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多発する無免許運転…なぜ無免許運転はバレないのか?

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藤田 悠希
元警察官。会社員を経て警察官に転職し、都市部の県警で8年間勤務。主にパトカー勤務を行い、数々の事件検挙や交通取締りに従事した。元警察官の経験から幅広く警察官情報を発信中。

無免許運転で検挙されるニュースを度々見ますが…。なぜ事前に検挙できないんですか?

「無免許運転で検挙」「○年も無免許運転をしていたことが発覚」などのニュースは目にする機会が多くあります。

無免許運転というのは免許が取消しになったのに運転をすることそもそも免許を持っていないのに運転することを言います。

普段、ルールを守ってハンドルを握っているドライバーからすれば信じ難いことですが、このような悪質な行為が当たり前のように起きているのが現実です。

当然、無免許運転は法律に違反することですし、警察官に検挙されれば重い罰則を受けることになります。

一般的な感覚ならば無免許運転は怖くてできないものでしょう。

そもそも運転免許を持っていないのに車を運転する時点で普通の考えではありません。

しかし、残念なことに無免許運転は後が絶たないのが事実ですし、私自身も警察官時代は数多く検挙してきました。

無免許運転の罰則については下記の通りとなっています。

無免許運転の罰則
  • 罰則

3年以下の懲役又は50万円以下の罰金

  • 点数

25点(6点以上で免許停止)

無免許運転はこれだけ重い罰則となっており、一度検挙されればかなりのダメージになるにも関わらず一向になくなりません。

今現在でもどこかの道路では無免許ドライバーがハンドルを握って走っているのが現実でしょう。

では、なぜ無免許運転は事前に発覚しないのか?

なぜ長年バレることなく無免許運転をすることができるのか?

そこで、この記事では多発する無免許運転について解説し、元警察官の私がが実際に検挙した実例も交えて無免許運転の危険さについて解説します。

なぜ無免許運転はバレないのか?

なぜ無免許運転はバレないのか

無免許運転で検挙された被疑者が「長期間無免許だった/免許を取得したことがなかった」と供述しているニュースは度々目にします。

このようなニュースを見たとき、一般的な感覚として「なぜずっと無免許が発覚しなかったのか?」という疑問を持つのではないでしょうか。

私も同じ感覚なのですが、不思議と度々起こってしまうのが現実です。

ルールを守り、当たり前のように免許を持って運転しているドライバーからすると信じ難いことでもあります。

こんな状態で交通事故を起こそうものなら悲惨な結果しか待ち受けていません。

経験から言うと無免許運転のパターンは大体2つあります。

それぞれ紹介します。

  1. 元から運転免許を持っていない

まず1つ目はそもそも運転免許を取得したことがないという大変悪質なパターンです。

これはかなり悪質で、弁解の余地もありません。

免許を取得したことがないのになんで車の運転ができちゃうの?と思ってしまうのですが、このようなケースはいくつかあります。

無免許の期間が長期間であればあるほど悪質性は高まるので、発覚すればその場で逮捕に至る場合がほとんどです。

なんとなくで車を運転しているということなので、一般ドライバーからすると恐怖でしかありません。

  1. 取消し後にそのまま放置

2つ目は免許停止や免許取消しを放置し、免許を再取得しないことで無免許を続けるパターンです。

交通事故や飲酒運転などをして免許が取消しになると、しばらくの間は再び免許を取得することができません。

重たいものだと5年以上免許の取得ができない場合がありますし、再取得しようと思っても講習代などで多額の費用がかかることになります。

すると多くの人は「お金もかかるし、もうこのままでいいや」となってしまい、もう1度免許を取得すること自体が面倒になってしまいます。

結果的にそのまま無免許の状態で車を運転をすることになり、事故や違反をしたときに無免許が発覚する流れです。

こちらも大変悪質で、発覚すればその場で逮捕することもあります。

どちらかと言えば、こちらのパターンの方が多いかもしれません。

うっかり失効

もう1つよくあるのは”うっかり失効”のパターン。これは高齢者によく見られるもので、単純に免許更新を忘れており、自覚がないものをいう。逮捕になることは少ないが、無免許運転(赤切符)には変わりない。

免許更新の案内は免許証記載の住所に届くようになっているのですが、住所変更の手続きをしていなかったり、間違えて届いた案内を破棄してしまったりして、更新するのを忘れてしまう人がいます。

病気で入院していたなど、やむを得ない事情がある場合は救済措置がありますが、その他の理由では許してもらえません。

免許の更新期限は定期的に確認することをおすすめします。

では、なぜ免許が取消しになっても無免許運転がバレないのでしょうか?

その理由は警察官は運転手を見ただけで無免許かどうかがわからないからです。

長期間の無免許運転でも警察官にバレない理由のすべてがこれと言っても過言ではありません。

警察官が運転手に対して免許証の確認を行ったときだけ免許の有無がわかるので、外見上はまったくわからないのが現実です。

そのため、無免許運転がバレるときは大体が交通事故もしくは交通違反をしたときになります。

必ず免許証を確認

交通事故や交通違反があった際、警察官は必ず運転手の免許証を確認する。このとき、無免許や有効期限切れの場合は現場に緊張感が走る。

ですので、逆に言うと事故も違反もしない人は無免許であってもバレませんし、警察官も確認のしようがありません。

その結果として、残念なことに無免許のまま故意に車の運転をする人が続出してしまうのです。

正式な免許証を読み込ませなければ車が使えないというようなシステムが開発されない限り、悪質な無免許運転はなくならないでしょう。

無免許運転のリスク

無免許運転のリスク

無免許運転をすることは言語道断ですが、元警察官の目線で無免許運転をするリスクについて説明しておきます。

無免許運転を自覚し、故意に無免許運転をしている人の場合は事故や違反をしたときにその場から逃げる傾向が大いにあります。

その理由は事故や違反をすれば警察官に免許証を提示しなければいけなくなるので、そこで無免許運転が発覚してしまうからです。

つまり、「警察官に無免許がバレるのが怖い」という心理に陥ってしまい、発覚を免れるためにその場から逃げてしまうのです。

しかし、事故をして逃げれば”ひき逃げ”というさらに重い罪が重なりますし、違反をして警察官から逃げれば別の事故を起こしてしまう可能性もあります。

これが無免許運転の大きなリスクと言えますし、実際によく起きることです。

その一方で、更新を忘れている”うっかり失効”の人はそもそも無免許の状態であることに本人が気付いていません。

うっかり失効の場合は警察官に指摘されて初めて気付く人がほとんどであり、本人も悪意を持っていないのが特徴です。

ドライバーとしては失格ですが、同じ無免許運転でも大目に見て過失と言える部分もありますので、同じ無免許運転でも印象は大きく異なります。

有効期限は確認

周りにいる高齢者がよく車を運転する人であれば、定期的に運転免許証の有効期限を確認してあげることがベスト。更新を忘れてしまう人は珍しくない。

うっかり失効の場合は本人が気付いていないので、事故や違反をしても必死に逃げるということはほとんどありません。

むしろ免許が失効していることに気付いていないので、交通違反をしても素直に免許証を提示してくれます。

高齢の親や親戚がいるという方であれば、免許証の有効期限を定期的に確認してあげるのもいいでしょう。

また、免許証更新の案内が自宅に届いた場合はしっかり保管するようにし、引っ越しなどをして住所が変わった場合は確実に免許証の住所も変更してください。

うっかり失効は故意の運転免許と違い、防ごうと思えば防ぐことができます。

無免許運転の実例①

無免許運転の実例1

ここからは警察官時代に実際に検挙したことがある無免許運転の事例を紹介していきます。

私が警察官として働いていたとき、無免許運転は何度も検挙したことがあります。

どちらかと言えば、警察官になって無免許運転の多さに驚いたくらいです。

それくらい無免許運転をしている人は多いですし、みなさんが普段生活で使っている道路には当たり前のように無免許で車を運転している人がいるのが現実です。

誰もが免許を更新することが当然だと思っている中、そんなことをお構いなしにしているドライバーがいるというのは何とも残念なことです。

そんな多発する無免許運転ですが、私が警察官時代に経験した無免許運転の実例を紹介します。

  • 実例①高齢女性のうっかり失効

パトカーに乗って取締りを実施していたところ、1人の高齢女性の違反を認めたため、停止させて免許証の呈示を求めました。

高齢女性は素直に免許証を渡してくれたため、いつも通り免許証を確認して切符を作成しようとしたしました。

しかし、免許証をよく見ると有効期限が3か月切れていることに気付いたのです。

この事実を高齢女性に伝えると「え?まったく知りませんでした…」と供述があり、ここでうっかり失効であることが判明しました。

うっかり失効とはいえ無免許運転には変わりないので、警察署で赤切符処理を行い、家族を呼び出した上で色々と手続きを行いました。

これがうっかり失効の王道パターンであるため、運転免許証の有効期限には十分気を付けて頂きたいです。

運転手の高齢女性は無免許運転をしている自覚がまったくなく、警察官に指摘されて初めて気付いているレベルです。

故意ではないので過失となりますが、この場合でも赤切符処理となり、罰金等の処分が下ることになります。

さらに警察から家族などに今後運転しないよう指導監督をお願いすることになりますし、運転していた車を引き取りに来てもらわなくてはいけません。

結果的にこのように周りの人にも迷惑をかけることになってしまいますので、できれば起こしたくないものです。

無免許運転の実例②

無免許運転の実例2

次に紹介する実例は許しがたい悪質な無免許運転の実例です。

やはり無免許であることを認識しながら故意に無免許運転をする人は世の中に一定数おり、警察官の仕事をしていると年に何度かは遭遇します。

1度ならまだしも2度、3度と無免許運転を繰り返す人も珍しくありません。

これまた真面目に免許更新をしているドライバーからすると信じられないことですが、実際に起こっていることです。

大きな犠牲を払うことになるので、無免許運転は絶対にやめましょう。

  • 実例② 繰り返された無免許運転

パトカーでパトロール中、不審な動きをする車を認めたため、停止を求めて職務質問を開始しました。

運転席には中年の男性が乗車しており、いつも通り免許証の呈示を求めると「持っていない」と回答されました。

最初は単なる免許証不携帯(反則金3,000円のみ)だと思っていたのですが、詳しく調べると免許が失効しており、無免許運転であることが判明しました。

このときは素直に犯行を認め、証拠隠滅や逃走の恐れもないことから赤切符処理のみとし、家族に事情を説明した上で引き渡しました。

しかし、1週間後にパトロールをしていたとき、目に飛び込んできたのは再び車を運転している中年男性でした。

もちろん前回と同様に無免許運転に変わりなく、悪質と判断したため現行犯逮捕としました。

1週間後に同じ男性が車を運転しているのを発見したときは目を疑いました。

他人の空似だと思いましたが、確認するとまったく同じ人物…。

これは本当に悪質な実例ですし、逮捕されて当然の行為です。

この後すぐに釈放となりましたが、家族に車の鍵を預け、今後は絶対に運転しないよう家族にも厳重注意しました。

もちろん1回目に検挙したときも同じ措置をとっていますが、本人が勝手に車の鍵を見つけて運転してしまったそうです。

家族がこのような無免許運転をした場合、同居している家族が「無免許であることを知りながら車を運転させた」と判断され、無免許運転のほう助罪(無免許運転をさせる行為)で検挙される可能性もありますので、十分に注意が必要です。

不携帯は無免許運転ではない

免許証不携帯は無免許運転ではない

続いて、免許証不携帯という違反について紹介します。

無免許運転と少し似た違反で免許証不携帯という違反がありますが、この違反についても警察官時代には多数検挙しました。

免許証を持たないまま運転するという行為は誰もが一度は経験があるのではないでしょうか。

よく勘違いされますが、これは「免許は取得しているが手元にない」という状態ですので、無免許運転にはなりません。

ただし、免許証不携帯という1つの違反になりますので、青切符処理となります。

「近所だから」「もうすぐ家だから」と言われる方が多いですが、いずれにせよ免許証を所持していない状態で運転をした時点で違反が成立します。

  • 免許証不携帯

違反点数 0

反則金 3,000円

「違反点数がないし、3,000円なら軽い違反だな」

免許証不携帯について、多くの方はこう思ったかもしれません。

確かに違反点数が0であり、反則金がわずか3,000円で済むなら痛くないと感じやすいです。

しかし、これには落とし穴があります。

実は免許証不携帯という違反は無免許運転と同じく、信号無視一時不停止などの違反で止めたときに初めて発覚する違反なのです。

無免許運転と同じで警察官が外見上ではまったくわからないため、免許証を確認する作業をしない限り免許証不携帯であることは誰にもわかりません。

つまり、免許証不携帯というのは他の違反と一緒に切符処理をされる機会が非常に多いため、結局は信号無視+免許証不携帯というような形になることが多いのです。

免許証不携帯だけで青切符を作成されることはほぼありません。

ちなみに普通車で信号無視+免許証不携帯をやってしまうと下記のようになります。

  • 信号無視+免許証不携帯

普通車

反則金 9,000円(信号無視)+3,000円(免許証不携帯)

点数 2点(信号無視)

免許証不携帯だけであれば3,000円で済む話ですが、多くはこのようなパターンになってダブルパンチとなりますので、運転をするときは必ず免許証を携帯するようにしましょう。

特に「近所に行くだけだから財布を持ってきていない」というケースが多かったので、どれだけ近い場所に行くとしても車を運転する場合は免許証を忘れないようにしてください。

基本を守ることで不要な痛手は避けることができます。

逮捕されたときのリスク

無免許運転 逮捕されたときのリスク

最後に無免許運転で逮捕されたときのリスクについて解説します。

万が一、無免許運転が発覚して逮捕された場合、実名でニュースになる可能性は高いと言えるでしょう。

悪質な飲酒運転と同じで、無免許運転も社会的関心が高いニュースですので、警察としては啓発の意味も含めて発表することが多いです。

たかが無免許運転と思っているかもしれませんが、実名で世間に報道されれば大きな不利益を受けることになります。

では実名で報じられた場合、考えられる不利益としては

  1. 実名が報道されることで会社に知られる
  2. 逮捕されることで48時間程度は留置場で過ごすことになる
  3. 大まかな住所まで報道されることで近所の人にも知られる
  4. 実名が報道されることで家族に迷惑がかかる
  5. 釈放されても免許の再取得にはかなりの期間を要する

等のことがあります。

はっきり言えることですが、得をすることはなに1つありません。

会社もクビになり、家族や友人は離れていき、免許も取得できなくなる…

無免許運転で逮捕されてしまったら、これだけ大きく人生が変わることは避けられないでしょう。

本記事を読んでくださった方ならば、無免許運転のリスクの大きさはよくわかって頂いたと思います。

「無免許運転って怖いな…」

これが普通の感覚だと思いますし、そう思って頂ければ幸いです。

しかし、これだけ恐ろしいことであるにも関わらず全国各地で無免許運転は後を絶ちません。

たかが無免許運転、たかが逮捕という考えもあるかもしれませんが、圧倒的に不利益の方が大きいです。

「無免許でもバレなければいい」と考えている方は無免許運転のリスクについてもう1度深く考えてみるようにしてください。

まとめ

今回は無免許運転がなぜバレないのかについて解説しました。

やはり外見上ではまったくわからないという問題があるため、「バレないだろう」という気持ちでやってしまう人が多いのではないかと思います。

確かにバレなければずっと無免許運転を続けることはできるかもしれませんが、検挙されたときは厳罰が下ります。

さらには結果的に家族や会社の上司にも迷惑がかかることになりますので、決して自分だけの問題では終わりません

それこそもう1度免許を取得するのが嫌になってしまうような処分になりますので、無免許運転は絶対にやめましょう。

本記事によって、無免許運転の恐ろしさが少しでも伝われば幸いですし、1件でも無免許運転の事例が減ることを願っています。

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