全国の都道府県で女性警察官は積極的に採用されており、今後も女性警察官は採用人数が増えていく見込みです。
今では幹部になる女性警察官も珍しくなく、多種多様な部署がある警察官だからこそ女性警察官が活躍する場も広がっています。
女性警察官は女性ならではの目線で男性警察官にはできない仕事を任されることが多く、ときには重要な役割を担うこともあります。
- 女性から話を聞く場合
近年、夫婦や恋人のトラブルが増加傾向にあり、相談に来る女性は女性警察官をリクエストすることも珍しくない。
- 性犯罪事件が発生したとき
性犯罪の被害者は男性に対して恐怖心を抱いていることがあり、女性警察官が被害女性から事情聴取することが多い。
- 女性の被疑者を取扱うとき
女性の被疑者は女性警察官が身体検査や所持品検査を行うことが好ましいので、このような場合は女性警察官が必要となる。
「女性警察官に求められる役割」というのは警察官採用試験の面接でも聞かれるでしょうし、女性警察官を目指すならばしっかり把握しておきたいことでもあります。
さらに女性警察官は性犯罪事件が発生した場合には被害女性から供述調書をとることが多いので、実は性の知識についても知っておかなければいけないのです。
そこで、この記事では女性警察官に求められる役割について解説し、女性警察官を目指すならば覚えておきたい知識についても紹介します。
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女性警察官に必要な知識とは?
女性警察官は警察官としての知識はもちろんのことですが、女性特有の知識についてもしっかり習得しておかなければいけません。
それは冒頭でも説明したとおり、女性警察官は男性警察官にできない仕事を任されることが多いので、そのような場面では女性警察官が主導で仕事を行うことになるからです。
そのため、女性特有の相談を受けるような場合は女性警察官がしっかり話を聞かなければいけませんし、解決策も提示できるようにする必要があります。
また、知識と合わせて自身の経験談も交えていくことで、話すことに説得力が増します。
- DV被害の相談
近年、社会問題にもなっているのがDV被害。女性はDV被害を受けても警察に相談しづらいので、女性警察官が頼りにされる。自身の恋愛経験も交えながら解決策を提示していく必要がある。
- 親子トラブル
思春期の女性からは親とのトラブルについて相談を受けることがある。警察が家庭問題にも積極的に介入しなければいけない時代なので、自身の人生経験も交えて話をすると説得力がある。
- 性のトラブル
性に関するトラブルは事件だけでなく、相談を受ける段階では夫婦間のセックスレスなどの話に流れることもある。性に関する知識がなければ相談に乗ることはできない。
このような女性特有の相談は男性警察官が受けることもありますが、相談者から女性警察官をリクエストされることも多いので、必然的に女性警察官の出番は増えます。
相談者の立場になってみるとわかりますが、「女性警察官に女性特有の相談をしたのにあまり知識を持っていなかった」となると警察に相談した意味がなくなってしまいます。
ですので、女性警察官ならば女性特有の相談にもしっかり回答できるように様々な知識の習得が必要になるのです。
また、自身の経験談を交えると説得力が増すので、警察官になるまでに色々な人生経験を積んでおくと間違いなく警察官としてプラスになります。
警察官はどんなことでも知識や経験を持っておくだけでかなり違うので、人生経験を積むことは警察官として重要な要素になります。
逆に言うと「遊びも知らない、恋愛も知らない」という警察官はそのような話がまったくできませんので、真面目すぎるのは実はマイナス要素になるのです。
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性の知識が必要になる理由
特に女性警察官ならば身に付けておきたいのが性に関する知識です。
文字だけをみるとセクハラのように見えてしまいますが、これはすごく真面目な話なので是非セクハラと思わず見てください(笑)
冒頭から解説しているとおり、女性警察官は性犯罪事件が発生した場合に最も頼りにされると言っても過言ではありません。
そのため、そのような事件が起きたときに性の知識を持っていない女性警察官だと上手に話を聞くことができませんし、供述調書もいい内容のものが書けません。
その理由は次の通りです。
供述調書を書くポイントは”ありのまま書く”ということ。警察官が表現を誇張してはいけないし、推測のような表現もあまりよくない。
そのため、供述人が話すことをありのまま書く必要があり、事件の被害に遭ったならばその様子をリアルに書かなければいけない。性犯罪事件ならば被害者にとっては非常に辛いことであるが、当時の状況をしっかり書く必要がある。
つまり、性犯罪事件が発生したときにはそのときの状況をそのまま文章として書かなければいけないのです。
被害当時の状況を話してもらうことは被害者にとって2次被害に繋がる恐れもあるのですが、事件化を望むならばしっかりとした供述調書を作らなければいけません。
被害者が女性の場合、話を聞くのは女性警察官になることが多いです。
被害当時の話を聞くということは必然的に性的な表現が多くなるし、性的な用語を使うことも当たり前です。
よって、話を聞く女性警察官に性の知識がなければまったく話が噛み合わなくなってしまうのです。
被害者の心情に配慮しながらも具体的に話を聞いてそれを文章にしなければならないので、警察官が恥ずかしがっているようではいけません。
私自身もパトカーに長く乗っていたため、性犯罪事件はたくさん取り扱ったことがあります。
とても失礼な話ですが、性犯罪事件の被害者の供述調書はまるで官能小説のような内容になることも珍しくありません。
これまたセクハラのような言い方になってしまいますが、女性警察官自体に恋愛経験や性経験がないとこのような事件に対応するのは少し難しいでしょう。
女性警察官に性の知識が必要になるというのはとても真面目に大事なことなのです。
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女性警察官に求められる役割
では、実際のところ女性警察官に求められる役割とは何なのか。
これまで解説してきたように男性警察官にできない仕事を女性警察官によって行うことが求められることは間違いありません。
警察官の仕事はありとあらゆることに対応していくため、女性警察官にしかできないことはたくさんあります。
なにも女性警察官に求められるのは性犯罪事件の対応だけではありません。
冒頭でも触れた通り、近年は夫婦トラブルやカップルのトラブルが多いため、そういった場面でも女性に寄り添って話を聞きやすいのは女性警察官です。
また、事件を起こした不良少女に対応するのも女性警察官の方が望ましいでしょう。
さらに女児や女子高生なども相手が女性警察官であれば話がしやすいですし、なにかあったときには本音で相談ができます。
女性にとって、話相手が男性警察官というのは意外と話づらく、話を共有するのも難しいと考える。女性警察官という存在自体が女性に安心感を与え、警察のソフトなイメージ作りに一役買っている。
また、女性被疑者が覚せい剤や大麻を使用する事件も多発しており、このようなときに尿検査や所持品検査、身体検査を行うのは女性警察官にしかできません。
つまり、警察という組織が確立していく中で女性警察官の存在は必須ですし、治安維持のためにも女性警察官が必要というわけです。
その中でときには男性顔負けの仕事もこなしていかなければならないので、男性警察官とも対等に働いていかなければいけません。
さらに女性警察官の数が拡大していく中で、女性幹部の存在も忘れてはいけません。
警察の職場環境も年々改善されていますが、まだまだ女性警察官が満足できるような職場環境にはなっていません。
女性幹部が増えていくことで、そういった女性目線の職場づくりも進展させることができますし、育休や産休などの制度面でも整備が進めていけるでしょう。
よって、女性警察官は仕事面でも内部面でも役割が期待されているということです。
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人生経験も積んでおきたい
警察官の仕事は人生経験が豊かであるかどうかということがすごく大事になってきます。
先ほどから書いている通り、警察官はありとあらゆる事件や通報に対応することになるので、どんな知識や経験を持っていたとしても無駄にはなりません。
また、他人の相談に乗るという機会も非常に多いので、話の引き出しが多ければ多いほど仕事が円滑に進めるのです。
さらに色々な人と雑談をする機会も多いため、どんな会話が相手の興味を引くことになるかわかりません。
特に警察学校を卒業してから最初の2年間は必ず地域課での勤務になるので、交番にはあらゆる相談が寄せられることを覚えておいてください。
警察学校を卒業してからの流れについては下記の記事で詳しく解説しています。
【関連記事】警察学校を卒業した後はどうなる?警察学校卒業後の流れを詳しく解説
本当にごく一部ですが、私が地域課で勤務しているときに経験した相談を紹介しておきます。
- 出会い系でトラブルになった
→出会い系の仕組みを知っていないとうまく話ができない。出会い系を使った経験があればそれだけ円滑に話を進められる。
- 風俗でトラブルになった
→風俗のシステム、風俗の常識を知っていないと対応できない。
- 彼氏とケンカした。どうすればよいか
→恋愛の経験がなければアドバイスをすることができず、いつまで経っても相談者を納得させることができない。
- パチンコ店でトラブルになった
→パチンコの経験がないとパチンコ店のシステムがわからず、うまく対応できない。
- オークションサイトで詐欺に遭った
→オークションサイトを利用したことがないと使い方すらわからない。詐欺ではない場合も多いので、そういった見極めもできない。
本当にごく一部ですが、警察官が対応するのはこういった相談も多いです。
これから女性警察官になる方はこのような相談内容を見て、上手に対応できる自信はあるでしょうか。
もちろん、無理に出会い系を利用したり、パチンコ店に行ったりする必要はありません。
今ではインターネットで調べたり、動画サイトで視聴できたりするので、リアルな経験を積まなくてもある程度の知識は身に付けられるでしょう。
ただ、人生経験が豊かではないとあらゆる相談には対応できないので、どんな知識でも身に付けておくと自分を助けるということをお伝えしたいのです。
特に女性だと男性特有の趣味などについてはなかなか経験する機会もないでしょうから、本や雑誌を読んで知識を身に付けるというのでも大丈夫です。
警察に相談に来る相談者は警察官からのなにかしらの回答やアドバイスを求めており、相談者としては納得して帰りたいと思っている。
「相手を納得させる」ということは警察官の仕事として非常に重要なこととなる。
私自身もパトカーに乗って勤務していたとき、よく上司から言われました。
「相手は納得してるの?」
「相手を納得させてから終わってね」
相談者や通報者に対し、自分なりの考えや意見を述べた上で相手を納得させることができないと警察官の仕事はうまく進められません。
そのためにはやはり自分自身の知識や経験が大事になってくるということです。
一見、警察官の仕事には役に立たなそうな経験でも実はすごく役に立つことがあるので、これから警察官を目指す方は自分自身の人生経験を積むことを意識してください。
男性社会で働いていくためにも
今回の記事で最も伝えたかった「女性警察官には性の知識が必要」という話ですが、実はこれは仕事に限った話ではありません。
信じがたい話ですが、警察官の職場は結構な頻度で下ネタが飛び交っています。
それは女性警察官が近くにいようがあまり気にされておらず、嫌でもそういった話が耳に入ってくる機会もあるでしょう。
普通の職場ならあまり考えられないかもしれませんが、警察官は圧倒的な男性社会であるため、どうしても致し方ない部分があります。
男勝りの女性警察官はそういった下ネタの会話にも平気で入っていくのですが、全員が全員そういうわけにはいきませんよね。
しかし、職場で話を振られなくても、飲み会などでは下ネタ以外にも恋愛話などを振られることがあります。
女性警察官であれば
- 彼氏いるの?
- どんな男がタイプなの?
- どういう男と付き合ってきたの?
なんていうことくらいは聞かれる機会があるでしょう。
警察官は上下関係が厳しいので、先輩や上司からこういう話をされて「そういうことは答えられません」なんてことは言えないのが現実です。
なので、ある程度はこういった話ができるようにしておくことも警察社会で生きていくためには大事になってくるのです。
特に警察特有の男性社会で生きていくためには多少覚悟しなければいけないことでもあります。
線引きが難しい部分はあるが、身体的接触などのセクハラ行為を受けた場合は断固として対応するようにしよう。今の時代はパワハラやセクハラに対してはしっかり対応してもらえるので、我慢をする必要はない。
警察官の仕事はときにお互いの命を守り合う関係にもなるので、男女関係なく同僚と仲がいいことに越したことはありません。
お互い助け合う、誰かが困っていたら助けるという文化も根付いていますし、長時間の勤務をともにするので必然的に同僚とは距離が近くなるものです。
そこで気を付けなければならないのはセクハラや不倫といった問題です。
本当によくニュースでも見る機会が多いと思いますが、警察官はそういった不祥事が非常に多い組織でもあります。
女性警察官が男性社会で対等に働いていくことは大事ですが、誤った距離感になることがないように十分注意してください。
【関連記事】警察官の仕事はブラックなのか…?元警察官が徹底検証
まとめ
今回は女性警察官に必要な知識、女性警察官に求められる役割について書きました。
女性警察官として働いていく上で、性の知識や豊富な人生経験が必要になることについて解説しましたが、どれも大いに真面目な話です。
女性警察官は特に性犯罪事件のときに大きな役割が求められるため、そういった事件の内容もしっかり把握できるように性の知識が必要ですし、そのほかでも人生経験が生きてくる場面は多いです。
逆に真面目すぎる人生を送ってきた人は警察官としてうまく対応できない場面が出てきてしまうため、できれば色々な人生経験を積むことを意識してください。
身をもって経験しましたが、警察官は危険で過酷な仕事が多いです。
女性警察官としてそんな仕事に挑戦する方は心から尊敬しますし、応援しています。
今回の記事が少しでも参考になれば幸いです。