警察官は圧倒的な男性社会であり、女性警察官の割合は全体の約10%と言われています。
女性警察官の割合を増やすために全国で積極的に女性警察官の採用を拡大している状況ですが、まだまだ男性警察官の方が採用枠も多いのが現状です。
女性警察官を目指すならば、このような男性社会で生きていく覚悟が必要であり、それと同時に男性社会での生き方も身に付けておく必要があります。
警察官はとても上下関係が厳しい組織ですので、女性だからといって甘やかしてもらえるわけではありませんし、大変な仕事があっても男性と対等に働いていかなければいけません。
男性社会だからこそ女性警察官は色々な意味でとても目立つ存在です。
それは貴重な存在であり、男性警察官と同等の貴重な戦力でもあります。
警察官の仕事は女性が活躍する場が多いですし、福利厚生が整っているので働きやすいことは間違いありません。
しかし、女性警察官は一歩間違えると大変な目に遭うことがあり、実際に職場ですごく嫌われてしまった女性警察官も何人か見てきました。
そこで、この記事では女性警察官が気を付けるべきことについて5つ紹介し、女性警察官の処世術を伝授していきます。
これから警察官を目指す女性は是非参考にしてください。
愛想良く過ごす
女性警察官の処世術1つ目は「愛想良く過ごす」です。
警察組織において女性警察官はまだまだ貴重な存在なので、女性警察官にしかできない仕事などで女性警察官を頼りにする場面は多いです。
そのため、特に地域課で勤務する女性警察官は「○○の相談や事件が起きたらあなたを呼ぶからね」と上司から言われるくらい頼りにされています。
実際、女性警察官がいないと話が進まない相談がありますし、通報の時点で「女性警察官に来て欲しい」というリクエストがあるときもあります。
つまり、女性警察官というだけで現代の警察組織においては欠かせない戦力となっているので、それに応えられるよう能力を向上させることは不可欠でしょう。
警察署では女性警察官が満足に多数配置されているわけではなく、まだまだその人員は限られているのが現状。特に夜間の当直時間帯は女性警察官が一人や二人だけという日もあるので、女性警察官個人の負担は大きい。
しかし、女性警察官は能力を向上させるだけではなく、同時に職場で愛想良く過ごすということも求められます。
それはなぜかというと女性警察官は貴重な存在であるため、それだけ周りの男性警察官は期待していますし、その振る舞いをよく見ているからです。
また、男性社会の警察組織において、紅一点のような存在になる女性警察官には職場に明るさをもたらしてくれることも期待されています。
実際のところ、普通規模の警察署の地域課であれば1つの係で30人が在籍していたとして、その中で女性警察官は多くても2人程度です。
このような男女比の中で一人の男性警察官の評判が悪くてもあまり目立ちませんが、愛想の悪い女性警察官がいれば一人だとしても必然的に目立ってしまうのが現実です。
「なんで女性だからって愛想を良くしなきゃいけないの?」と思われるかもしれませんが、男性社会で生きていくためには愛想を良くしておいて損はありません。
もちろん周りと仲良くするつもりがないのなら大丈夫ですが、実際は多くの男性警察官と上手に仕事をしていかなければいけないので、一人で仕事をこなしていくことは難しいです。
私の経験上ではほとんどの女性警察官がニコニコ愛想良く職場で過ごしていましたが、とある女性警察官は殻にこもって周りと上手にやれず、厳しい上司から追い込まれていたということがありました。
先頭に立って周りの男性警察官をリードできるくらいの力があれば愛想を良くする必要はありませんが、なかなかそのようなレベルの女性警察官はいません。(刑事課ならば強い女性刑事は多数います)
そのため、女性警察官ならば愛想を良くするというのは1つ大事なポイントになると思います。
明るいノリについていく
女性警察官の処世術2つ目は「明るいノリについていく」です。
警察官は体育会系の組織であるため、特に新人や若手警察官には元気よく明るい姿勢というのが求められます。
これは男性だけでなく女性にも言えることなので、女性でも警察官になったならば新人らしくハキハキした態度が必要となってきます。
また、常に積極的な姿勢を示すことも必須であり、
- 上司に呼ばれたら元気よく返事をする
- 仕事も雑用も一生懸命に行う
- 仕事は自ら覚える姿勢を見せる
- 前に出る勇気を持つ
などは女性警察官でも大事にしたいところです。
私は警察官になる前に民間企業で勤務しており、そこでは女性社員は「○○さん」や「○○ちゃん」などと呼ばれることが一般的でしたが、警察社会では若手女性警察官なら名字で呼び捨てにされることが一般的です。
それくらい上下関係が厳しいので、女性だからといって甘く見てもらえることはないですし、厳しく叱責を受けることも全然あります。
警察学校を卒業して最初に配属になるのは交番。交番では指導員と呼ばれる上司と24時間付きっきりでの行動となるが、女性警察官にはほぼ間違いなく男性の上司が付く。そのため、勤務日は男性と長時間過ごすことも頭には入れておこう。
そして、ここで大事になってくるのが明るいノリです。
体育会系の組織なので、明るく元気な人材が好まれる傾向にあり、これには男女の違いがありません。
男性の新人警察官ならば一発芸くらいを持っておくと最高ですが、女性警察官でも明るいノリというのは大事にする必要があります。
さすがに女性が一発芸を求められることはなかなかありませんが、「私こんなモノマネできるんです!」と自ら積極的に芸を披露する新人女性警察官もいました。
どちらかと言えば警察官になる女性はこういうタイプの人が多く、飲み会が好きという女性警察官もたくさんいました。
私が交番で一緒に勤務していた新人女性警察官もタバコ吸う&酒が好き&夜遊び好きという子だったので、なかなか面白かった記憶があります。
「どうしてもそんなキャラにはなれない…」という人は無理をする必要はありません。
やる気ない・仕事できない・元気ないという人は追い込まれる可能性が高いですが、積極的な姿勢で仕事もしっかりやっていれば大人しいタイプでも目をつけられることはないでしょう。
明るくて仕事もできるという人はとても強いですが、もちろん全員が全員そうではないのでご安心ください。
ただ圧倒的な男性社会で生きていくためにはそれくらいの気持ちが必要というのは間違いないので、1つ参考にして頂ければと思います。
不倫&ハラスメントに注意
女性警察官の処世術3つ目は「不倫&ハラスメントに注意」です。
冒頭から警察組織は男性社会であることを紹介していますが、それに伴って多く発生する不祥事が不倫です。
警察官の不倫というのは度々ニュースでも報じられることであり、私自身も警察官時代は数え切れないほどの不倫を見てきました。
警察官に不倫が多い理由は
- 長時間の勤務をともにする機会が多く距離が近くなりやすい
- 飲み会が多くプライベートでも仲良くなりやすい
- 仕事以外の相談をする機会もあり深い関係になりやすい
- 二人きりになる時間が多い
といったことが考えられます。
警察官同士で不倫をすることは全然珍しくないことなので、女性警察官はそういうった不適切な関係にならないよう注意する必要があります。
不倫が発覚すれば厳しい処分を受けることになるので、最悪の場合は退職を迫られることもあり得ます。
不倫で懲戒処分を受けることになれば、しばらくの間は昇任ができなくなるなどの不利な扱いを受ける。また、警察署や部署を変えられる可能性もあり、その代償はとても大きい。
そして、不倫と同じくらい気を付けなければいけないのがハラスメントです。
女性警察官が受けやすいハラスメントはセクハラが一番多いですが、その他にもパワハラやモラハラの被害を受ける人もいます。
先ほど紹介したとおり、警察官は明るさが求められる組織なので、職場で下ネタが飛び交うことも珍しくありません。
というよりも警察官は結構下品な話が好きな人が多かったので、「こんな会話女性がいたら無理だろ…」なんていう会話も多かったです。
そのため、女性警察官でもそんな会話に入らなければいけない場面がどうしても出てくるかもしれません。
そういうことを気にしない女性は喜んで下ネタの話にも飛び込んでくるのですが、中には苦手な女性もいるはずです。
その辺りの線引きが非常に難しいところであり、セクハラにあたるのかどうかも個人の受け止め方によって変わってきます。
また、女性警察官はパワハラやマタハラを受ける可能性もあります。
悲しいことにベテラン警察官の中には未だに男尊女卑の考えを持っている人がおり、「女なんだから」や「女のくせに」なんていう考えも0ではありません。
このような古臭い考えもあってか、妊娠している女性警察官に対して「このタイミングで?」「休みがとれていいねぇ」などのマタハラも私が所属していた県警では実際にありました。
警察官は男性社会なので、女性警察官がこういったハラスメントの被害に遭いやすい面はどうしても出てきてしまいます。
しかし、ハラスメントに対しては毅然と対応していくことが大事であり、泣き寝入りする必要はまったくありません。
古臭い考えのベテランがいる一方で、今はハラスメントに対する目も厳しくなっており、担当の上司に相談をすればしっかり話を聞いてもらえます。
万が一、ハラスメントを受けるようなことがあれば遠慮することなく相談するようにしてください。
長い物には巻かれる
女性警察官の処世術4つ目は「長い物には巻かれる」です。
警察署には女性警察官の数が限られていることを説明しましたが、これは女性警察官のコミュニティの狭さを意味するものでもあります。
後述しますが、女性警察官同士は仲がいいだけにそのコミュニティから外れないようにすることが大切になります。
女性警察官は人数が少ないので、男性警察官に比べれば先輩後輩で圧倒的な上下関係というものはあまり存在しません。
どちらかと言えば女性警察官同士で先輩後輩が和気あいあいとしている感じで、お互い助け合っている良い関係に見えました。
もちろん男性警察官の見えない裏側ではどうなっているのかわかりませんが…(笑)
やはり女性警察官同士で共感できることが多いと思うので、意気投合できる部分も多いと思います。
女性警察官は男性社会で大変な勤務をこなしていくので、それだけ苦労することも多い。女性警察官同士はそういった女性ならではの苦労話を共有できるため、仲良くなりやすい傾向にある。
ここで1つ気を付けなければいけないのは女性警察官のコミュニティから外れないようにすることです。
警察署に配置されている女性警察官は決して多いとは言えないので、人数が少ないだけにタイミングによってはそれだけ女性警察官の結束力が強くなっている場合があります。
実は女性警察官は部署の垣根を越えた女子会を開催することも珍しくなく、同じ警察署に勤務するベテランから若手の女性警察官が一堂に会することもあります。
よって、このような飲み会があるときはなるべく都合をつけて参加することをおすすめします。
中には警察署の女性警察官を束ねるボスのようなベテラン女性警察官がおり、「この人に嫌われたら大変」というほど面倒な人がいる場合もあります。
コミュニティが狭いので、そこから外れてしまうとそのようなボスから平気で嫌味を言われるようなことになってしまいます。
特に若手の女性警察官であればそのようなベテランの女性警察官には好かれておいた方がよく、まさに長い物には巻かれておいた方がいいでしょう。
実際、私自身の経験でも女子会をやっている女性警察官のグループはありましたし、休日に小旅行に行っているグループもありました。
女性警察官はそういった付き合いがあることも覚えておくといいと思います。
受傷事故に注意
女性警察官の処世術5つ目は「受傷事故に注意」です。
受傷事故(じゅしょうじこ)とは警察官をやっていれば絶対に耳にする言葉であり、これは勤務中に怪我をすることを意味します。
地域課のように現場に出る仕事は常に危険と隣り合わせになるため、制服を着て勤務している限りは油断をしてはいけません。
実際、警察官が襲撃される事件は毎年のように発生していますし、警察官である以上は命を狙われる危険性があります。
これは男性でも女性でも関係ありません。
むしろ拳銃を奪いたいと考えている者なら女性警察官を狙った方が好都合と言えるでしょう。
女性警察官は基本的に男性警察官と行動することになりますが、常にそのような緊張感を持って仕事に取り組むことが必要です。
警察学校の教官から「拳銃はお前らの命より大事なものだ」と教えられたが、これは紛れもない事実。もし、拳銃を奪われるようなことがあれば市民が命の危険に晒されることになる。
よって、女性警察官でも受傷事故には十分気を付けなければいけません。
なかなか働いてみないと実感はないでしょうが、警察官に手を出そうとしてくる者は普通にいます。
女性警察官だからといって手加減はしてくれませんし、女性警察官でも平気で顔を狙われることはあります。
女性警察官に押さえつけられた犯人が、逃げるために女性警察官の顔面を何発も殴ったという事例もありました。
女性とはいえ、顔面を殴られる危険すらあるのが警察官の仕事です。
男性の私でもわずかに油断した隙に
- 腕を引っかかれる
- つばをかけられる
- 噛みつかれる
という経験はありました。
幸い怪我を負うことはありませんでしたが、一歩間違えればどうなっていたかはわかりません。
現場で働く警察官はそれだけ緊張感を持って仕事に取り組まなければいけないので、その点は女性警察官を目指す方も忘れないようにしてください。
まとめ
今回は女性警察官の処世術と称し、女性警察官が働く上で気を付けるべきことについて5つ紹介しました。
今回紹介したことをまとめると女性警察官は
- 愛想良く過ごす
- 明るいノリについていく
- 不倫&ハラスメントに注意
- 長い物には巻かれる
- 受傷事故に注意
の5つとなります。
今後も女性警察官の採用は拡大されていくことでしょうし、さらに活躍の場も広がっていくものだと思います。
ただし、まだまだ警察組織が男性社会であることには間違いなく、女性警察官が気を付けるべきことがあるのも事実です。
これから警察官を目指す女性に今回紹介したことが少しでも参考になれば幸いです。
警察官を目指していますが、女性警察官はどんなことに気を付けていけばいいですか?