警察学校は日々の授業・試験・検定はもちろん、その他にも様々な場面で初任科生の”仕事ぶり”が試されることが多い場所です。
1つの教官の指示や教え方に対して、忠実に従うことができるか、失敗せずに遂行することができるかというのは警察学校で非常に大事になってくる部分です。
その理由は警察官という仕事は上司の指示に従う義務があるので、部下は指示通りに動くことが求められるからです。
なにより警察学校は全員が同じスタートなので、全員が同じようにできて当たり前という見方をされる場合もあります。
その教育が始まるのが警察学校であり、警察官としての資質を試されるのも警察学校です。
警察学校では絶対的な上下関係を学び、忠実に教官の指示に従うことを学べば十分と言えます。
言われたことをやるというのは警察官として基本中の基本となるでしょう。
しかし、そうは言っても警察学校は高い緊張感の中で生活をしていく場所なので、何事にも失敗がつきものです。
全員が試験で高得点がとれるわけではないですし、全員が検定に合格できるわけではありません。
全員の能力が同じではないので、試験で赤点をとってしまう者がいれば、検定で不合格になる者もいます。
私自身も完璧な警察学校生活を送っていたわけではなく、様々な失敗を経験しています。
そこで、この記事では警察学校での失敗談を赤裸々に紹介し、失敗を恐れず、失敗から学ぶことの大切さをお伝えしたいと思います。
失敗は許されない?

警察学校では「そんなことで…?」と思うくらいのことで教官からよく怒られます。
教官自体もわざと怒っている部分はありますが、ちょっとした個人の失敗やちょっとしたクラスの乱れでも鬼のように怒ってきます。
特に入校当初は怒られない日はないと思っておいた方がいいでしょう。
警察学校に対してはこのようなイメージを持っている方は多いと思いますが、実際に毎日怒られると「怒られることが怖くなる」という心理状況に陥りやすいです。
こうなると教官に怒られないように過ごしがちになり、積極性がなくなったり、失敗を隠ぺいしたりするようになり、どんどん良くない方向へ向かってしまいます。
それだけ怒られるのが嫌になりますが、経験者からするとこの心理は非常に理解ができます。
警察学校では教官から怒られることが当たり前なので、それをいちいち気にしていては心がもたない。怒られたことについてはしっかり受け止める必要があるが、気持ちの切り替えが大事になる。
では、警察学校は失敗が許されないところなのでしょうか?
答えはノーです。
警察学校は失敗が許されない場所ではなく、むしろ失敗をたくさん経験しておくべき場所です。
警察学校を卒業するとすぐに交番勤務がスタートし、警察学校よりも高い緊張感の中で仕事をすることになります。
そんなところでは警察学校のように簡単に失敗をすることが許されません。
なぜなら警察官が仕事を失敗すれば、場合によっては裁判沙汰になることだってあるからです。
市民から苦情を寄せられることもあるでしょう。
つまり、警察学校というのはあくまで現場に出る前の準備期間ですので、実はいくらでも失敗が許される場所なのです。
警察学校でたくさん失敗を経験し、失敗を取り戻す手段や立ち直る方法を自分のものにしておくのはとても大事になります。
教官から怒られるだけで済むならなんてことありません。
ぜひ警察学校では失敗を数多く経験するようにしてください。
失敗談① 前に出る勇気

ここからは私自身が経験した警察学校での失敗談を紹介していきます。
失敗談の1つ目は「前に出る勇気」です。
先ほど、警察学校では失敗を恐れずどんどん失敗するべきと紹介しましたが、実は私自身が警察学校で積極的になることができなかった一人です。
定番中の定番ですが、「教官に怒られたくない」「同期に失敗する姿を見られたくない」という気持ちが強く、なるべく失敗しないように行動していました。
もちろん教官に怒鳴られたことは何度もありますし、失敗をしたことも何度もあります。
しかし、時間が経つにつれてリスクをとらないように行動するようになったのは確かです。
同期みんなの前で怒られるというのは恥ずかしいですし、なるべくなら経験したくないものだと思うようになっていきました。
そのため、次第に「積極的に頑張る同期を見守る」という立場になってしまい、みんなの前に出ることができなくなっていました。
警察学校ではなにかと前に出ることが求められる。それは授業中に挙手をすることもそうだし、同期に先立ってなにかをやるときもそう。前に出る勇気は意識しておくべき。
集団生活をしていると、どうしても「誰かがやるだろう」「誰かの真似をすればいいだろう」という考えになってしまいます。
実際、こういう考えでも警察学校では生活していくことができますし、人によってはほとんど失敗を経験することなく卒業することもできます。
特に春入校は初任科生の人数が多いので、うまくやり過ごせばほとんど怒られずに卒業できてしまいます。
【警察官採用試験】高卒と大卒の警察官はどう違う?昇任・給料・進路などについて解説
警察学校で教官から怒られなくて済むならそれに越したことはないでしょう。
しかし、警察学校でそういう気持ちに慣れてしまうとそれがそのまま現場の勤務態度にも表れてしまいます。
消極的な新人警察官というのは評価が低いですし、上司から怒られる機会も多いです。
警察学校で前に出れなかった人は現場の危険な任務でも前に出ることができません。
そうならないためにも警察学校では
- 誰もやりたがらないことをやる
- 面倒なことでも手を抜かない
- 失敗を恐れず前に出る
ということを意識することをおすすめします。
なにより警察官の仕事はときに凶悪な犯人に立ち向かっていかなければいけない場面があるので、そんな場面で逃げ腰になっているようではいけません。
警察官は最後の砦なので、どんな状況であっても前に出る勇気を持った警察官を目指すようにしてください。
失敗談② 試験勉強

失敗談の2つ目は「試験勉強」です。
警察学校では定期試験と卒業試験があり、いずれも入校中の大きなイベントとなります。
警察学校での生活はなにもかもが点数化され、それがすべて順位化されますが、なんといっても点数の大半を占めるのが試験での点数です。
試験前は外泊を禁止にして週末も勉強に集中させるという教官がいるくらいで、定期試験はそれほど重要な位置づけとなっています。
実際に私の担任教官もとにかく試験勉強については厳しく、卒業試験のときは約1か月外泊を禁止にされていました。
警察学校をいい順位で卒業したいならば試験で結果を残すことは必須ですし、定期試験は日頃の努力をアピールする場にもなります。
ですので、警察学校での試験では高得点をとるに越したことはありません。
警察学校の卒業順位は配属先の警察署を決める大きな要素となり、優秀な成績をとる者ほど大きな警察署に配属されやすい。よって、卒業順位は警察人生を左右するほどのものとなる。
そんな中、私は警察学校の卒業順位が上位3分の1だったので、そこそこの成績で卒業できました。
定期試験や卒業試験でも自分なりに勉強していたので、クラスでは常に上位の点数をとることができていました。
しかし、後から振り返れば「もっと勉強しておけばよかった」と思っています。
正直に言えば、もっと結果を残すことはできたし、もっと勉強に時間を使うことはできました。
結局、「自分なり」にやっていただけなので、自分よりも努力をしていた同期たちを上回ることができなかったのです。
試験勉強をせずにかなりゆっくりしていた時間もありましたし、全力を出し切っていませんでした。
あのとき、後悔がないように勉強をしていればその後の警察人生も多少変わっていたかもしれません。
警察学校で勉強する法律の知識は実戦の場でもすぐに必要になる知識ですし、全力で勉強をして損をすることはありません。
なにより定期試験は自分の存在をアピールする絶好の場でもあります。
これから警察学校に入校する方には後悔がないよう試験に臨んで欲しいと思います。
スタートは全員が同じですので、全員に結果を残すチャンスがありますよ。
入校前に勉強をしておくなら初心者向けの参考書がおすすめです。
私は警察学校を卒業してからこの参考書に出会いましたが、入校前から読んでおけばと思うほど初心者にわかりやすい内容になっています。
いきなり難しい参考書で勉強しても全然意味がわからないので、最初はこのような入門書がおすすめです。
ぜひ参考にしてください。
失敗談③ 検定不合格

失敗談の3つ目は「検定不合格」です。
警察学校では警察独自の検定がいくつも用意されており、初任科や初任補修科では行われるすべての検定に合格することが必要です。
検定は定期試験と同じくらい重要なものなので、定期試験と同じようにしっかり準備しておくことが求められます。
これもスタートは全員が同じなので、日々の生活において努力を積み重ねていくしかありません。
警察学校で行われる検定については下記の記事で詳しく解説しています。
【警察学校】警察学校で行われる試験や検定とは?警察学校で行っていた勉強方法も紹介!
検定はすべてに合格して当たり前なので、不合格になった場合は再検定が行われない場合も多くあります。
警察学校はカリキュラムが決められているため、あらかじめ再検定の日が設けられていることの方が少ないでしょう。
その場合は警察学校卒業後に再度検定を受けるためだけに警察学校に赴くというパターンもあります。
もちろん、交番勤務の合間を縫って休日に行くことになりますし、負担になることは間違いありません。
検定は様々な種類があるが、鑑識検定や術科(柔道・剣道)検定など、どちらかと言えば体を動かすものが多い。勉強を積み重ねるというよりは本番のプレッシャーとの戦いである。
実は私も警察学校での検定で不合格になった苦い経験を持つうちの一人です。
今でも忘れませんが、初任補修科に入校し、すぐに四輪検定が行われました。
この四輪検定というのは警察車両を運転するための検定で、自動車学校のようなコースを走る実技と学科試験によって合否が決まります。
なにより厄介なのが、この検定に合格しないと現場で警察車両(パトカーやミニパトなど)を運転することができないということです。
そのため、この検定に合格しないと先輩や上司に運転をさせることになるので、絶対に落とせない検定なのですが、最悪なことに私は不合格になってしまいました…。
不合格になった理由はいくつかありますが、大きな原因としては練習時に手を抜いていたことが考えられます。
正直なところ、「運転には慣れてるし余裕だろう」と調子に乗っていた部分があり、あまり熱心に練習をすることがありませんでした。
その結果、本番では細かい運転ミスが続き、まさかの不合格となってしまったのです。
当時受けたショックは計り知れないものがあり、しばらく立ち直ることができませんでした。
不合格のまま初任補修科を卒業することになり、現場では上司や先輩に車を運転させることになってしまい怒られる場面もありました。
自分の中でこれは警察学校における最大の失敗だったと言えます。
これから警察学校に入校する方は私と同じようなことにならないよう、試験や検定については常に気を引き締めて臨むようにしてください。
実際、どんな検定でもたかが1つ不合格になるだけで周りからは遅れをとることになってしまいます。
失敗談④ 妥協の精神

失敗談の4つ目は「妥協の精神」です。
これまで3つの失敗談を紹介してきましたが、これはすべての失敗に通ずるものかもしれません。
警察学校での生活に慣れていく中、最初は歯を食いしばって一生懸命にやっていたものでも段々と楽を覚えるようになっていきました。
走ることに関しても「下位じゃなきゃいい」と思い、勉強に関しても「赤点をとらなきゃいい」と思うようになり、きついことから逃げるようになりました。
次第にクラスでも目立つことがなくなり、頑張る同期とは差が開いていくことになっていきました。
言い換えれば、自分を追い込むことが嫌になり、並以上の成績で満足をするようになったのです。
このような考えでも警察学校を卒業することは可能ですし、ゆったり生活していても上位の成績を収めることはできました。
しかし、警察学校でこのような考えに慣れてしまうと現場でも「まぁいっか」と考えてしまうようになり、あまりいい結果には繋がりません。
常に全力を出さなければいけないのが警察官ですので、「妥協しない精神」を警察学校で身に付けておく方がいいでしょう。
警察官が「これくらいでいいか」と考えるようになってはダメ。警察官はどんな場面でも全力を出さなければならず、手を抜くようなことになればやがて不祥事に繋がってしまう。
「何事にも全力を出す」というのは警察官として非常に大事な要素です。
忙しい日であれば休憩する時間もなく次から次へと事件が発生しますし、その都度事件には全力で対応していかなければいけません。
警察官が少しでも妥協をしてしまえば、それは重大なミスへと繋がり、社会に大きな影響を与える結果にもなりかねません。
実際、私も警察学校で妥協することに慣れてしまっていたため、現場でも「これくらいでいいか」と考えた結果、大きなミスへと繋がってしまったことは何度もあります。
また、自分よりも全力で仕事に取り組む後輩に実績で追い抜かれるようにもなり、もっと全力を出しておけばよかったと後悔した年もありました。
警察官の仕事はとにかく体力勝負ですし、途中で心が折れそうになる場面は何度も訪れます。
そこで妥協せずいかに踏ん張れるかというのは大きな勝負どころです。
警察学校にいるときから妥協しない精神を身に付けておけば、それはきっと現場にも生きることだと思います。
警察学校では生活に慣れたからといって楽をせず、常に自分を追い込むことをおすすめします。
失敗から学ぶ大切さ

繰り返しになりますが、警察学校ではたくさんの失敗を経験するようにしてください。
警察学校を無難に卒業したところで人間としての成長はありませんし、警察官としての成長もありません。
警察学校では失敗を恐れて消極的になることが一番の失敗です。
規律が厳しく、高い緊張感の中で生活をするからこそ心身ともに鍛えられるという面はありますし、警察学校でならばいくら失敗をしても世間に迷惑をかけることはないでしょう。
むしろ、これだけ失敗が許されるのも警察学校だからこそです。
現場での勤務が始まり、逮捕の手続きや法律の解釈を間違えれば上司から怒られるだけでは済みません。
ぜひ警察学校では思い切って何事にもチャレンジするようにして欲しいです。
警察学校の同期は大切な存在であるが、それと同時に警察官としてのライバルでもある。警察学校で努力ができた者はその後も努力ができるので、どんどん差が開いていってしまう。
そうは言っても私自身が警察学校であまり積極的になれなかった人間です。
そんな私が「積極的に頑張りましょう」と言っても説得力がないかもしれません。
確かに警察学校では数多くの失敗がありましたし、後悔していることもあります。
当時の気持ちをずるずる引きずっていれば、警察官として活躍することはなかったでしょう。
しかし、警察学校卒業後はしっかりと意識を変えることに成功し、警察官として様々な検挙や実績を残すことに成功しました。
重要事件の検挙により、警察官として最高の栄誉である本部長賞も受賞した経験があります。
なぜそのような気持ちの切り替えができたかというと、警察学校での失敗から学ぶことができたからです。
警察学校で積極的になれなかった失敗を生かし、現場の勤務ではどんどん前に出るようにしました。
犯人にも勇敢に立ち向かっていき、先輩や上司に負けないくらい気合いを入れて働きました。
その結果、警察学校と同じ失敗をすることなく、年数が経つにつれて一人前の警察官として様々な実績を残すことができたのです。
失敗から学ぶということは本当に大切だと思います。
警察学校では誰もがなにかしらの失敗を経験すると思いますが、それを糧にしていくことが必要です。
失敗を失敗のまま終わらせることがないようにしていきましょう。
まとめ
今回は警察学校でのリアルな失敗談について紹介しました。
今回紹介した失敗談から伝えたいことは
- 警察学校では失敗を経験すべき
- 前に出る勇気を忘れない
- 試験勉強は手を抜かない
- 検定に向けても手を抜かない
- 何事も妥協せずに取り組む
ということになります。
警察学校での考え方や行動はそのまま卒業後に直結しますし、自分で意識をしていかないと変えることはできません。
警察学校で楽をしようと思えばいくらでもできますが、やがて現場の勤務でも楽をしたがる警察官になってしまうでしょう。
そういうことにならないよう是非今回お伝えした私の失敗談を参考するようにしてください。
失敗から学ぶことが大切ですよ。
警察学校で失敗をするのが怖いです…。どれくらい失敗しましたか?