
警察官の仕事は全国統一でやり方が決まっているわけではなく、個々のやり方で成り立っている部分が大きい。さらに同じ県でも警察署によって独自のルールがある場合もあるので、働く側が戸惑うことも珍しくない。
警察官の仕事はこれだけ地域差があるので、その大変さや忙しさも都道府県によって大きく異なります。
当然ながら人口の多い地域であればそれだけ事件や事故が多く、必然的に警察官が出動する回数も多いので忙しいと言えます。
また、治安の悪い地域で働く場合も同様で、「自転車が盗まれた」「万引きの被害に遭った」という事件が多ければそれだけ警察官も大変です。
その反面、治安が良くて人口も少ないところであれば警察官の仕事も少ないので、落ち着いて働くことができます。
これは同じ都道府県内でも違いがあり、”A県警の甲警察署と乙警察署ではまったく忙しさが違う”ということはよくあります。
このように警察官の仕事といってもこれだけ色々な要素が絡んでくるので、本当に比較することが難しいのです。
同じ仕事なのに個々で体感することが違うというのはある意味で警察官の面白いところなのかもしれませんね。
もっと言えば、警察学校ですら都道府県によって若干違いがあるものです。
そんな特別な事情も踏まえて、今回の記事では長年パトカーに乗っていた元警察官の私が経験した大変だった仕事&現場について5つ紹介していきたいと思います。
第5位 真夏&真冬の交通整理
警察官時代に経験した大変だった仕事の第5位は「真夏&真冬の交通整理」です。
現場に出動する機会の多い地域課や交通課の警察官にとって天敵なのが気候です。
単純に夏であれば暑いですし、冬であれば寒いです。
特に地域課の警察官は防刃チョッキや装備品を着用しているので、夏は本当に大変です。
大量の汗をかくことはもちろんですが、外にいれば簡単に水分補給はできませんし、着替えることもシャワーを浴びることも難しいです。
警察官の仕事で夏と冬のどっちがきついかと言われれば、間違いなく夏だと思います。
また、冬についてはある程度の防寒着を着用していますが、それでも長時間外にいれば身体が凍えるほど寒くなってきます。
警察官の仕事が体力勝負と言われるのはこういった気候に関係なく働いていかなければいけないのも大きいでしょう。
事件や事故はいつ発生するかわからず、その処理がいつ終わるかもわからない。外で長時間働き続ける覚悟は必要で、常に体力は鍛えておくことが大事。途中で警察官が倒れるようなことがあってはならない。
そんな中で記憶に残っているのが真夏&真冬の交通整理です。
警察官をやっていると交通事故に対応する機会は非常に多く、中には「交差点の真ん中でぶつかったまま止まっている」「ガードレールに突っ込んで動けない」といった大きな事故もよくあります。
このような場合、警察官は人命救助や事故の処理はもちろんですが、他の車が混乱しないよう交通整理も実施しなければいけません。
交通整理については多くの方が1度は目にしたことがあると思います。
警察官が道路に立ち、赤色に光る誘導棒を大きく振って通行する車両に合図を送るのが一般的な交通整理です。
この交通整理は交通事故によって支障が出た道路が回復するまで行わなければならず、現場によってはかなり長時間になることも珍しくありません。
つまり、事故の処理が終わり、動けなくなった車がレッカー移動するまで続ける必要があるのです。
これが真夏や真冬だと本当に大変で、真夏だと熱中症で倒れる寸前まで追い込まれたことがありますし、真冬なら指先の感覚がなくなるほど続けたことがありました。
まだ寒いだけなら防寒具で耐えることはできますが、暑い場合はどうにもなりません。
汗だくになりながらいつ終わるかわからない作業を延々と繰り返すのは本当に辛かった記憶があります。
交通整理をしながら水分補給ができればいいのですが、なかなかそうはいきません。
それでも過去に1度だけ「もう限界だ。このままだと倒れる…」と感じたとき、たまたま近くにあった自販機で水分を買って凌いだ経験があります。
時間がかかる現場だと2~3時間は腕を振り続けることになりますので、本当に体力が必要な仕事だと感じました。
また、真夏や真冬だけでなく、雨が降っている場合も辛いものがありました。
長時間の交通整理が大変なのは
- 他の警察官と交代することが難しい
- 途中で休憩を挟むことができない
- 警察官が交通整理を怠れば二次事故が起きる
- 腕を振り続けるので腕も疲れる
といった事情もあり、地味な作業ながら本当に大変です。
また、若手警察官であれば「あとはお前がやっとけ!」と上司から一方的に指示され、大きな道路を一人で乗り切らなければいけない場合があります。
交通整理は道路を混乱させないために行うものなので、的確に&わかりやすく動かなければいけません。
万が一、警察官の誘導ミスで二次事故が発生した場合は損害賠償を請求される恐れもあります。
交通整理は地域課で勤務をしていれば誰もが経験することですので、要領などはしっかり覚えておく必要があるでしょう。
第4位 大人数の乱闘事件
警察官時代に経験した大変だった仕事の第4位は「大人数の乱闘事件」です。
繁華街では酔っ払い同士のケンカやトラブルは毎日のように発生するものですが、繁華街以外でもそのようなトラブルは日常茶飯事です。
スナック、キャバクラ、バーなどのお店がある場合、よくあるのが客同士のケンカです。
アルコールが入るとついつい気が大きくなってしまうロクでもない人は多く、こういったお店では客同士がトラブルになることが多いのです。
トラブルになる原因としては様々ですが、ほぼすべての原因が些細でどうでもいいようなことです。
しかし、厄介なのが原因は些細なものなのですが、お互いアルコールが入っているため、一度トラブルになると暴行や傷害に至る大きな事件へと発展する可能性が高いところです。
これが1vs1のケンカならまだいいのですが、グループvsグループだと本当に大変で収拾がつかなくなります。
歓楽街を管轄する警察署には「客同士でケンカになった」「店とトラブルになった」という通報が後を絶たない。特に週末はひどいもので、夜から朝まで同様の通報が鳴りやまない。歓楽街を受け持つ警察署で勤務する場合は過酷な勤務を覚悟しなければならない。
このようなトラブルに数多く対応してきた中で、思い出に残っているのが大人数での乱闘事件です。
歓楽街ではありませんでしたが、事件が発生したのはバーやキャバクラが複数入っているビルでした。
夜間、「路上に出て大人数でケンカしている」という通報に基づいて現場に出向したところ、20人程度が道路に飛び出し、両軍入り乱れて乱闘をしている状況でした。
警察官からしてもなにがなんだかわからず、道路上で非常に危険な状況でしたので、お互いを引き離すことで精一杯でした。
しかも相手が20人程度ですので、最初は警察官の数がまったく足りず、次から次へと応援を呼んで辺りは騒然となりました。(パトカー10台以上)
状況としてはバーで飲んでいたグループが別のグループと些細なことでトラブルになり、路上に出て乱闘に発展したという状況でした。
なんとか双方を分離することができたのですが、まだ興奮が収まらない者も多数おり、警察官とも揉み合いになる状況が続き、私自身も体を張って奮闘していました。
中には多量に出血をしている者もおり、場合によっては傷害事件として逮捕手続に入らなければいけない状況でもありました。
このような場合、現場にいる関係者は
- 一方的に殴られた
- 俺は被害者だ。被害届を出す
- あいつをパクれ
- 関係ないから俺は帰る
など言いたいことを言ってきますので、すべてを鵜呑みにするのではなく、正確な事実を特定しなければいけません。
誰が犯人で誰が被害者なのか、事件として成立するのか…。
しかし、現場が混乱していると事実を特定することが困難なため、時間だけが過ぎていくという悪循環に陥ります。
事実を特定できないと逮捕手続にも入れませんので、現場を収めることもできません。
結局、このときは関係者をすべて警察署に連れていき、双方からじっくり話を聞いた上で和解するという結論で終結しました。
相手の人数が多ければ多いほどこの結論を出すだけで時間がかかります。
終わってみれば5時間程度が経過しており、対応した警察官は休憩もとれず全員が徹夜。
このような事件が発生するとなかなか終わらない、休憩もとれない、体も張らなきゃいけないの3拍子なので、疲労だけが残る本当に大変な現場と言えます。
第3位 長時間の張り込み
警察官時代に経験した大変だった仕事の第3位は「長時間の張り込み」です。
張り込み捜査はよく刑事ドラマでも目にする機会があると思いますが、犯人に気付かれないように尾行や待ち伏せをする捜査手法のことです。
手にはあんパンと牛乳を持ち、双眼鏡も使いながら華麗に犯人を追いかける刑事…
そんなイメージから「警察官になったら張り込みをやってみたい!」と思っている方は意外と多いのではないでしょうか。
これはあくまでドラマの世界の話であり、実際の張り込み捜査はときに想像を絶する大変さになりますので、私が経験した過酷な張り込み捜査を紹介します。
張り込み=刑事というイメージが強いかもしれませんが、実はどこの部署においても張り込みはよく使われる手法です。
それは地域課であっても生活安全課であっても同じで、捜査のために必要な場合には張り込みを行います。
張り込み捜査の利点としては「相手が警察官に気付いていない」という点がある。そのため、張り込み捜査中に犯人が目の前で犯行を行う場合もあり、即検挙に繋がる有効な手法。逆に犯人に気付かれると無駄足になってしまう。
- 銅線窃盗事件
私が交番で勤務をしているとき、管内の工事現場で銅線が盗まれるという事件が多発しました。
銅線が盗まれる事件は決して珍しいことではなく、建設中の工事現場では割とよくある被害です。
銅線や鉄線の類はリサイクル工場などに持っていくと高く買い取ってもらえることがあるので、これを専門とする泥棒もいるくらいです。
銅線泥棒は工事がやっていない夜中に現場に侵入することがほとんどで、明朝に現場にやってきた作業員が被害に気付くというパターンが多いです。(非番に被害届を受理するため、警察官は残業となる)
毎週のように同じ工事現場で被害が続いていたため、先回りをしてその工事現場で夜中に張り込みをすることが決まりました。
工事現場の関係者にも了解をとり、午後10時頃から現場に複数の警察官で忍び込み、息をひそめることに。
張り込み捜査は様々なパターンがありますが、このように現場に警察官がひそむというのが王道なパターンと言えます。
ただし、このときは真夏だった上、屋外での張り込みとなったため、暑さとの戦いでした。
さらに少しでも物音を立てれば犯人が来たときに察知されてしまうので、警察官はじっと座っているだけの状態。
じわじわ汗が流れ、暑さでのどが渇き、蚊も寄ってくる中で身動き1つとれない…
この状態で4時間が経過しましたが、この日は残念ながら犯人は現れませんでした。
本当に大変な4時間で、「できればもうやりたくない」と思えるくらいでしたが、張り込みは1度きりで終わるものではなく、何度もやって犯人を待ち受けるのが当たり前です。
そのため、後日に何度か同じ張り込みを行いました。
同じように暑さに苦しむ大変な張り込みでしたが、結局最後まで犯人を検挙することはできませんでした。
多発していた犯行が止まったので、犯人がなにか異変を察知したのか、警察官に気付いたのか、それとも目的を達成して別の現場に移ったのかはわかりません。
犯人を検挙することは一筋縄ではいかないということが勉強になった経験でした。
第2位 不眠不休+長時間残業
警察官時代に経験した大変だった仕事の第2位は「不眠不休+長時間の残業」です。
警察官の仕事は昼夜を問わず働く必要があり、ときに長時間の勤務や残業になってしまうこともあります。
というよりも忙しい警察署であればそのようなことが当たり前で、プライベートを犠牲にしてでも働かなければいけない場合があります。
警察官の勤務体系は大きく分けると3交代勤務と日勤勤務の2つあり、前者は1回の勤務が24時間で、後者は基本土日休みです。
3交代勤務は主に地域課の勤務体系で、日勤勤務は刑事課や生活安全課などの部署の勤務体系です。
いずれにしても事件や通報がある限りは簡単に帰ることができず、自分の都合で働くことは難しいのが現実です。
警察官の仕事は先が読めない難しさがあり、いつなにが起きるかわからない緊張感もあって予定通りにいかないのが当たり前と言えます。
さらに仕事を終えて帰ろうとしてもその瞬間に大きな事件が入れば再び仕事に戻らなければならず、特に忙しい警察署の刑事課は本当に大変な勤務が続きます。
警察官の仕事はワークライフバランスが意識されるようになってきたとはいえ、それでも仕事とプライベートを区別することはなかなか難しい。よって、プライベートを重視したい人には向いていない職業で、いかに仕事に尽くせるかが問われる場面が多い。
私は長年パトカーに乗っていたので、勤務としては警察人生のほとんどを3交代勤務で過ごしました。
最初に伝えておきたいですが、3交代勤務はめちゃくちゃきついです。
たまに3交代勤務について「3日に1回しか出勤しないから楽でしょ?」と言われることがありますが、まったくそんなことはありません。
1回の勤務が24時間というのがどれだけ大変なのかは経験者にしかわからないことだと思います。
そもそも「3交代勤務ってなに?!」という方は下記の画像をご覧ください。
見てもらえばわかる通り、3交代勤務は勤務のパターンが完全に固定されており、これ以外の勤務パターンはありません。(警視庁のみ4交代なのでこれとは異なります)
1回の出勤が24時間となっており、仕事が終わった日(非番)+翌日(週休日)は残業や休日出勤がない限り仕事はありません。
これだけを見ると「やっぱり楽そうじゃん!」と思われるかもしれませんが、これはあくまで勤務のパターンがそうなっているだけです。
3交代勤務の実態はこんな甘いものではありません。
まず、出勤は午前8時頃になっており、着替えや朝礼などを済ませて午前9時には勤務が始まります。
地域課の仕事は基本的に通報に対応するものがほとんどですので、勤務が始まれば事件や事故に対応していくこととなります。
3交代勤務は通報の件数がすべてと言っても過言ではなく、通報が少なければ落ち着いて働けますし、通報が多ければ休憩もとれません。
通報が多い場合、昼になっても昼食は食べられませんし、勤務が始まってから夕方まで休憩すらとれない日も全然あります。
昼食を夕方にとることも珍しくなく、空腹や疲れと戦いながら働くことも多いです。
忙しい日はまさに不眠不休の勤務となり、仮眠時間(夜中)になっても働き続け、午前3時や4時にバリバリ働くことも日常茶飯事です。
まだこれだけならいいのですが、24時間勤務なので仕事は午前9時頃まで続き、8時55分に面倒な事件が入ればそのまま長時間の残業に突入となります。
私自身の最高記録は夕方4時頃まで勤務したことがあり、刑事研修のときは40時間勤務も経験したことがあります。
3日に1回とはいえ、これだけ過酷な24時間勤務がどれだけ大変かはやってみないとわかりませんし、経験者としては二度と経験したくありません。
忙しい日で不眠不休+長時間残業の勤務を終えた後は
- 電車で立っているのに意識が飛ぶ
- エスカレーターに乗っていても寝落ちする
- 家に帰ったら倒れ込むようにして寝る
という風になり、本当にボロボロになりながらの帰宅でした。
休憩もとれない、食事もとれない、仮眠もとれない、残業も終わらない…
「こんな過酷な勤務をあと30年も続けられるわけがない」
私が警察官を退職するきっかけとなったことは間違いありません。
これから警察官になる方や警察官を目指している方はこんな大変な勤務が待ち受けていることを覚悟しておく必要があるでしょう。
第1位 猛暑の変死体処理
警察官時代に経験した大変だった仕事の第1位は「猛暑の変死体処理」です。
地域課で勤務をしていると絶対に避けられないのが変死体です。
度々ネットニュースでも取り上げられる機会がありますが、警察官の取り扱う変死体で多いのが孤独死です。
孤独死とはその名の通り、自宅で誰にも気付かれずに一人で亡くなることを意味します。
孤独死が発覚するパターンとして
- ポストに新聞がたまっている
- 家族or知り合いと連絡がとれない
- 出勤してこない人がいる
- 家賃や光熱費が支払われない
といった通報が警察に入る場合がほとんどです。
すべてに共通して言えることが「遺体の発見が遅れる」ということです。
いずれもある程度の時間が経過してから通報が入るため、どうしても時間が経過してしまい、警察が発見するのも遅れてしまいます。
こういった通報が入るとすぐに警察官が現場に出向し、色々な方法を使って部屋の中を確認します。
このような場合に必ずしも遺体を発見するわけではなく、夜逃げしてしまったということもあります。
警察官が変死体を処理する場合、まずは事件性の有無を確認する。これは自然死に見せかけた殺人事件ではないかという観点であり、あらゆる確認を実施する。その多くは自然死であるが、わずかな油断も許されない。
そして、変死体の処理で最も大変なのが猛暑の時期です。
夏場は遺体の発見が遅れれば遅れるほど腐敗が進行してしまい、さらに遺体には大量の虫が発生します。(冬場は腐敗の進行が遅い)
腐敗が進行した遺体を処理するのは警察官の使命ですが、あまりに腐敗したものだとミイラ化している場合も珍しくありません。
事件性の有無を確認しなければいけないので、体に刺し傷や損傷がないかを確認しなければならず、その場で遺体を動かします。
当然、警察官も感染症の予防対策で手袋やマスクを着用しますが、それでも腐敗した遺体の感触は生々しく、また強烈な悪臭を放っています。
腐敗が進行している場合、とても鼻では呼吸できず、さらに遺体に群がるようにうじ虫などの大量の虫が発生しているので、そういったものとも戦わなければいけません。
しかもこれが夏場であってもエアコンをつけることができないので、警察官自身もえげつない量の汗をかき、着用している手袋の中には水たまりができるほどです。
変死体の現場は長時間かかることが当たり前で、すべての作業を終えるには4時間前後はかかってしまいます。
もちろん現場で水分補給はできませんので、暑ければ暑いほど過酷な仕事となります。
室内の状況は変えられない
事件性の確認や死因を特定するためにも変死体が発見された室内の状況は変えてはならない。暑いからといってエアコンをつければ室温が変わってしまうため、死亡推定時刻にも影響が出てしまう。
変死体の処理は地域課と刑事課が協力して行うので、いずれかの部署で働いている場合は絶対に避けられない現場です。
私自身も交番で勤務しているときは何度も経験があり、今思い出しても二度と経験したくない仕事の1つです。
変死体の現場も他の事件と同じようにいつ向かうことになるのかはわかりませんので、通報が入った時点でドキドキするものでした。
出勤して早々に通報が入る場合もあれば、仕事が終わる直前で入る場合もあります。
腐敗した遺体の現場であればその臭いが制服に染みつき、1日中臭いが取れないこともザラです。
このような現場は若手警察官が率先して色々と行わなければいけないので、警察学校を卒業してからいきなり向かうことになる可能性もあることは覚えておきましょう。
まとめ
今回は警察官時代に経験した大変だった仕事について5つ紹介しました。
警察官の仕事は華やかな仕事に見えるかもしれませんが、そのような仕事はごくごく一部だけです。
警察官なら誰もが過酷な現場を経験し、大変な思いをしながら奮闘しています。
今回紹介した仕事はあくまで一例であり、警察官時代に大変な思いをした仕事は山ほどあります。
これから警察官になる方や将来警察官を目指している方はそんな覚悟も必要であることを忘れないでください。
「警察官になりたい」という気持ちだけでは決して続く仕事ではないと思います。
警察官の仕事って色々大変なことがあると思うのですが、どんな仕事が大変でしたか?