警察官採用試験に合格した後、次に目指すべきものは警察学校の入校&卒業になります。
警察官として働くためには警察学校に入校して様々な勉強や訓練を受けなければならず、その上で警察学校を卒業する必要があります。
警察官になるなら警察学校は絶対に避けては通れない道で、今現役で勤務している全国の警察官も同じ道を辿っています。
ただ、一般の人からすれば”警察学校は厳しいところ”というイメージが強く、「無事に卒業できるのか」は不安な気持ちを持つ人も多いでしょう。
私が現役警察官のときは入校者の1割が退職すると言われており、実際のところほぼこの数字に近い結果でした。
多いときでは1割以上が警察学校で退職していたため、厳しいイメージは大きな間違いではないと思います。
警察官志望者の中で、なによりも気になることは警察学校のことでしょう。
そして、「無事に入校して卒業までやっていけるのか」は誰しもが考えることだと思います。
せっかく警察官採用試験に合格しても警察学校で退職してしまうとすべてが水の泡です。
当然、警察学校で退職=警察官退職になりますので、二度と警察官になることはできません。
警察タイムズでは今後全国の警察学校について調査や取材を行っていきたいと考えていますが、今回は関西で一番の入校者数を誇る大阪府警の警察学校を取材しました。
情報公開請求も行い、大阪府警警察学校の直近5年間の退学率を調査しました。
この記事では警察学校は本当に厳しいところなのか?をテーマに大阪府警の警察学校の退職率について公開していきます。
警視庁の警察学校の退学率については下記の記事をご覧ください。
大阪府警警察学校 大卒課程退学率
- 大卒短期課程(A区分)春入校
入校期 | 入校者数 | 退職者数 | 退学率 |
---|---|---|---|
2020年 4月 | 152人 | 10人 | 6.5% |
2021年 4月 | 230人 | 13人(3人) | 5.6% |
2022年 4月 | 189人 | 9人 | 4.7% |
2023年 4月 | 228人 | 12人 | 5.2% |
2024年 4月 | 158人 | 5人 | 3.1% |
平均 | 191人 | 10人 | 5.1% |
- 大卒短期課程(A区分)夏入校
入校期 | 入校者数 | 退職者数 | 退学率 |
---|---|---|---|
2020年 8月 | 85人 | 7人 | 8.2% |
2021年 8月 | 115人 | 13人(3人) | 11.3% |
2022年 8月 | 130人 | 12人(2人) | 9.2% |
2023年 8月 | 124人 | 8人(2人) | 6.4% |
2024年8月 | 191人 | 17人(2人) | 8.9% |
平均 | 129人 | 11人 | 8.8% |
- 大卒短期課程(A区分)冬入校
入校期 | 入校者数 | 退職者数 | 退学率 |
---|---|---|---|
2020年2月 | 38人 | 5人(1人) | 13.1% |
2021年 2月 | 46人 | 11人(5人) | 23.9% |
2024年 2月 | –人 | –人(–人) | –% |
平均 | 42人 | 8人 | 19.0% |
大阪府警の警察学校の大卒課程(A区分)の退職率は平均10%前後であることがわかりました。
入校数が違うので単純に比較はできませんが、入校時期で見ると春入校が一番退職率は低く、冬入校だとやや退職率が上がる傾向にあります。
警視庁と比べるとやや退職率は高いと言えるかもしれません。
警察官時代の同期に話を聞いたところ、近年の警察学校は厳しさよりも寄り添う姿勢を大切にしているとのことでした。
教官が怒鳴り散らすというのは一昔前の警察学校で、現在では厳しい警察学校を二人三脚になって卒業するスタイルが定着していると思われます。
大阪府警警察学校 高卒課程退学率
- 高卒長期課程(B区分)春入校
入校期 | 入校者数 | 退職者数 | 退学率 |
---|---|---|---|
2020年 4月 | 289人 | 42人(10人) | 14.5% |
2021年 4月 | 134人 | 19人(7人) | 14.1% |
2022年 4月 | 131人 | 25人(4人) | 19.0% |
2023年 4月 | 140人 | 17人(5人) | 12.1% |
2024年 4月 | 203人 | 33人(1人) | 16.2% |
平均 | 180人 | 27人 | 15.2% |
- 高卒長期課程(Ⅲ類)秋入校
入校期 | 入校者数 | 退職者数 | 退学率 |
---|---|---|---|
2020年 10月 | 60人 | 9人(3人) | 15.0% |
2021年 10月 | 113人 | 29人(11人) | 25.6% |
2022年 10月 | 157人 | 18人(3人) | 11.4% |
2023年 10月 | 184人 | 32人(8人) | 17.3% |
2024年 10月 | 129人 | 30人(9人) | 23.2% |
平均 | 128人 | 23人 | 18.4% |
大阪府警の警察学校の高卒課程(Ⅲ類)の退学率は平均15%前後であることがわかりました。
大卒課程と比べると若干高めの数字ですが、高校を卒業して警察学校という過酷な環境で生活をすることが容易ではないことがわかります。
警視庁の高卒課程の退学率と比べた場合も若干高めになっています。
年によって退学率にばらつきがあることもわかります。
警察学校は集団生活なので、一人が退学すると連鎖しやすいことは間違いありません。
まとめ
今回は大阪府警の警察学校の退学率について紹介しました。
警察学校=厳しいという印象が強いため、警察学校の入校を控えている方々は不安な気持ちも大きいところだと思います。
どれだけの人が入校して、どれだけの人が退学するのかが明らかになったので、1つ参考にしてもらえればと思います。
大卒と比べると高卒の方が退学率は高くなる傾向ですが、年齢的なものを考えれば違和感はありません。
結局のところ、警察学校を卒業しなければ警察官として現場で勤務することはできませんので、精神力の強さが最も大事だと考えます。
今後は他の都道府県の取材も行い、”警察学校の今”を明らかにしていきたいと考えています。
警察学校はかなり厳しいところだと聞きましたが、実際どれくらいの確率で卒業できるのでしょうか?