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警察官を目指すなら柔道や剣道は経験しておくべき?未経験でも大丈夫?

将来警察官になりたいのですが、柔道や剣道は経験しておかないとダメなんでしょうか?

このような質問を頂く機会は多いですが、確かに警察官=柔道・剣道というイメージを持っている方は少なくないと思います。

実際、警察官になると柔道か剣道のどちらかは絶対にやらなければいけませんし、警察官ならば避けては通れない道であることは間違いありません。

また、柔道か剣道に加え、警察官は逮捕術という制圧術の訓練も頻繁に行います。

これらのことをまとめて術科(じゅつか)訓練と呼び、警察学校ではもちろんですが、警察学校を卒業してからも警察署において日々訓練を行います。

 

なぜ術科訓練を行うのか?

警察官は危険な現場で働く機会が多く、ときには犯人を制圧しなければいけない場面もある。

そのため、警察官は常に術科訓練を行って技術を習得する必要があり、なにより市民を守れる強い存在でなければいけない。

 

警察官は強くなければいけない…

これまで柔道や剣道をやったことがない人からすると「自分にもできるだろうか?」と不安に思われるかもしれませんが、結論を言えばまったく心配はいりません。

私も高校生の頃に体育の授業で少し柔道をやったことがあるくらいでほぼ素人でしたが、その状態で警察学校に入校してもまったく問題ありませんでした。

そんな私の経験も踏まえて、この記事では警察官になるためには柔道や剣道を経験しておくべきなのか?未経験でも大丈夫なのか?について詳しく解説します。

 

警察官の9割が初心者

警察官の9割は柔道・剣道の未経験者

まず皆さんに伝えたいことは「警察官の9割が柔道・剣道の初心者である」ということです。

意外と思われるかもしれませんが、これが事実です。

つまり、ほとんどの人が警察官になってから柔道・剣道を始めるものだと思ってもらって大丈夫です。

実際に私も初心者でしたし、同期の9割以上が同じような初心者でした。

もちろん中には強豪校で柔道・剣道をやっていたという同期もいましたが、このような経験者は約1割です。

未経験者がこのような経験者と真剣勝負をすることはほぼありませんので、その点もご安心ください。

 

初心者同士で練習する

経験者と初心者が試合をした場合、もはや試合にならないくらいレベルの差があるため、ほぼ試合をする機会はない。初心者は初心者同士で戦うことが基本となる。

ただし、特に柔道の場合は初心者でも体格や筋量によって大きく差が出るので、筋力トレーニングはしっかり行っておきたい。

 

なので、結論を言えば「警察官になるために柔道や剣道の経験は必要ない」ということになります。

確かに警察官採用試験において柔道や剣道の段位を持っていると加点となりますが、あくまでわずかな加点です。

段位を持っているからといって特別有利になることはありませんので、段位を持っていなくても気にする必要はありません。

ただし、1つ注意して欲しいことは柔道や剣道の経験は必要がないものの、体力を身に付けておく必要はあるということです。

柔道にしても剣道にしても激しく体を動かすスポーツなので、基礎的な体力がないとすぐにバテてしまいます。

また、このような術科訓練というのは内容がかなりハードになりますし、特に警察学校では教官からきついトレーニングを課される場面も多いので、訓練についていく体力は必須となります。

さらに術科の訓練を行うのは警察学校でも警察署でも武道場という場所になりますが、エアコンが完備されている武道場はほとんどないので、そういった面でも体力が必要です。

夏であれば大変過酷な環境で訓練を行うことになるので、体力の準備はしっかりしておかなければいけません。

 

警察学校入校までに体力や筋力を強化するためのトレーニングは必須ですが、トレーニング後には積極的にプロテインを摂取しましょう。

プロテインは警察学校にも持ち込むことができるので、容量の大きなものを買っておくと便利です。

柔道・剣道は警察学校で基礎を学ぶ

柔道剣道の基礎は警察学校で学ぶ

柔道や剣道の訓練が始まるのは警察学校に入校してからです。

警察学校では定期的に柔道・剣道の授業があり、術科担当の教官からみっちり指導を受けます。

内容は初心者に合わせたレベルとなっているので、初心者や未経験者でもまったく問題ありません。

ただし、警察学校で行われる授業なので決して楽ではありません。

術科の授業中には筋トレをやらされることが多々あるので、術科の授業が終わるときはいつもフラフラに近い状態でした。(特に柔道は筋トレをやらされることが多かったです)

よって、先ほども説明した通り、柔道・剣道の経験はまったく必要ありませんが、術科の授業についていくための体力と筋力は必要になります。

 

術科担当の教官はほぼプロ

警察学校で術科を教える教官は学生時代にインターハイや全国大会で結果を残してきた超ハイレベルな人たちなので、実質プロのようなレベルである。

そのようなレベルの教官からしっかり指導を受けられるため、初心者でも確実に技術を習得することができる。

 

警察学校での術科において最も気を付けなければいけないことは怪我です。

初心者同士で練習や試合をすることが多いということは、それだけ危険なシーンも出てきてしまうということです。

特に柔道は技をかけられたときに受け身をとることが大事なのですが、初心者の場合はうまく受け身をとることができません。

さらに技をかける方も限度がわからないため強引に技をかけてしまい、相手が大怪我を負ってしまうことも珍しくありません。

骨折や脱臼などの怪我をしてしまうとしばらく訓練に参加できなくなるので、それだけ遅れをとることになってしまいます。

術科にはどうしても怪我が付きものですが、体の柔軟性を高めるなどして怪我予防の対策はしっかりとっておきたいところです。

 

 

最終的に初段取得を目指す

警察学校では初段を取得する

警察学校で柔道・剣道を始めるとき、初心者であれば段位は初級となりますが、最終的には全員が初段を目指すことになります。

初段とは柔道ならば黒帯になるわけですが、初心者や未経験者でも確実に黒帯を取得できるのか不安に思う方も少なくないと思います。

段位の取得については各自の習得の度合いによって異なる部分があるので、実は必ず全員が取得できるとは限りません。

警察学校で練習を積めば誰でも段位が取得できるわけではないので、その点は覚えておいてください。

必ず段位が取得できるわけではない理由は

  • 段位を取得するためには昇段審査に合格しなければいけない
  • 昇段審査ではリーグ戦で勝利を重ねる必要がある

という理由があるからです。

そのため、最終的に初段を取得するためには日々の授業でしっかりと技術を身に付け、昇段審査の合格を目指さなければいけません。

昇段審査のリーグ戦では同期同士で試合をすることになるので、そこで勝利を重ねることが段位取得の絶対的な条件となります。

 

警察独自の昇段審査

昇段審査は警察学校の初任補習科において受けることになる。これは初級者同士がリーグ戦形式で試合を行い、基準点以上を取ることで昇段することができる警察独自のものである。

当然、基準点に達しなければ昇段することはできないので、訓練を一生懸命受けて相手に勝てるようにならなければいけない。

 

最初に入校する初任科においては段位を取得することはありません。

まずは柔道・剣道に慣れることから始まるので、初任科では基礎的な技術を身に付けることに重点が置かれます。

昇段審査を受けるのは2回目の入校となる初任補修科になりますので、それまでに自分自身のレベルを上げておく必要があります。

初任補修科については下記の記事で詳しく解説しています。

 

私が実際に経験した事例を紹介します。(初任補修科で柔道初段を取得)

初任補修科において初級者同士のリーグ戦(5人1組)が組まれ、2勝1分以上が昇段の条件となっていました。(相手となるのは全員同期)

私の結果は3勝1敗で見事に昇段することができましたが、残念ながら基準点に達しなかった同期は昇段することができませんでした。

合格できなかった者は白帯のまま初任補修科を卒業することになり、警察署に戻ってから再度訓練を受け、改めて昇段審査を受験する形となっていました。

段位の取得に失敗したまま警察署に戻ることは少し恥ずかしいことなので、昇段審査の試合で勝てるように日頃の訓練は一生懸命頑張りましょう。

 

 

女性警察官でも訓練内容は同じ

警察学校 女性でも訓練の厳しさは同じ

女性警察官の場合でも術科訓練は男性警察官とまったく同じ内容で行います。

柔道か剣道を選択することも同じですし、女性同士で試合を行って段位の取得を目指す点も変わりません。

筋力トレーニングも男性警察官と同じ内容のものを行いますので、女性警察官でも基礎的な体力や筋力はしっかり付けておきたいところです。

ただし、女性の場合は男性に比べて人数が少ないので、人数の関係で術科の希望(柔道・剣道の選択)が必ず通るわけではない点に注意が必要です。

 

女性警察官でも力が必要

警察学校を卒業した後は女性警察官も2年間は地域課で勤務することになる。様々な通報に対応していく中で、暴れる酔っ払いを押さえつけることや抵抗する犯人を制圧すること等は珍しくない。

現場では女性警察官でも体を張らなければいけない場面があるため、術科訓練をしっかり受けて技術を身に付けておく必要がある。相手は女性だからと言って手加減はしてくれない。

 

私の経験上では抵抗する犯人に顔を殴られて負傷した女性警察官もいました。

普通ならあり得ないことですが、警察官をやっているとこのような現場に遭遇することは十分にあり得ます。

相手は女性警察官だからといって手を抜いてくれるわけではないので、女性警察官でも相手を制圧できるような技術や筋力が求められます。

警察官の世界は女性だからと言って特別扱いを受けることはないので、警察学校入校に向けてしっかり筋力トレーニングをやっておく必要がありますし、警察学校入校後も続けていくべきものです。

 

 

警察署に赴任してからも訓練は続く

柔道剣道の訓練は警察学校卒業後も続く

最後に1つ覚えておいて欲しいことは警察官である以上、柔道&剣道の術科訓練は一生続くものだということです。

術科訓練は警察学校だけで行うものではなく、警察署に赴任してからもことあるごとに行われることになります。

どちらかと言えば警察学校で術科の基礎を身に付け、警察署に赴任してからその技術を日々の訓練に活かすという形になります。

そのため、「警察学校だけなんとか頑張ればいいか」と考えている人がいるかもしれませんが、それは完全な間違いであるということを覚えておいてください。

 

早朝から激しい訓練も

各警察署には必ず術科担当の警察官が配置されている。術科担当は計画に沿って柔道、剣道、逮捕術の訓練を実施し、有事の際でも警察官が大怪我を負わないよう日々指導をしている。

また「早朝術科訓練」が行われることもあり、これは出勤前の早朝に術科訓練が行われるもの。特に若手警察官は強制参加となり、激しい訓練を行ったあとに交番勤務に就くことになるのでとてもハードである。

 

警察学校では術科の訓練をすることが当たり前なので受け入れられるのですが、警察署に赴任してからは勤務が本業となるため、勤務の合間に行う訓練は体力的にかなりキツいものがあります。

新人や若手警察官は術科訓練に強制的に参加しなければいけないので、しばらくは我慢が必要かもしれません。(ベテランはすぐに怪我をしてしまうため参加が免除されている)

私自身も出勤前にやる柔道の訓練が大嫌いで、早朝術科訓練がある期間は本当に憂鬱な気分でした。

「ただでさえ24時間勤務は体力的に厳しいのに出勤前に柔道をやるなんて…」とよく違和感を感じていましたが、それでも強制参加のため我慢してやっていました。

中には出勤前の訓練で怪我をしてしまう人もおり、脱臼や骨折などの大怪我をした人は勤務に就けなくなるほどでした。

なんとも恐ろしい話ですが、それでも警察官である以上は術科訓練は必ず行わなければいけないものですので、受け入れるしかありません。

このように警察学校卒業後も術科訓練を一生続けなければいけないことは覚えておきましょう。

 

 

まとめ

今回は警察官ならば避けては通れない柔道&剣道について解説しました。

今回の記事をまとめると

  • 警察官になる9割の人が柔道・剣道の未経験者であるため、未経験者でもまったく問題ない
  • 警察学校の授業でプロのような教官が基礎からしっかり教えてくれるので、授業についても心配はいらない
  • 最終的には段位取得を目指すため、未経験者でもレベルを向上させる必要がある
  • 警察学校を卒業後も柔道・剣道は一生続けなければいけないものになる

となります。

よって、未経験者でも警察学校で基礎からしっかり教えてもらえますので、心配する必要はまったくありません。

しかしながら最終的には未経験者でも初段を目指すことになるので、訓練をしっかり受けて試合で勝てるようにならなければいけない点に注意が必要です。

警察学校(初任補修科)で初段を取得できないと所属で恥をかくことになり、後々大変になる点も気を付けましょう。

また、柔道&剣道は女性警察官でも同じように訓練を行いますので、男女とも事前にある程度の体力は身に付けておく必要があります。

これから警察学校に入校する方や将来警察官を目指している方は是非参考にしてください。

 

 

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